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ソウル(韓国):歯周炎と口臭は微生物学的に共通する病態であることから、ソウル大学歯学部の研究者らは、両者の間に相関関係があるかどうかを調査しました。その結果、口臭は歯周炎の指標となり、他の全身疾患の発症につながる可能性があることがわかりました。
これまで、関連する共変量を調整した後の歯周炎と口臭の関連性についてのデータはほとんどありませんでした。研究チームは韓国の成人を対象に、この相関関係を調べることを目的としました。2015年に韓国の健康コホートから募集した47~86歳の302名を解析対象としました。
本研究の結果、歯周炎患者の口臭リスクは、歯周炎でない人に比べて1.8倍高いことがわかりました。歯周炎は、年齢、性別、教育水準、喫煙、食生活、口腔衛生習慣、その他の口腔状態などの既知の交絡因子とは独立して、口臭と関連していました。
歯周炎が進行すると歯周ポケットが深くなり、そこに歯周病菌が繁殖することで、悪臭ガスの発生が促進されるのではないかと考えられたのです。また、歯周病患者の口臭の原因として、炎症に伴う歯肉組織の充血が考えられるとしました。
本研究ではいくつかの限界があることを認めつつも、歯周病の健康状態が口臭の臨床的な指標となる可能性を強調していることから、今回の研究には「いくつかの強み」があると強調しています。さらに口臭は、患者が心血管疾患や糖尿病などの全身疾患を発症するリスクを示している可能性もあります。
歯周病と口臭の関連性の因果関係やメカニズムを明らかにするためには、さらなる研究が必要です。とはいえ、研究チームは今回のデータによって、口臭が単に「社会的ハンディキャップではなく、歯周病の状態と潜在的に関連する要因」であることが確認できたと強調しています。
研究者たちはこう結論付けました。「歯科医師は、歯科患者の口腔内悪臭を予防またはコントロールするために、歯周病の状態を考慮に入れるべきです。同様に、医師は悪臭の原因が歯周炎である可能性を考慮して、口腔悪臭患者のケアを行うことをお勧めします。」
本研究は「韓国人成人における歯周炎と口腔内悪臭の関連について」と題され、2021年3月4日にPLOS ONEのオンライン版に掲載されました。
記事提供
© Dental Tribune
ライター
Franziska Beier, Dental Tribune International