その撮影方法で大丈夫…?デンタルX線写真の撮り方が臨床に与える影響とは

納得のいくデンタルX線写真に対する憧憬

ご自身が撮影されるデンタルX線写真に満足できておらず、改善を模索されている先生もおられるのではないでしょうか?
私自身、勤務医時代から一貫してX線写真には興味があり、さまざまな書籍を見ては取り組んできましたが、なかなかうまくいかないのが現状でした。

その理由は今思うと2つあって、書籍に掲載されている10枚法は往々にして撮影しやすい患者さんであり、見栄えが良いものが採用されていると思われます。

ところが、目の前の患者さんは歯列形態や軟組織の柔軟性によって撮影のしやすさは十人十色です。
そのため、歯科治療においてデンタルX線写真が大切だという総論や読影法の各論は書籍で理解できますが、具体的なところは医院で試行錯誤するしかなかったのが現状でした。

もう一つは私自身、臼歯部の撮影はリング付きのインジケーター(時には既製品を自分で改良したもの)を使う方法しか知りませんでした。
また、そのリングにきっちり合わせているのだから、それ以上の撮影方法はないと思っていました。

転機は突如やってきて、所属する学会の先輩が開業したばかりの私に親身に教えてくださったことで徐々に道は開けてきたのです。

デンタルX線写真のレベルアップは歯科診療のレベルアップになる

後に開業医の院長という立場で診療室の舵取りを始めた時には、自分自身のレベルアップのためにも口腔内写真とデンタル10枚法は日常的に撮影しよう、と決めていました。日々の忙しい診療の中で、撮影に一定の時間を割くことの壁は乗り越えました。

一方で、デンタルX線写真の質はなかなか向上しませんでした。

具体的にはDentwaveのウェビナー内で触れておりますが、デンタルX線写真の質が向上してくると、治療計画を立てる段階でのエラー(不適切なデンタルでは確認できないことによる見落とし)が激減し、治療後時間が経つほどに歯科医師や歯科衛生士が行なった処置が適切だったこと、あるいは至らなかったことを目の当たりにし、診療の流れや診療内容の改善を続けてきました。

現在、開業から16年が経過しましたが、あの時デンタルX線写真撮影の改善に取り組んでいなかったら現在のやりがいを感じることは不可能だったでしょうし、衛生士の成長も限定的だったことは疑いの余地もありません。

できるだけ遠回りせずに美しいデンタルX線写真を撮影して欲しい

私自身は歯科医師のライセンスを得てからそこに至るまで9年もかかってしまいました。

これから取り組む若い歯科医師の先生方には出来るだけ遠回りせずに適切なデンタルX線写真を手に入れて診療をし、患者さんの笑顔とご自身の仕事のやりがいに繋げてほしいと願っております。

この度、柿本直也先生(広島大学・歯科放射線学・教授)、藤田剛先生(三重県開業、歯周病専門医)、高橋啓先生(愛媛県開業、日本ヘルスケア歯科学会会長)と4名共著という形で出版されました、『診断の精度を上げる! デンタルエックス線画像撮影㊙︎テクニック&活用法』(インターアクション社)はそのようなコンセプトで見やすく、これから取り組む方に優しい紙面構成となっております。

ウェビナー内でも触れておりますが、書籍だけでは説明しにくかった内容が動画を用いることで非常に短い時間でご理解いただけることになりましたし、動画だけでは伝えきれない項目を書籍では網羅しておりますので、ウェビナーをご視聴の際には是非書籍と共にご覧いただければ最短で美しいデンタルX線写真を手に入れることができるようになっております。

デンタルX線写真の質を向上させて、日々の臨床をアップさせましょう。

ウェビナーコンテンツのご紹介

①平行法のデンタルとはどういうものなのか?
②パノラマとデンタルはどうやって使い分けるのか?
③合格ラインを決めておく
④なぜ、初診時に平行法で撮影された10枚法が必要なのか?
⑤経過観察は自分の目で、スタッフの目で、先輩後輩の目で
⑥用意する道具
⑦臼歯部を平行法で撮影する方法
⑧実際の患者さんで10枚法を撮影している風景(所要時間5:33)

前半の26分ではなぜ初診時にパノラマではなくデンタル10枚法が必要なのかを実例とともにお示ししております。

これだけ時間をかけた理由ですが、昨今は開業時にCTを導入される医院も多々あり、スクリーニングはパノラマで、詳細はCTでと、ディーラーから推奨されることもあると聞き及びます。

その場合、日々の忙しい臨床の中でパノラマよりも撮影時間がどうしてもかかる10枚法を初診時に撮影することはそれなりに高いハードルがあると思われるため、そういったことを念頭に置きそれでも良い臨床のためにはデンタルの優位性が高いことをお示ししております。

もしも、そこは重々理解しているので具体的な方法を教えてほしいという方は是非後半の⑥からご覧いただければと思います。ここでは、臼歯部を平行法で撮影するための方法をスライドと、当院のスタッフと患者さんの協力を得て実際のレントゲン室での映像をご覧いただけます。

古くて新しいデンタルX線写真を見直して、現代の歯科医療に明るい花を咲かせ、患者さん、歯科医療従事者の満足度を高めていきましょう!

滝沢先生が登壇したウェビナーはこちら!

もっと早くに知りたかった! 臨床が変わるデンタルX線写真の平行法撮影
ご自身が撮影されるデンタルX線写真に満足できておらず、改善を模索されている先生もおられるのではないでしょうか?
そこで、本ウェビナーでは、青森で開業されているたきさわ歯科クリニック院長の滝沢江太郎先生より、臨床が変わるデンタルX線写真の平行法撮影についてお話しいただきます。平行法で撮影することにより、ターゲットとする歯や歯槽骨の状態をより鮮明に理解できるようになるはずです。
もっと早くに知りたかった! 臨床が変わるデンタルX線写真の平行法撮影

執筆者

滝沢 江太郎 先生
たきさわ歯科クリニック 院長
<ご略歴>
  • 1977年4月青森市生まれ
  • 1996年4月東北大学歯学部入学
  • 2003年3月東北大学歯学部卒業
  • 2007年9月日本ヘルスケア歯科研究会
    (現在の日本ヘルスケア歯科学会)入会
  • 2008年6月スタディグループA.D.R.G.入会
  • 2008年9月現在地にて、たきさわ歯科クリニック開業
  • 2016年4月青森県小児歯科勉強会 入会
<著書>
  • 『臼歯部のデンタルエックス線写真を平行法で撮影するための工夫』
    日本ヘルスケア歯科学会誌 第14巻 第1号(2013年)
  • 『初診時高校生、う蝕活動性が高い患者の修復治療にあたり配慮したこと』
    日本ヘルスケア歯科学会誌 第15巻 第1号(2014年)
  • 『“口腔を生涯守る”時代の今 ヘルスケア型歯科医院に学ぼう』共著
    the Quintessence 2014年7月号
  • 『nico』「ちいさなおくちじまん」 2015年2月号
  • 『HOME DENTIST PROFESSIONAL 2』
    共著 インターアクション株式会社 (2018年)
  • 『診断の精度を上げる!デンタルエックス線画像撮影㊙テクニック&活用法』
    共著 インターアクション株式会社(2024年)
記事提供

© Dentwave.com

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