患者担当制で自信を持って働きたい! 日本ヘルスケア歯科学会認定歯科衛生士になるためのステップとは?

この記事は
無料会員限定です。


目次

はじめに

みなさんは日々の診療の中で、「これで良いのかな?」「患者さんを健康にできているのかな?」などと悩むことはありませんか?
歯科衛生士学校を卒業した後、ご自身の知識や技術はどのように培っているでしょうか。

日本の歯科衛生士教育の中で、卒業したら即戦力として歯周治療に従事することは正直なところなかなか難しいことだと思います。
なぜなら学校では国家試験に合格するために、とても広い分野について学ぶことが必要であり、学校での実習の中でSRPやカリエスマネジメントを患者さんに実施できるレベルに上げるには時間が足りません。
つまり、現状は卒業後に本格的な歯周治療やう蝕のコントロールについて知識と技術を深めていく必要があります。

日本ヘルスケア歯科学会とは?

数ある学会の中で、【日本ヘルスケア歯科学会】をご存知の方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
正直なところ、まだまだ“メジャー学会”とは言えないかもしれませんが、私たちが一体どんなことを頑張っている学会か、まずはそこからお話しします。

日本ヘルスケア歯科学会では「健康を守り育てる歯科医療」を基本ポリシーとして掲げているのですが、その診療スタイルのことを「ヘルスケア型歯科診療」として所属会員、所属医院にて実践しています。従って所属会員のほとんどが『臨床家』であることも特徴のひとつです。
「ヘルスケア型歯科診療」とは一体どんな診療かと申しますと、

・病因論に基づいた質の高い治療
・規格性のある資料で情報をシェア
・長くおつきあいできる診療
・チームで行う診療
・診療の成果を把握できる診療

上記を実践することを言います。
要はきちんと病気を治し、また病気にならないように
「ちゃんと検査」をして
「ちゃんと治療」をして
「ちゃんとメインテナンス」をする
これを医院(チーム)でサポートしていく診療のかたち、となります。

いかがでしょう?「実に当たり前!」だと思いませんか?ところが星の数ほど(少しずつ減ってきているとはいえ)存在している歯科医院において、この“当たり前”がどの程度実践できているか、残念ながら全ての歯科医院にて“当たり前”ができているとは言い切れないのが現状です。
また、『う蝕』と『歯周病』という二大疾患において「う窩の修復」や「歯周外科処置」以外の部分で多くを担うのが【歯科衛生士】です。
歯周基本治療の確実な技術はもちろんですが、まず歯科医師が歯周病の診断をするためにデータとして活用する歯周組織検査や口腔内写真、デンタルX線写真の精度が低かったら、正しい診断はできません。

口腔内写真やデンタルX線写真などの画像データにおいては、規格性のある写真であることが求められます。歯周組織検査においては正しく測定された数値が重要です。私たちの知識と技術(X線については【位置付け】に限ります)が重要になるわけです。その“当たり前”について会員同士切磋琢磨したり、全国の仲間と情報共有したり、その考えや知識・技術を広げていくことを日々頑張っているのが【日本ヘルスケア歯科学会】です。

日本ヘルスケア歯科学会認定歯科衛生士とは?

ここまでお話ししたように、「健康を守り育てるヘルスケア型歯科診療」では、チーム医療が必須となりますが、そのチームの中心となる存在は歯科衛生士です。
ヘルスケア型のチーム医療において患者さんを担当制で受け持つための知識や技術を検定によって評価認定するために設けたのが【認定歯科衛生士制度】になります。

他学会にも【認定歯科衛生士制度】は存在しますが、本学会の認定制度では“当たり前”を実践するために必要なコミュニケーション能力、知識技術を習得する研修プログラムを実施し、更に技術検定(口腔内写真・歯周組織検査)があることも大きな特徴です。

日本ヘルスケア歯科学会認定歯科衛生士までのステップ

「認定歯科衛生士」になるためには、まずは日本ヘルスケア歯科学会の会員になることから始まります。
そして、認定の条件として具体的には以下の検定に合格することが必要です。(1.と2.が実技検定となります。)

1.口腔内写真撮影検定
1人で10分以内に要件を満たした口腔内写真撮影ができること

2.歯周組織検査検定
1人で20分以内に全顎歯周組織検査ができること

3.病因論検定
歯周病とカリエスの病因論についてはあらかじめ課題図書を読んでレポート提出
歯周病6回(6週)・カリエス7回(7週)

