第40回 成都にてThe Second International Conference on Dental and Craniofacial Stem Cellsが開催

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平成26年4月10日から13日まで中国は成都を訪れる機会を得た。これが,今年度の最初の学会出席となり、最初のコラムとなる。3年前にニューヨークでこの学会の第一回が開かれ、このコラムにて学会の様子を紹介させてもらった。今回は,Keynote speakerの一人として招かれた(http://www.mymodule.net/Keynote%20speakers.asp)。 成都は中華人民共和国四川省の省都であり,ガイドブックによると人口は約1000万人。成都は、三国志やパンダの繁殖基地があることでも有名であるが、今回はそれらの地に足を運ぶ時間は無かった。

左:Mao先生/右:筆者

主催者は、コロンビア大学歯学部のJeremy Mao先生(写真)と四川大学歯学部のZhihe Zhao先生であり、Mao先生に聞いたのであるが、Maoは「毛」と書く。 学会の会場は四川大学華西口腔医学院(West China School of Stomatology)の講堂で行われた。この大学の歴史を紹介すると、1907年に誕生し、1912年に中国で最初の歯科病院を開設、そして、1917年に中国で最初の歯学校として再出発している。 学会の会場は四川大学華西口腔医学院(West China School of Stomatology)の講堂で行われた。この大学の歴史を紹介すると、1907年に誕生し、1912年に中国で最初の歯科病院を開設、そして、1917年に中国で最初の歯学校として再出発している。 成都へはANAに直行便があり、午後5時ごろ成田空港を出発し、成都空港に夜の10時過ぎに到着した。空港からホテルには、米国から来られているOphir Klein先生、Jill Helms先生そしてChrstian Stohler先生らと四川大学歯学部の学生さんと一緒にホテルに向かった。 宿泊するホテルは Jinjiang hotel (四川錦江ホテル)。この地区では、最初に5つ星となったホテルで、1960年に開業している。部屋はくつろげる広さであり、快適であった。成都の第一印象は、空港も道もホテルも特にロビー、何もかも、日本と比べ物にならないほど大きい。また、建築中の高層ビルを見る機会も多かった。空港からホテルまでの道沿いに高級車の販売ディーラーが軒を並べていたのが印象的であった。 朝起きて、外を見るとどんよりしていて、空気は澄んでいなかった。3日間滞在したが朝はいつもどんよりしていた。朝食はバイキングで、四川料理の名物の一つである、担担麺もあった。ほとんどの店員の方が中国語で対応されるので困ることも多かった。 この学会に日本から招待されている先生は私以外には、愛知県大府市にある国立長寿医療研究所・歯科口腔先進医療開発センター・再生歯科医療研究部部長の中島美砂子先生である。この学会で最も発表の内容が多かった内容は歯髄の再生。このコラムでは、中島美砂子先生の研究を紹介し、次回にMao先生とJill先生の研究を紹介予定とする。 中島先生の研究は、既に、基礎研究と動物実験による本治療の検証は終了し、臨床研究が始まっている。このコラムでは、その臨床研究の概要を解説したい。 研究の概要を 一口で言えば、「歯髄炎になった歯髄を除去した後に、歯髄を再生させるということである」 どうやって、歯髄を再生させるか?同じ患者さんの智歯や必要としない歯を抜歯して、その歯から歯髄を取り出して、歯髄の中にいる幹細胞(間葉系幹細胞)を採取し、培養・増殖させて、歯髄を除去した根管の中に培養した細胞を戻すことを行う。体外で増やした細胞を根管に移植することで、歯髄を再生させようという考えだ。 どうしてこのような治療が必要なのか?う蝕が歯髄まで侵入すると、歯髄炎が引き起こされ、程度が悪化すれば抜髄となる。抜髄されると、当たり前のことであるが、歯髄は2度と元には戻らない。これによって、再度、う蝕に罹っても、痛みはでませんが、細菌が根尖部に侵入すると、根尖性歯周炎になる。根尖性歯周炎となると、慢性的にその炎症は拡大し、膿胞が形成され、最悪は抜歯と診断される。抜髄した後に根尖性歯周炎となる原因の一つとして、歯髄を除去した後に人工物を根管に充填することにある。充填された人工物は、徐々に劣化すると、根の壁と人工物等の隙間から、細菌が侵入し、根尖部に膿として蓄積される。急性となれば痛みが現れますが、その時はすでに手遅れになっているかもしれません。抜髄後の歯は折れやすいとの報告もあり、歯髄をとることは歯の寿命を短くすることに繋がることは良く知られているだ。したがって、歯髄を除去した後に、歯髄を再生できることになると、歯の寿命は長くなる。 歯髄の中に幹細胞とは、間葉系幹細胞であり、体外に取り出すとこの幹細胞は良く増えて、象牙芽細胞、骨芽細胞、脂肪細胞や軟骨細胞などの中胚葉系の細胞にも分化できる。 中島先生らは、この歯髄から取り出した間葉系幹細胞が血管を作る血管内皮細胞に分化することを明らかにしたようだ。 また、ほかの研究グループからは、実験的には、神経の細胞、膵臓の細胞等にも分化することが報告されている。まさに、万能な細胞ともいえるが、生体でどのように機能するかはまだ、明らかではない。 歯髄の根管へは、培養した細胞を回収して、シリンジにて、細胞を根管内に送り込む。血管は歯髄の細胞が血管を誘導し、神経の細胞も誘導されていると考えているようだ。 今回紹介した研究は、平成20年12月にスーパー特区として、先端医療の開発・実用化を推進する国家プロジェクトとして採択された。課題名は「歯髄幹細胞を用いた象牙質・歯髄再生による新しいう蝕・歯髄炎治療法の実用化」である。 すでに、今回の臨床試験の必須の患者数である5人の患者さんに施行し、まだ、結果の長期的予後は不明であるが、バイタルサインを試みたところ、すべての歯に生活歯の反応があったようである。 この研究に参加できる患者さんの条件は次に示します。参加期間が9か月と長期の観察が必要なため、遠方の方の参加は困難かと思いますが、将来において、参加希望の患者さんがおられれば、ホームページ等をご参照下さい。下記はホームページからの転載です。
臨床研究に参加できる方:(以下の条件にすべて当てはまる方) 1) 20歳以上 55歳未満の方 2) 不可逆性歯髄炎の歯のある方(単根管(根の神経(歯髄)の穴が一つ)) 3) 歯髄組織を供給できる不用な歯*がある方。 *不用な歯とは、親知らずや、矯正治療のために便宜的に抜く予定の歯、噛みあわせに関係しない余分な歯(過剰歯)および横にはえている歯(転位歯)などをいいます。ただし、その不用歯は虫歯が無いかあるいはあった場合でも歯髄に達していません。 4) X 線写真により、骨の上までしっかり根っこが残っているのを確認できる方 5) 歯が折れていないのが確認できる方 6) X 線写真により、根っこの下に膿が溜まっていないのが確認できる方
以上が、この研究に参加可能な患者さんの条件となる。なかなか、これだけの条件に合う患者さんを見つけるのは、困難とも、思いますので、心当たりのある先生は、中島先生へご連絡よろしくお願いします。 (現在、安全性試験は終了し、評価期間のために、安全性試験のための患者さんの募集は終了したようです。) ▼お問い合わせ先:国立長寿医療研究センター 歯科口腔先進医療開発センター 再生歯科医療研究部 受付時間:平日 10 時~16 時 電話番号:0562-44-5651(内線 5066)
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