ノルウェーでは歯科医師の過半数が新型コロナウイルスの感染に懸念を抱いている

ノルウェーでは歯科医師の過半数が新型コロナウイルスの感染に懸念を抱いている

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オスロ(ノルウェー):ノルウェーでは、過去に新型コロナウイルスと同様のウイルスアウトブレイクが発生しておらず、2018年以前には歯科診療における感染予防・制御に関する国の推奨事項がありませんでした。多くの国で、パンデミックが歯科医療従事者に与えた心理的影響に関するデータはまだ不足しています。そこで、オスロにある東部ノルウェー口腔保健専門センターの研究者らは、ノルウェーにおける新型コロナウイルス感染症関連のロックダウン期間中の歯科医療従事者の自己申告による精神的幸福度を調査しました。

ノルウェーの国家ロックダウンは、2020年3月13日から4月17日まで続き、その間歯科医療サービスは、緊急性のない日常的な治療を延期しました。本研究の参加者は、2020年5月に募集されました。歯科医師、歯科衛生士、歯科助手は、ロックダウン期間に関連して、歯科医療サービスの管理、リスクと準備の認識、心理的な影響に関する情報を引き出す質問票を電子的に受け取りました。このデータを元に、ロックダウン期間中に患者の治療を行った歯科関係者と行わなかった歯科関係者の心理的影響を比較しました。

1,237名の回答者の大半は、「自分が感染すること(71.9%)」、「他人に感染させること(85.4%)」、「家族が感染すること(76.9%)」に不安を感じていました。患者を治療した727名の回答者のほとんど(56.9%)が、自分が感染したかどうかについて有意に不安を感じていました。少数派は、「他人から差別されていると感じている(6.7%)」、「死ぬことを心配している(11.7%)」、「生命の危機を感じている(9.8%)」、「自分の人生をコントロールできなくなったと感じている(8.9%)」などがありました。また、回答者全体の8割以上が、自分の職場の対応が良かったと回答しました。しかし、新型コロナウイルス感染症のようなウイルスが拡大した場合に、職場が十分な対応をしていると回答した人は半数以下でした。

データ分析の結果、いくつかの調査項目に関して、性別と仕事の経験に明確なパターンが見られました。女性の参加者は、職場環境の変化、自分が感染すること、他の人に感染させること、ウイルスと密接に接触することへの不安を持つ傾向がありました。対照的に、10年以上の職務経験を持つ参加者は、これらの不安を持つ割合が低いことが分かりました。

「今回の研究では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックがノルウェーの歯科関係者に与えた心理的影響が大きく、女性や実務経験の少ない臨床医ほど影響が大きかったと報告されました。この結果は、安全な職場環境と適切な感染対策の実施が重要であることを強調しています。この結果は、歯科医療従事者の心理的影響を軽減し、将来の流行に備える為に取り組むべき分野を特定するのに役立つ可能性があります。」と、本研究の著者は結論付けています。

さらに、「適切な機器へのアクセスや明確なコミュニケーションは、パンデミック発生時に患者と接する際の歯科医師の感染に対する恐怖心や不安定感を軽減する上で非常に重要である」としています。

「新型コロナウイルス感染症のパンデミックのノルウェーにおける歯科医療従事者への心理的影響」と題されたこの研究は、2021年5月3日にBMCヘルスサービスリサーチのオンライン版に掲載されました。

記事提供

© Dental Tribune

ライター

Dental Tribune International

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