【医療DX推進体制整備加算とは】2024(令和6)年度の歯科診療報酬改定を解説!

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2024(令和6)年度の歯科診療報酬改定で、医療DX推進体制整備加算についての変更が述べられています。この加算は、歯科診療におけるデジタル技術の導入と運用体制を整備することで、診療の質を向上させ、業務効率を高めることを目的としています。
本記事では、医療DX推進体制整備加算の概要や算定要件など、歯科医師が知っておくべき点を簡単に解説します。

医療DX推進体制整備加算とは

医療DX推進体制整備加算は、医療機関におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を目的としています。歯科診療においてもデジタル技術の導入が加速しており、診療の質や効率性を高めることが求められています。

歯科での医療DXの例

歯科では以下のようなものが医療DXとして挙げられます。
  • ・オンライン予約システム
  • ・予約管理システム
  • ・オンライン診療
  • ・口腔内スキャナー
  • ・デジタルサブカルテ など
つまり、上記のような歯科のデジタル化を推進するための体制を整備している医療機関に対する、診療報酬加算が医療DX推進体制整備加算です。

令和6年6〜9月の加算点数

令和6年度の診療報酬改定では、令和6年6〜9月の医療DX推進体制整備加算として、具体的に以下のような項目が新設されました。
  • ・医療DX推進体制整備加算:8点
  • ・医療DX推進体制整備加算(歯科点数表初診料):6点
  • ・医療DX推進体制整備加算(調剤基本料):4点

令和6年10月以降の加算点数

令和6年10月以降は、以下のような項目に見直されます。
・マイナンバーカードを健康保険証(マイナ保険証)として利用することについて、十分な実績を有している医療機関である場合(マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に関わる相談に応じること)
 ○医療DX推進体制整備加算1:11点
 ○医療DX推進体制整備加算1(歯科点数表初診料):9点
 ○医療DX推進体制整備加算1(調剤基本料):7点
・マイナンバーカードを健康保険証(マイナ保険証)として利用することについて、必要な実績を有している医療機関である場合(マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に関わる相談に応じること)
 ○医療DX推進体制整備加算2:10点
 ○医療DX推進体制整備加算2(歯科点数表初診料):8点
 ○医療DX推進体制整備加算2(調剤基本料):6点
・マイナンバーカードを健康保険証(マイナ保険証)として利用することについて、実績を有している医療機関である場合
 ○医療DX推進体制整備加算3:8点
 ○医療DX推進体制整備加算3(歯科点数表初診料):6点
 ○医療DX推進体制整備加算3(調剤基本料):4点
上記3つに分ける基準となるマイナ保険証の利用実績(利用率)は、以下の数値によって定められます。
利用率実績:令和6年7〜9月
→適用時期:令和6年10月〜
利用率実績:令和6年10月〜
→適用時期:令和7年1月〜
医療DX推進体制整備加算1 15% 30%
医療DX推進体制整備加算2 10% 20%
医療DX推進体制整備加算3 5% 10%

※令和7年4月以降は、2024年末を目処に検討・設定される予定

マイナ保険証利用率の算出方法

マイナ保険証の利用率の算出方法には、以下の2つがあります。
  • 1.レセプト件数ベース利用率:マイナ保険証の利用者数合計 ÷ レセプト枚数
  • 2.オンライン資格確認件数ベース利用率:マイナ保険証の利用件数 ÷ オンライン資格確認等システムの利用件数
基本となるのは1.です。しかしこの方法では利用率の把握が2ヶ月後となるため、マイナ保険証の利用実績としては3ヶ月後から反映されることになります。

それに対して2.は、利用率が1ヶ月後には把握できるため、マイナ保険証の利用実績としては2ヶ月後から反映させることができます。そのため、令和7年1月までに限りこちらを利用することもできます。

煩雑であれば、原則1.のレセプト件数ベースで利用率を算出すると考えておくと良いでしょう。

医療DX推進体制整備加算の算定要件

厚生労働省の資料によると、以下の条件を満たした場合に、月1回8点を加算できるとされています。
  • ・自院が厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関であること
  • ・自院での初診患者
では「厚生労働大臣が定める施設基準」とはどういった内容なのでしょうか。次の項目で詳しく解説します。

医療DX推進体制整備加算の施設基準

医療DX推進体制整備加算を行うためには、施設基準として以下を満たす必要があります。
  • ・オンライン請求を行なっていること
  • ・オンライン資格確認を行う体制を有していること
  • ・電子資格確認を利用して取得した診療情報を、診察室あるいは手術室等において、閲覧または活用できる体制を有していること
  • ・電子処方箋を発行する体制を有していること
  • ・電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること
  • ・マイナンバーカードを健康保険証(マイナ保険証)として利用することについて、一定の実績を有していること
  • ・自院の医療DX推進の体制について、院内の見やすい場所やウェブサイト等に掲示していること
マイナ保険証やオンライン資格確認、電子カルテ等、歯科における医療DXとして代表的なものの設備を整えた医院であれば、施設基準を満たすのは難しくないと考えられます。

医療情報取得加算とは

医療DX推進体制整備加算と似たものとして、医療情報取得加算があります。これはオンライン資格確認を導入している保険医療機関において、質の高い診療を行うために患者の診療情報を活用している医院が対象となるものです。

令和6年6〜11月の加算点数

令和6年6〜11月の医療情報取得加算として、具体的に以下のような項目が挙げられています。
・初診時
 ○医療情報取得加算1(一般的な保険証利用):3点
 ○医療情報取得加算2(マイナ保険証利用):1点
・再診時(3ヶ月に1回算定可能)
 ○医療情報取得加算3(一般的な保険証利用):2点
 ○医療情報取得加算4(マイナ保険証利用):1点
・調剤時(6ヶ月に1回算定可能)
 ○医療情報取得加算1(一般的な保険証利用):3点
 ○医療情報取得加算2(マイナ保険証利用):1点

令和6年12月以降の加算点数

令和6年12月以降は、以下のような項目に見直されます。
  • ・初診時:1点
  • ・再診時(3ヶ月に1回算定可能):1点
  • ・調剤時(12ヶ月に1回算定可能):1点
つまり、令和6年12月以降は、マイナ保険証利用の有無に関わらず、同じ点数が加算されます。

医療DX推進体制整備加算の届出方法

自院にて新たに医療DX推進体制整備加算を開始したい場合は、届出が必要です。逆に、すでに医療DX推進体制整備加算の届出を行なっている場合は、改定があったとはいえ届出直しは不要です。なおすでに医療DX推進体制整備加算の届出をしている医院であっても、基準を満たさなくなった場合は算定できないため注意が必要です。

またマイナ保険証利用率の施設基準は、毎月の社会保険診療報酬支払基金から報告されている、マイナ保険証利用率が基準を満たしていれば問題ありません。そのため特に届出を行う必要はありません。

医療DX推進体制整備加算の届出書類は、関東信越厚生局ではこちらのページからダウンロードすることができます。ご不明点は管轄の地方厚生局にお問い合わせください。

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ミホ
執筆 ミホ
東京医科歯科大学卒業後、都内歯科大学病院に勤務。退職後はフリーランスの「歯科衛生士ライター」として活動し、ライターの指導や教育、ディレクションも行う。自身で制作・運営を行なっていた歯科メディアは販売を達成。大学の卒業研究では日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科衛生研究所賞)を受賞。現在はDentalMonitoringJapanに勤務し、2児の母でもある。
Instagram:@toothteethtokyo
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© Dentwave.com

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