MFTは口腔筋機能療法とも呼ばれ、口や顔の筋肉の機能を改善するためのエクササイズを提供します。特に子どもにおいては、正しい噛み合わせや呼吸を確立するのに重要です。本記事では、子どもと保護者が理解し、自宅で実践できるMFTのトレーニング方法とその実践について紹介します。
①ファットタング・スキニータング
【目的】
舌の筋力とコントロールを向上させ、正しい舌の位置を維持することを目指します。
【方法】
1.ファットタング
口を軽く開け、舌を広げて上下の歯に触れないようにします。5秒間保持し、リラックスします。
2.スキニータング
舌をなるべく細くし、上顎に押し付けます。5秒間保持し、リラックスします。
【ポイント】
鏡を使い子どもに舌の動きを確認させると良いです。
1日3回、各5セット行うのが理想です。
②ティップアンドスティック
【目的】
舌の先端の筋力を強化し、舌の正しいポジショニングを促進します。
【方法】
1. 舌の先端をスティックにつけます。
2. 5秒間保持し、リラックスします。
【ポイント】
スティックと舌を押し合い、舌の動きを感じることが重要です。
1日3回、各5セットを目指しましょう。
③ミッドアンドスティック
【目的】
舌の中部の筋力を強化します。
【方法】
1. 舌の中部を上顎の中央に押し付けます。
2. 5秒間保持し、リラックスします。
【ポイント】
舌全体を使う感覚をつかむことが重要です。
ただし、嘔吐反射がある場合は難しい場合があります。
1日3回、各5セットを行いましょう。
④リップトレーサー
【目的】
唇の筋力を強化し、正しい口唇閉鎖を促進します。
【方法】
1. 口を開けた状態で舌を唇の内側に沿って一周させます。
2. 反対方向にも同様に行います。
【ポイント】
舌が唇の内側にしっかりと触れるように意識します。
1日3回、各5セット行うと効果的です。
⑤ガーグル(うがい)ストップ
【目的】
喉や舌の後部の筋力を強化し、口腔内の筋肉全体の協調性を高めます。
また、鼻呼吸を促進するための運動でもあります。
【方法】
1. 水を口に含み、軽くガーグルをします。
2. うがいを止め、5秒間保持します。
3. 水を吐き出し、リラックスします。
【ポイント】
うがいの音がしっかりと出るように意識します。
1日3回、各5セットを目安に行いましょう。
①楽しく行う
"MFTは楽しいこと"だと思ってもらえるよう、ゲーム感覚で行うと子どもも楽しく取り組めます。
②褒める
舌癖がある子ども、舌小帯が短い子どもは初めからトレーニングを問題なくできるはずがありません。できないことを注意するのではなく、小さな進歩を見逃さず、褒めることでモチベーションを高めてあげましょう。
①利点を強調
MFTが将来的にどのような利点をもたらすかを具体的に説明しましょう。 また、保護者も子どもと同じ舌癖がある可能性もあるので、一緒にトレーニングをしてもらうように説明すると、MFTの意味を理解してもらえるかもしれません。
②デモンストレーション
実際にエクササイズを行って見せることで、保護者も理解しやすくなります。
①カレンダーの活用
MFTを行う際に、習慣が定着するまでのサポートとしてご自宅で「できたよカレンダー」を活用してもらいましょう。
この方法は特に子どもに対して効果的であり、モチベーションの維持と進捗の可視化に役立ちます。カレンダーにシールを貼ったり、日付を書き込んだりすることで、毎日の練習が達成されたことを視覚的に確認できます。これにより、達成感を得ることができ、継続する意欲が湧いてきます。シールを貼る行為自体が小さな報酬となり、楽しみながら習慣化を促進します。
②家族で一緒に取り組む
また、家族で管理することで、子どもが一人で取り組むのではなく、保護者や兄弟姉妹と一緒に進めることができます。これにより、家族全体での協力体制が築かれ、子どもにとってもサポートを感じやすくなります。さらに、保護者が日々の進捗を確認し、適切なフィードバックや励ましの言葉をかけることで、子どものモチベーションを高めることができます。MFTの効果を最大限に引き出すためには、日々の練習の継続と家族の協力が不可欠です。
MFTは子どもの口腔機能を向上させるための重要なトレーニングです。
それぞれのエクササイズを通じて、舌や唇、喉の筋力を強化し、正しい口腔機能を維持することが可能です。子どもと保護者が一緒に楽しく取り組むことで、効果的な結果が得られるでしょう。
歯科大学歯科衛生士学科卒業後、小児患者や障害者の歯科診療体制や、歯科恐怖症患者について学ぶため歯科大学付属の専攻科へ進学し口腔保健学学士を取得。その後は小児歯科専門歯科医院にて勤務。歯科衛生士ライターは「歯科に苦手意識を持っている人が媒体を通して理解し、歯科を身近に感じることで歯医者に行ってみよう」という気持ちになることを後押ししたいという思いから学生時代に始めた。
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