歯科医師向け 開業支援・経営支援コラム vol.3「開業に必要なお金はいくら?」

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開業に必要なお金はいくら?

 歯科医院を開業するにあたり、切っても切れない大切なものが「お金=資金」です。物件を借りる、内装工事をする、機材や材料を購入する、人を雇うなど、資金が無いと何も始めることができません。近年は原材料費や医療機器の高騰、工事費用の高騰、滅菌等の感染症予防や衛生対策など、様々な要素が重なり歯科医院の開業費用は増加傾向です。ちなみに歯科医院を開業するための開業資金は、最低でも5,000万円程度、医院の大きさや開業スタイル次第では70007500万円程度費用がかかる事もありえます。

 ですので、開業すると決めたらまずはおおよその開業日を決め、そこに向けて計画的に資金を貯めたり、借入に関する情報を集めるなど準備を進めていく必要があります。

それでは実際に開業でかかる費用について詳しく見ていきましょう。

①開業場所を借りるために必要な費用
保証金、礼金、仲介手数料、共益費・管理費、前家賃、保険料など
②医院の内装や外装にかかる費用
設計費用、B工事(空調、配管、分電盤等の工事)、内装工事、看板・外装工事など
③医療機器や器具、歯科材料、薬品、消耗品
ユニット、滅菌器、レントゲン設備、歯科材料、薬品、衛生用品・備品など
④院内のインフラ整備
電話・FAX、インターネット回線、レセコン、自動精算機など
⑤スタッフの採用費用
求人広告費用、人材紹介会社への紹介手数料など
⑥広告費などその他の費用
ホームページ制作、パンフレット制作、内覧会、その他広告・宣伝費用など
⑦コンサルタント費用
開業コンサルタントを入れる場合はコンサルフィー
⑧諸会費
歯科医師会入会費用(都道府県、市区町村)
⑨当面の運転資金
歯科材料、歯科技工代、スタッフの人件費、社会保険料、賃料、その他月額費用など

 上記がおおまかなところですが、これ以外にも細々とした支出や思わぬ支出が出てきがちなので、予算管理は厳しめに設定しておくことをおすすめします。

 また、全額自己資金でまかなえればそれに越したことはありませんが、現実的に借り入れなどで開業資金を賄う必要があります。歯科医院を開業するドクターが、具体的にどのような形で資金を調達しているのか見てみましょう。

資金の調達方法
  • 自己資金
  • 親族からの支援金
  • 銀行からの直接融資(プロパー融資)
  • 制度融資(保証協会付融資)
  • 日本政策金融公庫

 まだ社会的な信用がない歯科医院の開業時、銀行などの民間金融機関から良い条件で融資を受けることは現実的に困難です。そこで公的創業融資である日本政策金融公庫の新創業融資を活用すると良いでしょう。歯科医院経営にとっての資金は、人間の体でいう血液と同じなので、資金が無くなる=医院の死(倒産)となります。できるだけ余裕を持って借りておくようにしましょう。また、開業後に後から追加で資金調達するのは難しいので注意が必要です。

事務長代行および事務長養成型 経営コンサルタント
ライトアーム代表 
五十嵐 伸好

歯科器材メーカーにて開業担当として200件以上の開業に携わり、大手ディベロッパーや商業施設との交渉により物件獲得、事業計画書の作成、開業資金の融資確保、医院内装のアドバイスなど、機械メーカーの枠を超えて開業までのすべてをとりまとめ、先生の評価をいただく。
その後、医療法人事務長となり多岐にわたる事務長業務(採用、人事、広報、渉外、経営、税務、労務など)を行い法人運営し、就任時から売上400%以上アップを達成する。現在は事務長代行もしくは事務長養成型の経営コンサルタントとして運営に困っている院長の右腕として活動している。

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