壊疽性口内炎(水癌)のリスクファクター

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▲壊疽性口内炎に罹患している3歳の子ども(ナイジェリア)
栄養不良と口腔内衛生不良の子どもが最も壊疽性口内炎になりやすい
今回はDental Tribune Internationalからtoday (2019/2/5号)掲載記事、“Observational study determines risk factors for noma(観察研究により、壊疽性口内炎(水癌)のリスクファクターが判明)”を紹介する。
壊疽性口内炎は、顎顔面領域において、急速な進行性の組織破壊をもたらす疾患である。5歳以下の小児に多く、栄養不良と口腔内衛生不良が関係しているとの見解が強い。口内炎と名がつく疾患では、最も重度な口内炎として位置付けされている。WHOによると、毎年14万人の小児が壊疽性口内炎に罹患しているとの報告もある。
ある研究によると、壊疽性口内炎の患者死亡率も高く、90%が亡くなっている。運よく生き延びたとしても、顔面の審美障害、摂食・呼吸困難などの機能障害が後遺症として残る。また、社会的に孤立してしまうのも、壊疽性口内炎患者の特徴である。
壊疽性口内炎の病因を明らかにすることが課題
“Noma belt”とよばれる、セネガルからエチオピアに広がる地帯に最も発生し易いのが、壊疽性口内炎の地理的特徴である(他地域の至る場所でも、壊疽性口内炎の発生が報告されている)。
壊疽性口内炎は、著しい栄養不良と免疫力低下が原因で起こることが多いため、日本では非常にまれな疾患である。”Risk factors for diagnosed noma in northwest Nigeria: A case–control study, 2017”によると、下記は壊疽性口内炎のリスクファクターになり得ると、考察されている。
  • パンがゆ・トウモロコシがゆ中心の食事(ハイリスク)
  • 母乳による子育ての開始が遅い
  • 小児の母親が養育者ではない
  • ウシ初乳が与えられていない
「壊疽性口内炎の病因を明らかにすることは、効率的な予防・早期発見・早期治療につながる。今後も、壊疽性口内炎に関する研究が、より多くなされる必要がある。」と疫学研究者である筆頭著者は述べた。日本では栄養管理が十分に行き渡り、口腔内衛生も良好に保たれているため、日本で壊疽性口内炎の患者に遭遇することは滅多にないのかもしれない。しかし、極度の栄養失調による免疫力低下と口腔内衛生不良が重なれば、誰しも壊疽性口内炎に罹患する可能性はある。知識として、頭の片隅に入れておきたい。
By Dental Tribune International
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