Part2【前編】 5G ネットワーク を活⽤した次世代の⻭科治療:XR(AR・VR)技術と歯科用マイクロスコープ下での根管治療アプローチ

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デジタルツインと呼ばれる現実世界と仮想世界を相互に繋げたビジュアリゼーション技術の活用により、患者の解剖構造(顎骨・歯・神経管など)のデジタルデータを、拡張現実世界(AR)や仮想世界(VR)にバーチャル3Dモデルとして反映させることが可能になった。
そのうえで、従来の方法では見ることができなか不可能であった視覚リアルな解剖構造を観察しているような感覚が得られる。

拡張された患者の解剖構造のバーチャル3Dモデルは、近接解剖の三次元的位置関係の観察及び治療シミュレーションとして症例の体験ができ、実際の症例の術前トレーニングと使用できる。

経験豊富な先生に直接ハンズオンで教えてもらったり、5G ネットワークとメタバースを活用して遠隔で専門医から指導を受けることが可能となる。
今回は、再根管治療の難症例のケースに対して、遠隔から私が治療支援したケースを紹介する。

歯内療法での活用例:

XR(AR・VR) 技術と歯科用マイクロスコープを併用した治療アプローチ

CBCTの歯内療法への応用は、レントゲン診断を従来の学術的知識に基づく推測から、3次元的解剖構造を2次元平面で観察できるようになり、飛躍的にレントゲン診断の精度が高まる。CBCTは、一枚のレントゲン画像 (根尖部投影法)、および複数枚の根尖部投影法(正放線投影と偏心位投影法)を用いた診断に比べて、根尖病巣および根管を有意に多く検出できる。 根管検出率は、CBCT と⻭科用マイクロスコープの間に有意差はないと報告されている。1)  しかし、CBCTの2次元平面での観察は、頭の中で3次元的解剖構造を再構築(想像)する必要がある。この再構築した3次元的構造は、術者によって違い、共有することができない。

 根管解剖に精通し、歯科用マイクロスコープ下での歯の内部を観察するトレーニングを積んでいる歯内療法専門医でも、石灰化亢進した髄室や解剖学的多様性(変異)のある歯の治療では、一般的な解剖知識を適応できない場合があった。そのため、このような症例は治療が困難な場合がある。

では、CBCTと歯科用マイクロスコープのみでは、解決できなかった問題に対して、XR(AR・VR) 技術と歯科用マイクロスコープを使用し、どのような治療アプローチが可能なのかみていこう。

Reference:
1) The detection of periapical pathoses in root filled teeth using single and parallax periapical radiographs versus cone beam computed tomography – a clinical study A. Davies, F. Mannocci, P. Mitchell, M. Andiappan & S. Patel. International Endodontic Journal, 48, 582–592, 2015.

岡﨑先生プロフィール
株式会社Dental Prediction
CAO 岡﨑 勝至 先生
歯科医師・医学博士・米国歯内療法専門医

ニューヨーク大学歯学部准教授として Postgraduate program(歯内療法科大学院)で多くのコースディレクターを歴任し、様々な臨床研修プログラムを運営。​
2022年、東京歯科大学准教授を拝命し着任。​
愛知学院大学歯学部で歯学修士授与、歯科医師免許取得。​
愛知医科大学にて解剖生理学の医学博士号授与。​
ミネソタ大学発生外科学教室で客員研究員として勤務。​
ニューヨーク大学歯学部 Postgraduate program 修了、米国歯内療法専門医資格取得。​
現在、ニューヨーク大学と東京歯科大学の臨床教育に従事し国際的な活動と共に、株式会社デンタルプレディクションの最高学術責任者を務め、歯科分野におけるデジタルツインをリード。

記事提供

© Dentwave.com

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