【会員限定公開記事】「咬合育成としての拡大床治療」1Dセミナー イベントレポート

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Ⅰ期治療における拡大床の適応や術式〜GPに送る小児矯正の実践メソッド〜

2023年01月25日、1D (ワンディー) 主催でオンラインセミナー「咬合育成としての拡大床治療」が開催された。

セミナー講師は日本矯正歯科学会認定医の「大峡 潤」先生で、米沢ファミリー歯科・矯正歯科の院長として矯正歯科臨床に従事されている。

小児のう蝕が減少する一方で、歯列や咬合に関連する相談が近年増加している。小学1年生では歯列不正や咬合異常の発現頻度は低いとされているが、学年が上がると発現頻度が高くなることが報告されている。

不正咬合の早期発見・治療が重要であることから、小児の矯正治療において拡大床装着が有用であることを解説したのが本セミナーである。セミナーでは、小児矯正の基礎から丁寧に解説され、小児矯正の選択肢の一つになり得る拡大床装置の適応・治療のポイントまで、日本矯正歯科学会認定医の大峡先生が詳細に述べていた。
▲オンラインセミナースライド(拡大床装着の構造)
「咬合育成としての拡大床治療」目次
  • Ⅰ期治療の考え方
  • 拡大床治療の適応症
  • 治療の進め方と注意点
  • 治療後の保定のポイント
  • 拡大床以外の選択肢
  • 症例供覧
▲床矯正装置のメリット・デメリット
「小児を臨床で診る機会が多く上手く対応したい」、「拡大床装着の基本や臨床手技を学んで日々の臨床に活かしたい」、「Ⅰ期治療の正しい知識を身につけ、必要があれば矯正専門医につなげたい」など、患児を日頃診療している歯科医療従事者にぜひ本セミナーを視聴いただきたい。

本記事では文字制限などの理由からセミナーで述べられた内容を2点に絞って紹介する。本記事の内容が読者の小児の臨床の一助になれば幸いである。
▲下顎の犬歯間幅径はほぼ変わらない

下顎の犬歯の側方拡大は避ける

叢生を改善するために特に気をつけないといけないのが、下顎の犬歯間幅径である。矯正治療で下顎の犬歯間幅径を拡大したとしても元の幅径に戻りやすいと言われているため、拡大床装置によって犬歯間を拡大する際は保定を長期間行うなどの考慮をするべきである。
▲Ⅱ期治療が必要になることが多いので、矯正医との連携も大切

拡大装置の1日の使用時間・治療期間

大峡先生のクリニックでは、1日最低12時間(就寝中は装着、可能なら学校も、休日は1日中装着)、治療期間は上下1番と6番が萌出してCが抜ける前に開始し7番以外の永久歯が萌出し終わるまで装着となっている(装着の後半は保定が主目的であることが多い)。

上下7番が萌出してきたら再度の検査を行い、場合によっては矯正医との連携も考慮しつつⅡ期治療へ移行する。
▲スタッフと歯科医師の役割分担

「咬合育成としての拡大床治療」を受講して

本セミナーを実際に受講したことにより、拡大床装置に関する基礎的な内容を学び直す機会となった。症例供覧を通じて拡大床装置の治療効果が高いことの理解も深まった。

小児矯正の基礎的な内容から解説されているので、拡大床装置に関してあまり詳しく知らない方に非常に有用な内容であるように思う。

咬合育成としての拡大床治療 (23/7/22 見逃し配信期限): https://oned.jp/events/446
▲1D歯科ニュース 歯科医師主役映画「ひとりぼっちじゃない」より
2023年3月10日(金)に公開される歯科医師が主役の映画、「ひとりぼっちじゃない」(©︎2023「ひとりぼっちじゃない」製作委員会)。

登場人物、映画のあらすじ、見どころコメントなどが紹介されているので、映画に興味があれば是非下のリンクから確認していただきたい。

歯科医療従事者ならではの他の人と違う視点で本映画を楽しめるかもしれない。

歯科医師が主役の映画「ひとりぼっちじゃない」公開: https://oned.jp/posts/4985

1Dセミナーではあらゆるテーマで歯科セミナーが日々開催され、様々な歯科ニュースを閲覧することもでき、1D会員とのやり取りも可能である。本記事をきっかけに興味を持った未登録の読者の方に歯科に関する日々の情報収集のため登録をお勧めしたい。

1D(登録無料): https://oned.jp/

編集後記

▲どこを訪れても降り積もった雪だらけ
冬の寒気が到来している時に青森に現地の歯科市場調査などの所用で赴いていました。青森、大間、深浦、津軽などレンタカーにスタットレスタイヤを装着して走行していました。雪道を走るのは初めてでしたが、予想以上に運転中にタイヤが氷や雪の上を滑ることが分かり、道中で大きくスリップして危うくガードレールにぶつかる所でした(^^;;
▲マグロやホタテの海鮮料理や豚骨煮干ラーメンが有名
りんごやホタテなどの海の幸の美味しい県で、大間や深浦のマグロが有名なのは知ってましたが、「イギリストースト(上画像の左下)」というパンが青森のご当地パンだったのは初めて知りました。

コンビニなどでも結構取り扱っているので青森を訪れる機会があればぜひ購入して食べてみてください!冬のシーズンに行くと白神山地・恐山などの観光名所は通行止めで入れなくなってしまうので、仕事でなく観光目的なら暖かい時期が良いかもしれません!

イギリストースト: http://www.kudopan.co.jp/englishtoast/

古川 雄亮(ふるかわ ゆうすけ)

日本矯正歯科学会 所属

東北大学歯学部卒業後、九州大学大学院歯学府博士課程歯科矯正学分野および博士課程リーディングプログラム九州大学決断科学大学院プログラム修了。歯科医師(歯学博士)。バングラデシュやカンボジアにおいて国際歯科研究に従事。イエテボリー大学歯学部 "Oscillation course" 修了。2018年より、ボリビアのコチャバンバで外来・訪問歯科診療に携わり、7月から株式会社メディカルネットに所属。
主に、DentwaveやDentalTribuneなどのポータルサイトにおける記事製作に携わり、2019年7月よりメディカルネットの顧問。離島歯科医療に従事後、本島で歯科臨床に従事する傍ら、記事の監修・執筆、歯科医師国家試験模擬試験の編集業務、企業コンサルタント、マウスピースの製品管理、オンライン診療などを個人事業主として行っている。

【筆者プロフィール】
https://saipon.jp/h/web_writing98765/2

記事提供

© Dentwave.com

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