待合室マーケティングで 患者様のデンタルIQを高める! 歯科物販の効果的なポイントとは

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歯科医院の待合室は、単に患者様をお待たせする場所にとどまらず、デンタルIQを高める重要な教育の場でもあります。デンタルIQとは、歯科に関する知識や健康意識を指し、患者様が自分の口腔ケアに積極的に取り組むための基礎となります。
今回は、待合室マーケティングの重要性と、デンタルIQ向上とセルフケア商品の販売促進に繋がる具体的な施策について考えてみましょう。

1. 待合室での効果的な情報発信方法

待合室は情報発信の最適な空間です。PopやポスターやTVモニターを活用して、歯科治療やセルフケアの重要性をわかりやすく伝えましょう。例えば、歯周病や虫歯のリスク、歯並びが全身に与える影響など、患者様の興味を引くテーマを選ぶと効果的です。さらに、歯科ケアのための最新トピックを取り入れたり、季節ごとの注意点を掲示することで関心を引き、デンタルIQ向上を促します。

・視覚的なディスプレイ
・デンタルケア製品を見やすく陳列する専用コーナーを設置します。
・実際の製品サンプルやポスター、デジタルサイネージを活用して、患者様の興味を引きます。
・商品の使用方法や効果を簡潔に説明したPOPを設置します
・情報を発信するスペース(スピットンの上がおすすめ)
・モニターで「歯の健康の重要性」や「商品の使い方」を紹介する動画を流す。
・最新の歯科情報や研究結果をわかりやすく伝えるリーフレットを配置する。

2. デンタルIQを高めるための情報戦略

デンタルIQを高めるためには、患者様の生活に寄り添った情報を提供することが大切です。例えば、歯科医師が日頃推奨しているケア方法や、患者様のニーズに応じた具体的なアドバイスを示すと良いでしょう。口腔ケアの必要性や効果について説明する際には、「口腔内の環境改善がどのように健康に寄与するか」という観点を強調すると、患者様の意識がより深まります。
また、紙の資料やスマホで簡単に読めるQRコードを用意することで、待合室の限られた時間でも持ち帰って読んでいただける工夫をするとよいでしょう。

・患者の目線に立ったコンテンツ
・難しい歯科用語ではなく、一般の患者様が理解しやすい表現で説明する。
・「歯ブラシの選び方」「デンタルフロスの正しい使い方」など、日常に活用できる情報を提供。
・ストーリーで伝える
・実際にデンタルケア製品を使用した患者様の体験談を紹介
・「製品を使う前後の違い」をわかりやすい画像やデータで伝える

3. セルフケアグッズの販売促進策

待合室マーケティングの一環として、セルフケア商品の紹介や販売を行うことも効果的です。例えば、患者様がセルフケアの重要性を理解したタイミングで、歯磨き粉、歯間ブラシ、デンタルフロス、舌クリーナーなどの製品を手に取りやすい場所に陳列します。
さらに、使用方法を写真や動画で見せることで、「使い方がわからない」という購入の障壁を取り除くことができます。販売を促進するために、実際に院内で推奨されている商品を説明している歯科衛生士のアドバイスも、患者様に安心感を与えるでしょう。

医院全体でのアプローチ
・スタッフによるアプローチ
・スタッフが製品を実際に使用し、その感想を共有することで信頼感を高める。
・患者様に具体的な使用方法をデモンストレーションする。
・カウンセリングで提案
・待合室で興味を持った患者様に対し、診察後に「待合室で」製品の活用法や選び方を提案する。そうすると周りの人も興味を持ってもらえて一石二鳥になる

4.待合室マーケティングの重要性とメリットのまとめ

待合室という場所は、先生にはどう見えていますか?
先生は、医院の待合室を「患者様との最高のコミュニケーションの場」として捉えたことはありますか?

単に待ち時間を潰すための雑誌や、新商品のパンフレットなどを置いておけば良いと考えてはいないでしょうか?

今はみんなスマホを見たりする時代だからこそ、工夫すれば待合室は医師からのメッセージや新しい商品、自費診療の紹介などを伝えられる重要な場所となります。
グッズを置くのも、ここ待合室になり、患者様にとって魅力的なグッズをそろえ、伝え方・見せ方を工夫することによって時間潰しの場所だった待合室が「1ヶ月に100万円」以上も売り上げる場所になり得るのです。

「医院経営にはマーケティングが重要」と聞くとどのようなイメージを持ちますか? マーケティングという言葉は「金儲け」というマイナスな印象を与えるかもしれませんが、決してそうではありません。

マーケティングとは、以下のように定義されています。

・米国マーケティング協会(AMA):「マーケティングとは個人及び組織の目標を満足させる交換を創造するため、アイデア・財・サービスの概念形成(コンセプト)・価格・プロモーション・流通を計画し実行する過程である
・P.ドラッガー:「マーケティングとは顧客の創造とその維持である」
・日本マーケティング協会:「企業及び他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である」
つまり歯科医院におけるマーケティングとは、患者様を創造し維持するための施策であると同時に、単なるこちらからの押し付けではなく「患者様のなりたい自分になる手助け」「顧客ニーズを満たすこと」なのです。

