歯科用レーザーとは

カテゴリー
記事提供

© Dentwave.com

 レーザーの原理は、1917年にAlbert EinsteinによってE=MC2という方程式で予言された幻の光です。1990年代より歯科用レーザーが導入され、専門分野における基礎的研究、臨床応用が試みられ、各種のレーザーの特性を生かした疾患の適応が明らかにされてきました。レーザーは診断、治療技術の向上に伴い歯科診療にかかせない治療器具となりました。また、時代と共に歯科用レーザーは、小型化軽量化された上に、多種多様なファイバー、チップの開発が進み、レーザー治療の口腔内への応用が簡便になりました。LASER(レーザー)は、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiationの接頭語であり、『放射の誘導放出による光の増幅』という意味です。
『レーザーの優れている特徴』
単色性(Monochromaticity)
指向性(Collimation)
干渉性(Coherence)
効率性(Efficiency)
『レーザーの臨床効果』
効果 影響
光熱効果 凝固・蒸散
光化学効果 化学反応の促進・光線力学的療法
光物理効果 分子間結合の切断
光電気効果 プラズマ形成

半導体レーザーとは
 可視光に近い近赤外線で水分に対する吸収性は、Nd:YAGレーザーよりも低い。ダイオードでレーザーを発振させるために装置が、他の方式のレーザーに比べて小型化できます。発振様式は連続波発振とパルス波発振ができ、波長は0.79〜0.83μmです。軟組織の切開の症例では、レーザーを接触で用いますが、軟組織では、色素選択制と組織深達性があるので、ファイバーの炭化物がなくならない程度の出力が適しています。当院では、3W程度であれば、炭化層の形成、熱変性層も少なく安全使用できるものと考えます。
 また、口内炎のような非接触の症例では、ファイバー先端をカットしたのちに新しい面を使用すると組織深達性が有効となり、治癒の過程も促進されるように感じます。
半導体レーザーの適応症
 半導体レーザーは、口腔軟組織疾患の小手術での止血、凝固、切開、蒸散、鎮痛、消炎、創傷治癒促進に有効です。
 また、歯周組織では、掻爬術、歯肉切除術、膿瘍切開、抜歯後の止血処置、口内炎の表面蒸散による疼痛緩和、口角炎に効果を発揮します。
 しかし、象牙質知覚過敏症、根管処置といった硬組織に対しては適応をもっていないので注意が必要。
Sレーザー 昭和薬品化工(株)製造販売/(株)ジーシー発売

タッチパネルによる照射設定も0.1W、時間1秒単位で詳細な設定が可能です。
 また、あらかじめ必要な治療に対して最大9個のメモリーを設定できるので、治療の時間を短縮することができます。充電式で本体も約1kgと軽量なのでユニットへの移動も容易です。




写真1・写真2 チップは3A(コア径300μm)と4A(コア径400μm)の2種類用意されている。
写真3 ファイバーも3A(コア径300μm)と4A(コア径400μm)の2種類用意されている。
レーザーと電気メスの違い
◯ レーザーは、非接触で使用できる。
◯ 電気メスよりも出血に対する凝固性、凝固範囲も広い。
◯ 標的となる組織のみに熱エネルギーを反応することができる。
◯ 蒸散、切開、切除において正確な施術ができる。
◯ 電気メスのような電流による予期せぬ神経阻害がない。
◯ レーザーでは、創傷治癒、疼痛緩和作用が期待できる。
歯周組織
◯ レーザー治療は、止血が容易である。
◯ レーザー治療は、鎮痛、消炎、細胞活性が期待できる。
軟組織
◯ 通常のメスによる施術より止血が容易である。
◯ 疼痛は、レーザー治療の方が少ない。
◯ 創面の深部感染は、レーザー治療の方が少ない。
*レーザーの波長をカットする『保護メガネ』を必ず着用することが肝要である。
注意!!『レーザーによる目の障害』
弱い出力であれば、太陽光を直視した時と同じになる。
強い出力では、半導体レーザーでは網膜に損傷をきたす。
(炭酸ガスレーザーでは、角膜に損傷)


レーザーの使用する経営戦略
当院でも、開業以来20年以上レーザーを使用しています。開業当初は特に保険点数にも反映されず、レーザー治療を自費で頂くこともできませんでした。経営的には、レーザーはマイナスでしたが、『あの歯科医院には、最新の治療機器を使用して痛くない治療をしてくれるらしい』という噂で、多くの患者さんに来院していただきました。
治療に対する投資としては大きくマイナスでしたが、広告宣伝費としては、駅前の看板や電柱広告より効果があったと思います。
歯科に対する『痛い』というマイナスイメージを払拭するレーザーによる治療はこれからも種々のレーザーにより構築されることと思います。

プロフィール

内田 昌德(うちだ よしのり) 医療法人鶴翔会 内田歯科医院 長崎大学大学院歯学研究科(口腔生理学専攻)卒業
記事提供

© Dentwave.com

新着ピックアップ


閉じる