若手歯科医師必見! インプラントをする前に絶対に考えなくてはいけないこと4選

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若手歯科医師必見!インプラントをする前に絶対に考えなくてはいけないこと4選

 歯を失い欠損が生じた際にインプラント治療を選択する患者さんは年々増加しています。それと同時に明らかに適応でないインプラント治療を行なっている歯科医師が増加しているのも事実です。そこには『欠損=インプラント』という方程式が、ある意味自動的に歯科医師の頭にインプットされてしまっているのが原因のうちの一つです。患者さんの状態、口腔内の状態を考慮せずにインプラントを埋入してしまうと、長期に安定すると言われているインプラントが長期に安定しない、もしくはトラブルを起こす結果となってしまうことがあります。今回は1本欠損が生じたときにおいて最低限考慮しなくてはいけない4つの事についてお話しさせていただきます。
若手歯科医師必見!
インプラントをする前に絶対に考えなくてはいけないこと4選

1.欠損の理由(病因論)の考察
2.両隣在歯の状態
3.患者さんがインプラントの適応かどうか
4.残存歯の評価

1.欠損の理由(病因論)の考察
「この欠損はなぜ生まれてしまったのか」ここの考察がインプラントを行う前に最も重要となります。インプラントは虫歯にはなりませんが、インプラント周囲炎という、歯周病によく似た病気になるリスクがあります。つまり、歯周病で歯を失った場合は歯周病の治療を行なってからインプラントを行なわないと、再びインプラントを失う結果となります。歯を失った原因を考えることを病因論と言いますが、この病因論をしっかり考えて、その原因を取り除いてからインプラント治療を行うことが大切です。

2.両隣在歯の状態

欠損が生じた際の治療法として、義歯、ブリッジ、インプラントと3つの選択肢があります。インプラントが他の二つの治療法と比較して圧倒的に異なるところが隣在歯を傷つけることなく治療が可能という点です。義歯やブリッジは欠損を補うために、歯を削ったり、その後も欠損部の負担を受け続けるため歯の寿命が極端に短くなってしまうというのは周知の事実です。「インプラントであれば隣在歯の歯を守れます」というのがある意味決まり文句でもあります。しかし、ここで重要なことはインプラントの隣在歯が何らかの理由で、再度失う結果となってしまった場合のことを考えておく必要があるということです。インプラントの隣の歯を失うことになってしまった場合には基本的にはインプラント治療の選択を余儀なくされます。患者さんからしたら、その隣の歯を守るためにインプラントにしたのになぜ?となるでしょう。もちろん、隣在歯の状態が悪いのに、義歯やブリッジを選択するとさらに早く歯を失っていた結果となるのは間違いありませんが、そういったトラブルにならないためにも術前の隣在歯の状態を診断することはインプラントを行うからこそ重要となります。


3.患者さんがインプラントの適応かどうか
「インプラントって一生持ちますか?」またはインプラントの状態が悪いことを知った患者さんは「インプラントってすごく高額だから一生物と思っていた」という発言をすることは少なくありません。現在でもインプラントを選択した患者さんは「インプラントをしたからもう安心」と思っている人がほとんどです。しかし「インプラントは元々の自分の歯よりも抵抗力が低く、適切なブラッシング、定期的なメインテナンスとナイトガードの使用を守らないと長く持たない」という事実を歯科医師が患者さんにしっかりと伝えなくてはいけません。歯科医師側もこの事実を重く受け止め、患者さんがインプラント治療後に適切なブラッシングが可能であるかどうか、定期的なメインテナンスに応じてくれるかどうか、ナイトガードを装着してくれるかどうかなどインプラントをする上での約束を守れるかどうかが重要となります。歯を失うということは、事故以外、ある意味自己管理不足による結果で生じることがほとんどです。患者さんもそんなつもりはもちろんないでしょうが、できていなかった結果を受け止めてもらって、今後はそうならないように心を入れ替える必要があります。歯科医師もインプラントが少しでも長く患者さんの口腔内で機能するように、患者さんがそういった意味での適応であるかを見極めてからインプラント治療を選択すべきです。

4.残存歯の評価
インプラント治療を行う前に最も重要なことが残存歯の評価です。これは前述していますが、インプラントを1本行う場合は通常、隣在歯などの残された歯を守りたい気持ちで患者さんは選択をします。決してインプラントがやりたいのではなく、『これ以上歯を失いたくない』という想いでインプラントを選択します。そんな中インプラントをした直後に、他の歯が残せませんということになったら、患者さんは落胆するでしょう。もしかしたら2本インプラントが必要になるのであれば費用がないためインプラント以外の選択をしていたかもしれません。たとえインプラントを選択してくれたとしても外科手術を2度も行なうこととなり、患者さんは嫌な思いをするでしょうし、患者さんからの信頼も失う結果となるでしょう。そんな事態にならないように、残存歯の状態の診査診断を正確に行い、残存歯の予後を検討し、その中で本当に欠損部にインプラントが必要か塾考したのちにインプラントを選択することが重要です。

今回は『若手歯科医師必見!インプラントをする前に絶対に考えなくてはいけないこと4選』についてお話しさせていただきました。こんなの当たり前じゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この基本を教わっていない人がとても多く、今でもこれを知らずに『欠損=インプラント』と間違ったインプラント治療を行なっている歯科医師が多いのが現状です。恥ずかしながら僕もそうでした。。しかし今後はこういった歯科医師が減って欲しいという願いを込めてこの記事を作成しました。患者さんにより良い医療の実現のためにインプラント治療を行なっていきましょう!!

医療法人寛友会浅賀歯科医院
院長 浅賀 勝寛
日本口腔インプラント学会専門医
ジャパンオーラルヘルス学会予防歯科認定医
歯科医師臨床研修指導歯科医
日本歯周病学会認定医
日本大学松戸歯学部 兼任講師
年間患者来院数45,000人以上の国内最大規模の歯科医院の経営者
世界レベルの『歯科医師を教育する歯科医師』になるのが夢です!!
@dr.katsu_aic
浅賀歯科YouTubeチャンネル 歯科に関する有益な情報を配信しています!


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