私が学生時代にABCマートでアルバイトをしていた時に「ニューロマーケテイング(Neuro-marketing)」に出会いました。ニューロマーケティングとはneuro(神経)とmarkting(市場活動)の造語で、脳の反応を計測することにより消費者心理や行動の仕組みを解明・応用するマーケティング活動です。これを医院の待合室に応用したものが「医療物販学」です。

私がABCマートでやっていたことは、「お買い上げの際にレジで関連する商品をおすすめする」という手法です。もちろん全く関係無い単価の高い商品を勧める訳ではなく「こちらもご購入頂くとこんな使い方ができますよ」という、お買い上げの商品に対してプラスの提案を含めたものです。 これに対して自分のニーズに合うと思うお客様は追加購入し、興味が無ければ購入しない、それだけのことです。しかしそこから話が弾んで興味を持ち他の商品の紹介に繋がることもあり、そのような場合、お客様はさらに満足度を高めて帰っていきます。

「グッズ販売が苦手」と思われている先生は、興味を抱かせる前に商品の説明をしてしまっているのかもしれません。こちらが押し付けるのではなく、しっかりと患者様のニーズにこたえながら五感に訴え、さらに専門家の説明により安心・納得した上で「これ買いたいな」という欲求を自ら持ってもらうこと。これが医療物販学の重要な考え方です。

「医療物販学」:医院のメリット

医療物販学が生まれた背景には、私自身の経験があります。私の勤務医時代には自費診療を勧めることが多かったものの、下町の実家に戻って開業した際には自費診療に関心がある患者様はほとんどおらず、来て欲しい患者様と実際の患者様に大きな差がありました。そのギャップを埋めるために始めたのが、待合室を最大限に活用する「医療物販学」です。

物販自体の売り上げは、単価も粗利も低く、それ自体の直接的な売上貢献度はさほど高くありません。しかし物販を通じて患者様の歯に対する意識やデンタルIQを上げることで、結果的に物販金額の上昇に比例して自費診療の売り上げも上がっていったのです。

オーラルケア関連市場が年間4千億円を超えていることを考えると、患者様の意識が変われば物販だけでも十分利益が上げられるでしょう。しかし何より一番の目的は「物販を通じて患者様のデンタルIQを上げることで、お口の中に対する興味が高まり、自然と自費率の向上につながる」ということ。
つまり医療物販学には、単なる物販の小さな売り上げから、自費診療の増加へとつながる大きな可能性を秘めているのです。

もう一つ大きな効果としては、スタッフにも協力を仰ぎアイデアをもらいながら進めていくことでスタッフにとって「受付業務や治療以外の新たな職場での役割」が生まれることです。
自身のアイデアが採用され、患者様も興味を持ってくださることで売り上げにつながっていく。そのような今までとは違う形で医院に貢献できることがやりがいとなり、結果的にスタッフの離職率低下に繋がります。

実際に患者様の待合室での様子が分かっていて他愛もないおしゃべりをしているのは、受付スタッフをはじめとした女性スタッフです。だからこそ商品のディスプレイやPOP(説明)など、どんどんスタッフの意見を取り入れ、主体的に動いてもらいましょう。
グッズの選定から在庫管理、患者様の感想などを共有することで、スタッフ間の関係改善や医院の活性化、そしてスタッフのあらたなやりがいにもつながることでしょう。

【プロフィール】

中原 維浩  先生

中原 維浩 (なかはら まさひろ)
医療法人社団栄昂会 理事長
オンラインサロン中原まさひろの医療物販学LABO主宰
歯科医師
メディカルコーチ

【ご略歴】
2010年 東京歯科大学 卒業
2011年 東京歯科大学千葉病院総合診療科 研修終了
2011年~神奈川県内勤務医をしながら世界14カ国の卒後研修
2016年 医療法人社団栄昂会 細田歯科医院 継承
2017年 DECT株式会社 代表取締役社長 就任
2018年 戸塚駅前トリコ歯科医院 新規開業
2020年 医療法人社団栄昂会 理事長に就任
2021年 株式会社 中原まさひろの医療物販学LABO(オンラインサロン)開設

【ご所属】
ICD(国際歯科学士会)Fellow】
日本アンチエイジング歯科学会 常任理事・認定医】
日本臨床歯科CADCAM学会 関東甲信越支部役員】
日本スウェーデン歯科学会 理事】
日本顎咬合学会 認定医】
ジャパンオーラルヘルス学会 認定医】
国際口腔インプラント学会 Fellow】
JFIR(日本病巣疾患研究会)会員】
JSOM(日本オーソモレキュラー学会)会員】


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