印象採得・印象材に関する略語・専門用語 <前編>

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歯科医院では、ドクターからの指示・スタッフ同士の情報共有など、あらゆる場面で専門用語が使用されます。
そのため、円滑なコミュニケーションには専門用語を理解する必要があるといえるでしょう。
今回は歯科治療の中でも、歯型の型を取るために使用する印象採得・印象材に関する略語・専門用語を解説していきます。

印象採得とは

印象採得とは、印象材とトレーを用いて歯や顎堤の型取りをすることです。略語では「imp」と表されます。
印象採得では、患者の口腔内を現状通り再現できるかが重要です。そのために、患者の口腔内をよく観察し印象採得する必要があります。また印象物がどのような目的で使用されるものなのかを想定し、必要な部分が再現されている印象採得を行わなければなりません。

印象採得に関する基本的な専門用語

まずは印象採得に関する基本的な専門用語を解説します。

①顎・片顎・無歯顎

全顎とは歯列全体、片顎とは歯列の片側一部分のことを言います。全顎印象と片顎印象では、印象採得する器具であるトレーの種類が異なります。

また無歯顎とは、残存歯がない状態を言います。無歯顎の歯肉の部分を「顎堤」と言い、印象採得の際には顎堤の吸収が起こっていないかなども確認しましょう。

②模型

模型とは、印象物に石膏を流し硬化させたものです。模型には、製作する目的によって以下のような種類があります。

模型の種類 目的
対合模型 咬合関係を確認するため、補綴物が入る部分の対合歯の歯列を印象採得し作られた模型
研究用模型 スタディーモデルとも呼ばれ、略語では「マルモ」と言われている。
診査・診断や治療計画立案などのための模型
作業用模型 口腔内で操作するには難しい補綴物を、口腔外で作業するための模型
印象採得の目的に関する専門用語

どんな補綴物を製作したいか、どの部分を再現したいかなど、目的によっても行われる印象採得は異なります。

③概形印象採得

模型製作を目的とした印象採得のことで、製作した模型は治療計画の立案・咬合関係の診査などに使用します。歯や歯列を大まかに確認するためのものであり、細部まで精密に再現されている必要はありません。
したがって、既製トレーとアルジネート印象材を用いて行われることが多いです。

④精密印象採得

義歯などの補綴物を作る目的で行う印象採得であり、細部まで正確に再現する必要があります。義歯を製作する際には、主にシリコーンゴム印象材が使用されます。
このとき概形印象採得の模型をもとに作られた個人トレーを使用することで、より精密な印象採得を行うことができます。

またインレーやブリッジを製作する際には、寒天印象材とアルジネート印象材が多く使用されます。支台歯や窩洞部分などの細部を再現するために寒天印象材、その他の大まかな部分と寒天印象材の冷却のためにアルジネート印象材が用いられます。

⑤機能印象採得

食事や会話時の口腔内において、義歯が機能している状態の粘膜を記録する目的で行われます。機能印象採得の種類には以下のようなものがあります。

印象採得の種類 目的・方法
筋圧形成印象 頬や舌などの動きに調和した義歯の床縁を再現するために、コンパウンド印象材などを用いて行う
加圧印象 義歯の機能時の状態を想定し、粘膜に圧を加えた状態で行う
ダイナミック印象 粘膜面に粘膜調整剤などを付けた義歯を実際に使用しながら行う
歯科衛生士ライター okahata

北海道の歯科衛生士専門学校を卒業後、一般歯科で勤務。現在は歯科衛生士の経験をもとにした記事を執筆するライター活動を行っている。

【校正】浜崎 実穂(歯科衛生士ライター)

プロフィール:
東京医科歯科大学卒業後、都内歯科大学病院に勤務。退職後は「歯科衛生士ライター」として活動しながら、ライターの指導や教育、ディレクションも行う。
自身で制作・運営を行なっていた歯科メディアは販売を達成。
大学の卒業研究では日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科衛生研究所賞)を受賞。2児の母。

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