支台歯形成が上手くなるには?

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デンタルハック
支台歯形成をしない日はないというくらい、日常の臨床では頻繁に登場する臨床項目の一つですが、イメージ通り形成することはなかなか難しいことと思います。今回は、支台歯形成を上手くできるエアタービンについて考えてみたいと思います。
エアタービンは、キーンという独特な音とトルクの弱さから支台歯形成に使用される頻度が減ってきました。カートリッジがベアリングで支持され、回転軸がブレや耐久性に問題がありましたが、現在発売されているエアタービンのほとんどで耐久性が向上し、ブレも増速コントラと変わらない精度になっています。
ハンドピースのグリップについて
ハンドピースは、『利き手の親指』『人差し指』『中指』の3本の指で把持するペングリップという持ち方が一般的です。さらに残りの薬指と小指を同一の歯列にレストを置くというのが、教科書的なハンドピースのグリッピングとなります。しかし、残存歯の歯数と部位によっては、レストの確保が困難になる症例もあります。口腔外にレストを用いたり、利き腕の反対の手指を用いてレストの使用に関しては、教科書に記述もなく経験によるものが多いために支台歯形成に上手い下手が生じる可能があります。
ハンドピースの選択は?
支台歯形成では、エアタービンと増速コントラアングルという二つの選択肢が考えられます。最近の治療では、増速コントラアングルを使用するという先生が多いと思いますが、治療の効率はどうでしょうか。クラウンの除去やメタルコアの形成には、トルクのある増速コントラアングルを使用する方が圧倒的に有利です。しかし、天然歯を形成する際には、毎分約40万回転という高速回転するエアタービンの方がはるかに早く歯牙の形成を行う事ができます。
エアタービンの選択基準
形成時の安全を基準にするとペダルを離すと2秒以内に停止するクイックストップという機構、昨今の感染防御を勘案してゼロサックバック機能という機能が選択基準となります。価格の安いエアタービンにはこのような機構が付与されていないことが多いので購入時には注意が必要です。
支台歯形成

ツインパワータービン

ツインパワーテクノロジー。
クイックセーフティストップ、ゼロサックバックなどの先進テクノロジーとヒューマンデザインにもとづく使いやすさ、日常の臨床を強力にサポートする。

ツインパワーテクノロジー

3本の給気ノズルから噴出したエアで第一インペラーをさらにディフューザーで制御されたエアで第二インペラーを同時に回転させる。
ツインパワーが生み出すトルク(25W)と適正回転により、粘り強く鋭い切れ味でソフトタッチの切削が可能となる。また、不快な音とされる6000〜7000Hzの騒音を大幅に低減した。
支台歯形成

クイックセーフティストップ

従来のボールベアリング式エアタービンでは困難だったクイックストップ機能を実現。エアの供給が停止すると同時に、ブレーキングの働きにより、高速回転中でも2秒以内に停止するので、効率的で安全性の高い治療が可能となる。
支台歯形成

ゼロサックバック

給気エアを止めると慣性でタービンが回り続け、サックバック(吸い込み)が起こる。それを防止するために、遠心力で加圧されたアンチサックバックディフューザー内の空気をヘッド外に押し出し、切削粉や汚物の吸い込みをシャットアウトし、感染予防に貢献する。
支台歯形成
  • 支台歯形成時の注意点

    ・ 手指を確実に固定する。
    ・ フェザータッチを基本とする。
    ・ 毎回バーのダイヤモンド粒子の状態を確認し、脱落したり目詰まりがある場合には、交換する。
    ・ ハンドピースの使用時には、バーのチャックを確実に奥まで挿入していることを確認する。
    ・ 注水を十分に行う。
エアタービン VS 増速コントラアングル
現在発売されているエアタービンと増速コントラアングルでは、形成後のマージンの切削後の中心平均粗さ、最大高さ及び波中心線うねり、切削感には差がないようです。特に天然歯のような荷重が低い場合には、両者の差はほとんどありません。圧縮空気を動力源とするエアタービンと電気モーターを動力源とする増速コントラアングルでは、回転数を変更できる増速コントラアングルの方が、形成は容易かもですが、ハンドピース自体が重く振動が大きいという欠点もあります。反対にエアタービンでは、回転数を大きく変化させることはできませんが、軽く軽快な切削感と単価の安さは特筆に値します。

支台歯形成の精度アップは、補綴物の精度をアップするばかりか患者さんの満足度を向上させることにもなります。エアタービンを見直してみませんか?

内田昌德

プロフィール

内田 昌德(うちだ よしのり)
医療法人鶴翔会 内田歯科医院
長崎大学大学院歯学研究科(口腔生理学専攻)卒業
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