広範囲(3歯以上)に進展した歯根嚢胞に対する顕微鏡視下歯根端切除の応用

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▲群馬大学大学院医学系研究科口腔顎顔面外科学講座・形成外科学講座 小川 将 氏
演者の施設では、大学病院の環境で3歯以上の広範囲に進展した歯根嚢胞に対してもEndodontic Microsurgeryを標準的治療法として取り入れている。その実践事例の手順を具体的なかたちで高い成功率とともに示しながら実態を踏まえて小川氏は報告していた。
大学病院の診療における広範囲での歯根嚢胞の治療方法について
大学病院口腔外科で診療をする立場からEndodontic Microsurgeryを3歯以上の広範囲に進展した歯根嚢胞の治療で併用しており、その治療成績に関して報告する。
 当科では2007年2月~2018年10月までの11年8ヵ月間に243例で施行しており、1~2歯で84%、3歯以上が16%を占めていた。
 当科は手術室の環境で行っており、顕微鏡は血管吻合等に使うOME-7000(オリンパス製)を使用している。
 術者と助手のペアで顕微鏡をのぞくことができるので、術者の育成にも有用。オペ室には看護師、医学生などもいるため、その実際の状況を映して育成教育にも使えるようにしている。
 器械に関しては、Endodontic Microsurgeryに使う機械を集約し、セットにしたかたちで手術室から即時的に出せるような工夫をしている。
 当科における治療の流れでは、検査では原因歯の検査、臨床症状、動揺度、歯周ポケットの深さ、画像検査では全例でデンタルX線パノラマに加えてマルチスライスCTを使用し、歯の破折などがないか、確認後、診断をしている。その結果を基に特に3歯以上にわたる場合でも原因歯は一つのことがあるため、しっかりと原因歯を診断し、特に原因歯に対して辺縁性歯周炎を合併している場合、予後が悪いことがあるため、関連する検査と破折の有無を考慮し、適応を決定している。
手術法は、局所麻酔で行う場合でも日帰りで行うことがあり、病変の大きさなどを考慮し、決定している。術式は、Kimらが発表しているEndodontic Microsurgeryのコンセプトに準じて施行している。
 具体的な術式において切開では極力、瘢痕を目立たせず、歯肉退縮を少なくするように2種類の切開を使用している。一つは歯冠乳頭温存し、顕微鏡で実施。角度をつけることで接着面積を拡げて歯肉退縮を予防している。歯肉縁から2~3ミリ、離したかたちで切開している。歯肉退縮が少なくて非常に有用だが、病変・骨欠損が大きい場合には、先ほどの切開を利用している。
良好な治療成績につながる病変の摘出と根尖性歯周炎への処理に有用なEndodontic Microsurgery
メスに関しては眼科用の0°メスを使用している。非常に柔らかく、小さいため顕微鏡歯科で使用するのには非常に有用。歯根端切除術は、基本的に3ミリに切除ラインを設定している。
 レベル角もなるべく象牙細管の露出を最小限とするために、顕微鏡をのぞきながら極力0°とするように歯根端切除を行っている。
 歯根端切除後にイスムスの構造・副根管・破折などを確認するのは強拡大で行っており、これらの確認ができることが顕微鏡を利用する最大の利点と捉えている。
逆根管窩洞形成は、脱落防止の観点からレトロチップで3㎜の深さに形成する。これも顕微鏡視下で実施することによって穿孔等を防止できる。その後に当科ではMTAセメントをチューブを使ってキャリアに入れるかたちで充填している。MTAセメントは、封鎖性、生体親和性、セメント芽細胞の誘導などの面で非常に有用な材料である。
 しかし大きな嚢胞では出血がある場合、ボスミンガーゼなどで止血をしながらMTAセメントの充填を行っている。
 同じように切開した場合で縫合も顕微鏡視下で行うことによって1年経ってもほとんど瘢痕が目立たないかたちで、きれいに治せることを示した。
広範囲に進展した歯根嚢胞の原因歯に対してEndodontic Microsurgeryを施行することで確実な病変の摘出と必要最低限の根尖への処理が可能となり、良好な治療成績が得られた。当科における標準的治療法として今後も継続していく予定であると小川氏は締め括った。
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