HPI歯科同好会で討議O.M.U.はなぜ普及しかなったか?

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HPI歯科同好会は6月23日、東京駅に隣接する八重洲地下街八重洲倶楽部会議室で理事会を開いた。

理事者の一人が毎回、議案を提出し、その議案に対して会議体の形式で3分間の意見を各自が述べた。

初めに議案提出者が議案について説明した。

https://www.youtube.com/watch?v=0MA7V8Iu-V0

「前回の理事会で、O.M.U.はなぜ普及しかなったか?について討議し、O.M.U.が普及しなかった原因について少し明らかになった。

より問題点を詳しく討議し、原因が明らかになれば、HPI歯科同好会の存在意義にもつながるのではないか?」と議案の主旨を説明した。

また、議案の背景や提出の理由等についても以下述べた。

「理想的な歯科診療所の形態、システムと思われたO.M.U.は、みんなが思ったり、期待したようには普及しなかった。だが、O.M.U.を継続していくために何が必要であったのかを検討することにより、何のマネージメントが足りなかったのかを探ることができるのではないか?今まで作られた100ほどのO.M.U.(歯科診療所)の現状を検証したい」

また、以下詳細に述べた。

特にこれからの時代、医療費の削減や安定しない経済状況下で1歯科診療所1人の歯科医師も2人歯科医師体制も経費的に大差はない。

歯科医師が2人であれば歯科診療所のスペースや空調、照明、受付、歯科衛生士の経費は半分になり、急患の対応も比較的しやすい。

また、歯科医師が研修や急用の場合も歯科診療所を閉めなくて済む等々利点が多い。

しかし、2人の歯科医師の場合は税法上の問題や患者数が少ない時の対応などの問題も多い。

そこで税法上の問題も細かなルールを決め、中立的な第三者が立会ってルールや更新、ジャッジをすることなどが必要ではないか。

また、患者数に関しても自費率を上げる工夫も必要であるが、患者さんとの信頼関係が一番ではないかと思う。

そこで可能であれば、歯科医師ごとに少し時間をずらし、診療時間を延ばしたり(O.M.U.としての形は変わってしまうが)

訪問歯科診療を行う等が必要になるのではないだろうか?

また、歯科診療所譲渡システムについても正式な契約が必要だし、第三者の立ち合いも必要になるのではないか?

O.M.U.を見直すことを検討してもらいたい。

以上の説明のあとに、司会者が前回の会議体の内容(会議録)を報告した。

それから、全員で3分間、各自の意見を述べた。

オブザーバーとして当方(山本嗣信 つぐのぶ)も意見を述べた。

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<参考>

<O.M.U.とは>

40年以上前、米国から来日した歯科医師ダリル・レイモンド・ビーチさん(Dr.ビーチ)は、「座位診療」を考案した。

それまで歯科医師は立位診療をしていた。

Dr.ビーチは、日本の伝統的古典文化である茶道・花道・能・柔道・剣道など)に共鳴し、その基本的な考え方を基に歯科診療のあるべき姿を研究し、模索してきた。

一般に細かい仕事をする時には、だれでも座って身体の前に手指を持ってきて楽な姿勢で行う。

女性が編み物をしている姿勢が良い例だ。

リラックスした姿勢でなければ長い時間、作業を続けることは難しいと思われる。

このコンセプトに基づき歯科診療システムをDr.ビーチは考案し、1973年にHPI研究所(Human Performance Institute)を立ち上げ創立理事長を務めた。

そして、pdコンセプトを提唱しそれを実現させた。

pdとは、proprioceptive derivationの略で日本語では、固有感覚に基づく演繹と訳される。

この固有感覚とは、人間の持っている五感(視覚、聴覚、触覚、臭覚、味覚)のほか誰でもが持っている生理的な感覚であり、平衡感覚とかバランス感覚とも言われている。

O.M.U.はOptimaum Management Unit=最適なマネージメントのできる歯科診療所と呼ばれパフォーマンス・ロジックの則った歯科診療所を目指している。

O.M.U.の歯科診療所では、治療(MP)エリアと情報(LP)エリアをはっきり分けたレイアウト(配置)にしている。

つまり、治療するところと患者さんに情報を伝えるところを分けている。

LPエリアでは、落ち着いた雰囲気の場所(部屋)でテーブルを挟んで患者さんと歯科医師が座り話し合いができるようになっている。

Dr.ビーチは情報(LP)の大切さを提唱した。

特に日本の古典文化では、人の位置、知覚、動きの3つの概念をよく研究している文化であり、Dr.ビーチはそこに着目した。

歯科診療の原則の出発点は位置(姿勢)であるとDr.ビーチは考えた。

日本の文化遺産とも言うべき姿勢、例えが茶の湯、能、禅僧の瞑想の時の姿勢を歯科診療に結びつけた。

ここが非凡であった。

多くの歯科医師は体を捻り、横から患者の口腔内をのぞき込んでいる。

それは日本の伝統文化の概念に反する無理な姿勢である。

pdコンセプトでは、すべての歯科診療システムを横からではなく、前方からの診療システムとした。

歯科医師の診療姿勢正しくする、それがDr.ビーチの独創的な歯科診療システムである。

つまり顕微鏡をのぞく姿勢で歯科診療を行う。

現実に体を捻じ曲げて顕微鏡をのぞく研究者はいないだろう。

それを可能をしたのが、歯科専用ミラーのテクニックだった。

Dr.ビーチは1964年から約10年間、全国各地でセミナーを開いてきた。

また、静岡県熱海市のHPI研究所のセミナー室で研修活度を展開した。

そして熱海に併設された歯科診療所で3000人を超える若い歯科医師を育成した。

「歯科診療に個性が出てはいけない。誰が治療をしても同じように。スタンダードで高水準の治療レベルを維持する」とうのいうのが、Dr.ビーチの歯科診療理念であった。

「常に診療の基本を追求しないと医療にバラツキができる」「技術的レベルが劣ったら患者さんに迷惑をかける。歯科大学・歯学部を出て歯科医師国家試験を通ってきた歯科医師なら誰でも同じレベル、同じシステムで診療すべき」とDr.ビーチは考えていた。

Dr.ビーチのコンセプトを実現するためになくてはならない歯科診療台(スペースライン)は1964年に京都市にある森田製作所(現モリタ製作所)で開発された。

Dr.ビーチは水平診療台「スペースライン」が普及すれば、自然な姿勢で正確な歯科治療ができると確信していた。

だが、多くの歯科医師はDr.ビーチの思っていたとおり、あるいは期待をしていたとおりにはできないのは現実である。

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