4.症例検定
う蝕と歯周病について各4症例ずつ提出

5.講義動画視聴
オンラインにて課題動画を視聴し、確認テストに回答

これらを『基礎コース』の受講、または条件を満たした上で『検定会』の受験をすることで取得します。

日本ヘルスケア歯科学会認定歯科衛生士になると

現在、日本ヘルスケア歯科学会認定歯科衛生士は200名を超えるところまでやってきました。
今年度(2024年度)も17期目のコースがスタートしています。

認定を取得するということは患者さんの健康を守り育てるために必要な基礎的な知識と技術を持っていることを証明することができます。
もちろんそこで終わりではなく、さらなる自己研鑽を積むことで、その認定の価値は上がり続けることになります。

例えば、「自医院の患者さんが引っ越しをすることになった。引っ越し先で良い歯科衛生士さんにメインテナンスを継続してほしい。」などという時には認定歯科衛生士のいる医院を紹介することで、安心して患者さんを送り出すことができます。

また、スタッフが認定を取得することで院内の新人教育にノウハウを活かすことができるようになります。
共に学んだ仲間や、インストラクターとのネットワークによって、日々の疑問や悩みを相談できる『場』ができたりします。
自分自身のスキルアップ以外にもたくさんのメリットがあると言えるでしょう。

おわりに

私はこの制度を通して、全国にたくさんの『仲間』ができました。
また、インストラクターの経験が現在勤務している歯科衛生士学校での教員という立場にとても活きています。

医院に育てられ、日本ヘルスケア歯科学会に育てられ、仲間たちと学び続けることが【今の私】を作っています。
そんな経験を、全国で頑張っているたくさんの歯科衛生士のみなさんにも体験して欲しいなと思います。

よかったら一緒に学びませんか?
日本ヘルスケア歯科学会HPはこちらから

プロフィール

山田 美穂 先生

山田 美穂(やまだ みほ)

<ご略歴>
1997年 日本大学歯学部附属歯科衛生専門学校卒業
1997年 河野歯科医院入局
2007年 河野歯科医院退職
2012年 医療法人社団友和会太陽歯科衛生士専門学校入社 現在に至る
2011年 日本ヘルスケア歯科学会認定歯科衛生士取得
2021年 全国歯科衛生士教育協議会専任教員認定歯科衛生士取得

記事提供

© Dentwave.com

この記事を見ている人がよく見ている記事

《医師・歯科医師・薬剤師向け》無料オンラインセミナー4/21(日)朝10時開催 『質の良い睡眠とは何か? ~心身の健康との関連~』講師:三島 和夫 先生(秋田大学大学院医学系研究科精神科/教授)

【プレスリリース】日本の歯科医師たちによる、カンボジア国内の子どもたちの虫歯を減らすプロジェクトが2024年11月に発動!~カンボジア政府と協力して、虫歯のない世界を目指す~

【プレスリリース】株式会社OSSTEM JAPAN 歯科学術シンポジウム『オステムミーティング 2024東京』を開催!OSSTEM IMPLANT DENTAL ACADEMIC SYMPOSIUM

【プレスリリース】《医師・歯科医師・薬剤師向け》無料オンラインセミナー3/31(日)朝10時開催 『バイオフィードバック・ニューロフィードバックの臨床での活用/ASD・ADHDなど発達障害、PTSD、トラウマ、不安神経症、IBS、アスリートのピークパフォーマンスへの適用+デフォルトモードネットワーク研究の最新情報』 講師:伊藤 明子先生(赤坂ファミリークリニック/院長)

聴覚障害のある新人歯科医師の夢は…【長野】

【プレスリリース】注目される「口腔ケア」 ~歯周病と全身疾患、そして口臭予防~「口腔ケア」に“舌ブラシ”を取り入れる大切さを、歯科医師にインタビュー!~舌ブラシの有効性についてのコメントを公式HPに公開~

OSSTEM MEETING 2024 TOKYO

【プレスリリース】《医師・歯科医師・薬剤師向け》無料オンラインセミナー3/10(日)朝10時開催『エクソソーム療法を超える?!次世代ヘルスケア/迷走神経刺激療法のエビデンスと可能性!』講師:末武信宏先生(さかえクリニック/院長、順天堂大学医学部 病院管理学教室/非常勤講師)

新着ピックアップ