歯周炎と新型コロナウイルスの合併症を結びつける研究

歯周炎と新型コロナウイルスの合併症を結びつける研究

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ドーハ(カタール):歯周炎と新型コロナウイルスは双方が全身の炎症と関連していることから、カタール大学とハマドメディカルコーポレーションの研究者は、歯周炎と呼吸器症候群の重篤な転帰との関連を調査しました。この研究結果から、新型コロナウイルスの歯周炎患者は合併症を経験したり死亡したりする可能性が高いことから、両疾患の関連性を裏付けています。

数々の先行研究では、歯周炎が全身の健康に影響を与え、糖尿病や心血管疾患などの非伝染性疾患や早死にも関連していることが強調されています。10月にデンタルトリビューンインターナショナルが報告したように、新型コロナウイルスとの関連性の可能性は、先行研究の対象となっています。

ここ最近の研究では、2020年2月から7月までの間に新型コロナウイルスと診断された568人の患者が対象となりました。これらの患者のうち258人が歯周炎を呈し、40人が新型コロナウイルス関連の合併症を有していました。歯周炎を呈した患者のうち、33人(12.8%)が重度の新型コロナウイルス転帰を経験したのに対し、歯周炎を呈していない患者は310人のうち7人(2.3%)のみ新型コロナウイルス転帰を経験したと発表されています。

研究チームは、年齢、性別、体格指数、喫煙状況などの因子を調整後、歯周炎をもつ新型コロナウイルス患者は歯周炎のない患者と比較して、研究で考慮された新型コロナウイルスにおける全ての合併症を経験する可能性が3.67倍、集中治療室に入院する可能性が3.54倍、人工呼吸器を必要とする可能性が4.57倍、死亡する可能性が8.81倍であることを明らかにしました。

更に、歯周炎を発症した新型コロナウイルス患者は、発症していない患者に比べて体内の炎症を示す血液マーカーが有意に高いことが分かりました。研究者によると、炎症スコアの上昇が合併症率の上昇を弁明している可能性があるといいます。

しかしながら、この研究には限界があるため因果関係には触れておらず、その結果には注意を払う必要があると研究者らは指摘しています。

欧州歯周病学連盟(EFP)のプレスリリースでは、スペインのマドリード・コンプルテンセ大学のマリアノ・サンズ教授の共著者によると、歯周炎の患者が口腔内の細菌を吸い込む可能性があり、そのような理由で肺が感染する可能性があると指摘しています。これは人工呼吸器を使用している患者にとっては特に危険だといいます。「これは新型コロナウイルスの患者の悪化に寄与し、死亡リスクを高める可能性がある」と彼は述べました。「病院スタッフは、新型コロナウイルスの歯周炎患者を特定し、口腔内消毒薬を使用して細菌の感染を減らすべきです。」

「この研究結果は、口腔内の炎症がコロナウイルスの凶暴化への扉を開く可能性を示唆しています。」と、イスラエルのヘブライ大学ハダッサ歯学部のEFP会長エレクトで歯周病学教授のリオール・シャピラ博士は付け加えました。「口腔ケアは、重度の新型コロナウイルスの転帰のリスクを減らすため、健康上の推奨事項の一部であるべきです。」

「新型コロナウイルス感染症の歯周炎と重症度との関連。症例対照研究」と題されたこの研究は、臨床歯周病学雑誌に2021年2月1日、オンラインで掲載されました。

記事提供

© Dental Tribune

ライター

Franziska Beier, Dental Tribune International

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