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小児歯科に関する略語・専門用語①に続いて今回も小児歯科に関するワードについて解説していきます。確認し、知識として蓄えていきましょう。
歯質の変色など、歯質に関する用語を2つ解説します。
エナメル質の形成期に起こった問題により、エナメル質に生まれつき障害がある歯のことで、第一大臼歯、中切歯、側切歯に発症しやすいです。症状には以下のようなものがあります。
● エナメル質が綺麗に成長せずにくぼんだ部分がある
● 象牙質が露出して黄色く変色している
● 狭い範囲の変色がある
いずれも歯質が弱く、カリエスになりやすいため注意が必要です。
乳歯のカリエスを放っておくと、カリエスが進行して根尖性歯周炎を起こします。これによりその後続永久歯が影響を受け、歯質に形成不全が起きた歯をターナー歯といいます。原因となる根尖性歯周炎の程度や範囲、その影響を受けた時期によって障害の度合いが異なります。例えばエナメル質の白斑や黄褐色の変色に留まるものから、象牙質の形成不全を伴うものまでさまざまです。
小児歯科でみられる口腔粘膜疾患には以下のようなものがあります。
● 先天性歯(鬼歯・魔歯)
● リガフェーデ病(舌の潰瘍)
● 上皮真珠
● 粘液嚢胞
● 鵞口瘡(口腔カンジダ症)
● 地図状舌
出産時または生後1~2ヵ月以内と早期に生えてきてしまう歯のことで、鬼歯または魔歯とも呼ばれます。原因は特定されておらず、発症は下顎乳中切歯がほとんどです。エナメル質が形成途中の段階で萌出してきてしまうため、象牙質が露出して歯髄感染を起こすことがあります。
なお授乳時に舌下部を刺激することで、リガフェーデ病を誘発することもあります。
下顎乳中切歯の早期萌出(先天性歯)により生じる舌の潰瘍のことで、表面は灰白色ををしています。潰瘍が消退せず症状がひどくなると、赤ちゃんが哺乳困難になることもあります。また母体の乳房を傷つけるようであれば、歯の尖っている部分を削って丸めるか、必要であれば抜歯を行います。
乳幼児の歯槽堤歯肉に生じる、白色や黄白色の小さな球状の塊のことです。見た目が真珠に似ていることから上皮真珠と呼ばれ、歯胚の発育過程で歯堤が吸収されずに残って角化し形成されます。1個または数個の小さな塊が前歯部、臼歯部の歯堤部歯肉に現れます。上顎前歯部に好発し、自然に消滅します。
顎口腔領域の軟組織に発生する嚢胞の中で、もっとも多く見られるものです。口腔粘膜には無数の小唾液腺が存在しますが、その流出障害によって生じます。粘膜面から半球状に膨らみ、境界明瞭で軟らかく、増大すると薄く半透明な青紫色に見えます。下口唇、口腔底部、舌尖下面、頬粘膜に好発します。
カンジダというカビ(真菌)の一種によって起こる感染症で、口腔カンジダ症とも呼ばれます。主に新生児または乳児に見られ、灰白色あるいは乳白色の点状、線状、あるいはまだら状の苔が粘膜表面に付着します。多くは痛みもかゆみもないため治療の必要はありません。
舌の表面に、白い縁の赤いまだら模様が現れる疾患で、1〜6歳までの子どもの約15%に見られるものです。さまざまな大きさと形で舌全体に広がりを見せ、その様子地図のように見えることから地図状舌と呼ばれています。
地図状のまだら模様は大きくなったり小さくなったり位置が変わったりなど、日ごとに変化するのが特徴です。通常自覚症状はほとんどありません。症状の出現が数年に及ぶものもありますが、幼児期を過ぎると自然消滅するため治療の必要はありません。
島根県出身・岡山県の専門学校卒業。日本歯科衛生士会長賞受賞。
6年間岡山県の一般歯科、6年間島根県の一般歯科いずれの歯科医院でもチーフとして勤務。
歯科衛生士としてもっと幅広く活動したいという思いから退職し、2021年7月からフリーの歯科衛生士に転身。
現在は「子どもから指名を受ける歯科衛生士」として子どもの口育講座などを行う。
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