口腔癌の中で最も多い!舌癌に関する用語

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前半では埋伏歯と顎関節症の専門用語・略語について解説しました。後半では開業歯科医院や歯科診療所で対応することが多い疾患と口腔がんについて、それぞれの専門用語・略語、歯科衛生士としての役割にはどのようなことがあるかなどを解説します。

口腔外科に関する略語・専門用語

今回は以下の専門用語・略語について解説します。

● 顎関節脱臼
● 口内炎
● 口腔がん
● 口腔乾燥症

③顎関節脱臼

顎関節脱臼とは顎が外れた状態のことを指します。例えば歯科治療の際に大きく口を開けた状態が続くと、関節が外れて口が閉じられなくなることなどがあります。その際に、術者の手で外れた関節を戻す「徒手整復」を行います。これを「ヒポクラテス法」とも呼び、整復後は1週間大きく口を開けないよう指示します。

また顎が外れてしまうことが癖になっていることを「習慣性脱臼」と言い、手術が必要になることもあります。

歯科衛生士の役割

顎関節脱臼の自覚症状には口が閉じない、上手く話せない、唾液が飲み込めないなどがあります。高齢者や認知症の患者は自覚症状のないこともあるため、問診時などに患者をよく観察することが大切です。

④口内炎(略語:Stom)

口内炎とは口腔粘膜に炎症が生じた状態のことを指し、以下のような種類があります。

アフタ性口内炎 直径2〜10㎜程度の白い潰瘍で周囲が赤くなっており、境界が見分けられる
カタル性口内炎 赤い斑点状の炎症がおこり、アフタ性口内炎と比べると境界が不明瞭である
潰瘍性口内炎 形を持たない潰瘍が見られ、カタル性口内炎などで上皮が剥離することによって生じる
ウイルス性口内炎 水泡の見られることが多く、単純疱疹(ヘルペスウイルス)の感染が原因であることが多い
カンジダ性口内炎 真菌であるカンジダが原因で、ガーゼでこするとはがれる灰白色の膜を形成する
アレルギー性口内炎 金属・食べ物・薬などのアレルギーでアフタ性口内炎のような症状が現れる
ニコチン性口内炎 たばこに含まれる物質が原因で口蓋が白色に厚くなり、赤い斑点ができたり舌に白い斑点が生じたりする

口内炎で最も多いのはアフタ性口内炎で、粘膜を噛んだり免疫力が低下したりすることで生じます。口内炎の治療法には、軟膏の塗布やレーザー治療などがあります。前者はステロイド剤を使用して細菌を繁殖しにくくします。後者は口内炎の表面をレーザーで殺菌・消毒することで痛みを和らげ、治癒を早めます。

歯科衛生士の役割

口腔内観察時に粘膜や舌、軟口蓋、硬口蓋などの粘膜に傷がないか、赤い斑点がないかなど口腔内をよく確認します。こすっても取れない白い膜はないかなど確認し、異常があれば歯科医師に報告します。

というのも、口内炎は白板症、舌がんと正確に見分けることが重要です。白板症はがん化する前の「前がん病変」という状態で、外観はカンジダ性口内炎と似ているもののこすっても白い膜がはがれません。また舌がんは外観がアフタ性口内炎と似ており、初期に痛みはなく自然に治ることはありません。好発部位は舌の側面で、50〜60歳の男性に多い傾向にあります。

⑤口腔がん(舌がん)

口腔がんとは舌・歯肉・頬粘膜・硬口蓋・口腔底・口唇にできる悪性腫瘍のことを指します。原因は明らかになっていませんが、喫煙者は非喫煙者と比較すると発がんリスクが高い傾向にあります。ここでは口腔がんの中でも最も多い舌がんについて解説します。

舌がんとはその名の通り舌にできるがんのことです。舌がんの多くは舌の表面を覆っている「扁平上皮細胞」から発生し、この扁平上皮ががんになっていることを「扁平上皮がん」と呼びます。白板症などから発生することもあり、好発部位は舌の側面で、自覚症状には硬いしこりやただれなどがあります。

知っておきたい治療法・手技

舌がんには進行の程度を示す「ステージ(別称:病期)」があり、がんの大きさやリンパ節の転移によってⅠ~Ⅳ期に分けることができます。またステージによって治療方法も異なります。

● Ⅰ期・Ⅱ期
● Ⅲ期
● Ⅳ期

Ⅰ期・Ⅱ期

発見が早期でがんの広がりが表面のみである場合、舌部分切除術または放射線治療が行われます。切除する範囲が小さい場合、嚥下や発音などに影響はほとんどありません。切除する範囲が大きい場合は欠損部の再建を行うこともあります。

Ⅲ期

がんの広がり具合により放射線治療・舌部分切除術・半側切除術・全摘出術を行うことが多く、同時にリンパ節の切除が行われることもあります。状況に合わせて欠損部の再建術を行うこともあります。

Ⅳ期

Ⅳ期では舌亜全摘術・舌全摘出術の行われることが多く、切除できない場合は放射線治療・抗がん剤治療・緩和医療などが必要になることもあります。なお「舌亜全摘」とは、舌の半分以上を切除することです。

歯科衛生士の役割

歯科衛生士は、例えばメンテナンス時などに前がん病変やがんを発見する能力が求められます。具体的には口腔内の粘膜が白くなっていないか、舌の側面にしこりはないか、2週間以上治らない口内炎がないかなどに配慮するだけでもがんの発見につながることがあります。歯と歯周組織だけでなく口腔内全体を観察するようにし、異変があれば歯科医師に相談しましょう。

執筆者 Miyu M

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