口腔ケアを行う時の体位

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吸引は口腔ケアを行う際に食物残渣、プラークを誤嚥させないために大切な作業ですが、最も大切なのは体位です。地球には重力がありますので、頸部を後屈してしまうと、誤嚥のリスクが上がってしまいます。口腔ケアを行う際には、30度仰臥位といった、少し頭を起こした状態が最も理想となります。気管が上で下に食道が位置するので、たとえ飲み込んでも食道に流れ込むので安全です。
ベッドに寝たままで口腔ケアを行う仰臥位では口腔内の内容物が食道、鼻腔のどちらにも流れ込むので吸引という操作が重要です。最も危険なのは椅子に座り、座位で頸部後屈した状態での口腔ケアです。この頸部後屈した状態では、食道の前方に位置する気管に最も入りやすく、リスクが高くなります。
口腔内での汚染物の回収
口腔内の汚染物質の清掃方法では、吸引による回収、スポンジブラシによる清拭、吸引付き歯ブラシによる吸引と清拭が代表的なものです。当院では、術者磨きでは、吸引歯ブラシを使用したのちにPMTCを行っています。
まず、大きな汚染物は吸引して除去します。その後にPMTCに移行することにより少しでも口腔内の細菌を誤嚥しないように気を付けています。PMTCに使用する排唾菅も施術している歯牙にできるだけ近付けて、口腔内の汚物をできるだけ回収するようにします。
口腔ケアの注意点
感染リスクの高い患者さんを対象とするので衛生管理に細心の注意を払うことが基本です。使用する歯ブラシ、歯間ブラシ、PMTCに使用するブラシ、ラバーカップはディスポーザブルとします。また口腔内の食物残渣やプラークを可及的に飲み込ませないために、バキューム操作はこまめに行うようにします。 PMTCで使用した注水は、確実にバキュームで吸引することも重要です。
バキューム操作の他に、患者さん自身の呼吸の様子、顔色にも細心の注意を払い、体調を見ながら無理をさせないことも重要です。また、自宅、施設に入って口腔ケアを行うので、歯科医師、歯科衛生士の他に家族や施設の介護職とのコミュニケーションも重要な要素となります。
患者さんの健康維持に貢献する口腔ケアにおいて今回紹介したVIVA Q は、大変有益な機器です。しっかりした口腔ケアには、しっかりした吸引のシステムが必要なことを日々の臨床で実感していただければと思います。

プロフィール

内田 昌德(うちだ よしのり) 医療法人鶴翔会 内田歯科医院 長崎大学大学院歯学研究科(口腔生理学専攻)卒業

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