「歯科医師国家試験」模擬試験の編集に携わる歯科医師をインタビュー!第二弾:歯科医師国家試験の対策について

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「歯科医師国家試験」模擬試験の編集に携わる歯科医師をインタビュー!
第二弾:歯科医師国家試験の対策について
インタビュアー: 前回は、古川先生の変わった経歴について伺いました。今回は歯科医師国家試験の受験生が気になるであろう内容を質問していきますので、よろしくお願いします。


古川 雄亮 先生
よろしくお願いします。自身の今までの経験が国家試験を受ける皆さんのお役に立てるように頑張ります。


インタビュアー:随分前になりますが、Dentwave.comで歯科医師国家試験の合格体験記を書いてましたよね?


古川 雄亮 先生
変わった勉強法なので合う合わないがあると思いますが、紹介させていただきました。学生時代からほとんど椅子に座って勉強したことは無いですね。


インタビュアー:記事で最も伝えたかったことは何でしょうか?


古川 雄亮 先生
「自身に合った勉強法で、歯科医師国家試験の過去問を繰り返しやり、できればクラスメイトと勉強する」でしょうか。ずっと1人で勉強するのは精神的に結構辛いのでオススメしません。少なくとも、予備校の模試は受けて、クラスメイトと雑談する機会もあったほうが良いと思います。結果的に国試浪人を繰り返す方は1人で勉強している人が多い気がします。


インタビュアー:話を戻しますが、先生は歯科医師国家試験予備校が作成している模擬試験の編集業務に歯科診療の傍ら携わっているんですよね。


古川 雄亮 先生
大学時代から非常にお世話になっていた歯学教育スクール(DES)さんから業務委託でお仕事をいただいております。


インタビュアー:模擬試験の編集業務では、どんなことをされているのですか?


古川 雄亮 先生
最初に歯科医師国家試験で出題されている問題に沿っているかを確認します。近年の国家試験の出題パターンであるか、症例写真や図を出した方が良いかなどもチェックしております。


インタビュアー:正直、お仕事の内容は大変でしょうか?


古川 雄亮 先生
思ったより時間がかかり大変です。歯科市場調査で様々な地域を移動しながら、模擬試験問題のチェックを行っておりました。根室に滞在していた時は通信状態が悪く、チェックしたデータをメールでうまく共有できないなどのトラブルが起きました。


インタビュアー:模擬試験に関わるお仕事を通じて学んだことは何でしょうか。


古川 雄亮 先生
DESさんの作成している模擬試験の問題は色々な先生やスタッフの方が時間をかけて添削して受験生に出題されています。自身がDESさんの編集業務に携わっていても実感しておりますし、実際に他社さんの模試に比べると質の高い問題が多い気がします。ちなみに、受験の時はANSWERを活用していました。


インタビュアー:お仕事をしていると国家試験で出題される問題の傾向も掴めてくると思います。例えば、臨床に関連する問題だと、どのような出題が多いでしょうか。


古川 雄亮 先生
口腔外科に関する出題だと、患者の顔貌や口腔内の写真、レントゲン画像、病理組織画像が提示されます。所見から考えられる疾患を解答する問題に留まることは非常に稀な印象です。考えられる疾患に対応する治療法を問う出題が近年の臨床問題では一般的ですので、疾患名と治療方法はセットにして覚えるべきです。


インタビュアー:例えば、昨年の歯科医師国家試験のA-89(上画像)ですが、模擬試験を編集している立場として、この問題をどう思いますか?


古川 雄亮 先生
まず、臨床系の一般問題の形式として、患者情報(5歳の男児)が最初に記載され、次に来院理由(TBIの希望)、その次に症例写真や検査結果が掲載されていることに着目します。文章の言い回しも模擬試験では合わせるので、言ってしまえば国家試験の問題に近いと思います。この問題は国家試験の問題なので当たり前ではありますが(笑)。


インタビュアー:何か突っ込みを入れる所はありますか?


古川 雄亮 先生
臨床系の問題では無いのであまり突っ込み所が無いのですが、口腔内写真は無くても解けるかな?とは思います。理由はAの口腔内写真を全く見なくてもBのPCRチャートをみれば算出できますよね。ちなみに解答は、80歯面のうち40歯面に歯垢が付着しているので、PCRの計算式は以下の通りです。この問題は平易なので絶対に落としてはいけないですし、90%以上の正答率が得られていると思います。
PCR : 40/80*100 = 50 (%)
仮に模擬試験で同様の問題を編集する場合、Aの口腔内写真とBのPCRチャートを見比べると思いますが、「下顎の乳中切歯の間も染色されてませんか?」みたいな突っ込みを出題者に入れるかもしれません。


インタビュアー:模擬試験の問題を国家試験に近づけるために、結構細かい作業をされるのですね。ちなみに、今受験したら受かる自信はありますか?


古川 雄亮 先生
基礎系と公衆衛生の問題次第かと思います。ちなみに、矯正歯科の問題は流石に間違えないと思います。国家試験や模擬試験の問題をみても、難易度は一定です。あまり難しい出題ができない分野なのかもしれません。矯正歯科の分野は出題自体が少なく、問題のレベルは高くない傾向なので、確実に点を採っておきたい分野です。


インタビュアー:2022年の歯科医師国家試験の日程は1月末ですが、試験直前は何をされていましたか?


古川 雄亮 先生
基本的に過去問や模擬試験の見直し、苦手分野の復習に絞っていました。受験生にアドバイスすると、この時期は新しいことに手をつけない方が良いですね。初めて知ることも出てきて不安になるだけですし。


インタビュアー:今回もインタビューにお答えいただいて、ありがとうございました。次回は国家試験を受けて良かったことを聞かせていただきたいと思います。


古川 雄亮 先生
歯科医師国家試験に受かった恩恵は今でも沢山ありますので、来年以降に試験を受ける受験生の方々のモチベーションアップにも繋がれば良いなと思っています!


古川 雄亮(ふるかわ ゆうすけ)
日本矯正歯科学会 所属

東北大学歯学部卒業後、九州大学大学院歯学府博士課程歯科矯正学分野および博士課程リーディングプログラム九州大学決断科学大学院プログラム修了。歯科医師(歯学博士)。バングラデシュやカンボジアにおいて国際歯科研究に従事。イエテボリー大学歯学部 "Oscillation course" 修了。2018年より、ボリビアのコチャバンバで外来・訪問歯科診療に携わり、7月から株式会社メディカルネットに所属。主に、DentwaveやDentalTribuneなどのポータルサイトにおける記事製作に携わり、2019年7月よりメディカルネットの顧問。離島歯科医療に従事後、 本島で歯科臨床に従事する傍ら、記事の監修・執筆、歯科医師国家試験模擬試験の編集業務、企業コンサルタント、マウスピースの製品管理、オンライン診療などを個人事業主として行っている。

記事提供

© Dentwave.com

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