東京歯科保険医協会メディア懇談会:松島会長「外来・在宅のニーズに対応必要」

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東京歯科保険医協会は1月13日、新年初めてのメディア懇談会を行い、松島次良会長、坪田有史・政策委員長(広報部長)らが出席した。まず、松島会長から年頭所感の報告とその背景・今後の展望などについて説明があった。要旨は以下の通り。 「昨年導入された“か強診”は施設基準の問題はあるものの、各ライフステージにおいて重症化予防を行うという方向性を出したことに好感をもち、その評価も悪くないと思う。“予防は歯科衛生士の仕事”と指摘される先生もいますが、疾病予防管理は歯科医師の1番の業務だと思います。そのことで“抜いて”“削り”“被せる”という歯科医師の3つの悪いイメージは払拭でき、内科医が薬で高血圧のコントロールをするのと同じようにスキルの壁を減らし、より多くの患者に質の高い臨床効果を生み出すことができます。これにより歯科医師へのバッシングは減り、地位向上に繋がると確信しています。これがまさしく“保険で良い医療”ではないか。更にこうした中で疾病減少になると歯科医師不要論が起きてきますが、だからこそ歯科医師需給問題が大事になってきます。2030年頃までは在宅診療の需要も多く、外来との両立が求められてくると予想します。在宅での診療は容易ではないが、患者のニーズに応えていくことこそが医療人の使命ではないかと考えています」と強調していた。 会長から指摘があった歯科医師需給問題については、出席したメディア関係者からも歯科医師過剰・不足論が出ている昨今、事実認識を重要とする意見が出された中で「若手歯科医師の志向にも問題があるのではないか。個人歯科診療所より大病院への勤務志向が強いことが現実。また、地方より大都市への勤務傾向が依然として強いとことが否定できない。診療所にも本当に歯科医師を必要としている院長がいるのだが、その確保に十分対応できない現状に苦労している」とした。同時に「歯科大学の学生のおよそ半数が女性ということから、女性歯科医師の就業状況が基本的には問題になるのではないか。現実には結婚・産休・子育てを抱えることで、歯科医師としての機能評価には難しい要素があるのは事実。この点をどう判断していくのかがポイントではないか」と現実的な事情を紹介し、改めて“歯科医師不足”の裏側の説明もあった。 また、次期診療報酬改定と中医協の動向に議論が移ると“検討項目と進め方”“アウトカムベース”への分析と懸念の意見交換がされ、「在宅医療への移行が出ており、医科歯科連携、訪問歯科、在宅療養支援歯科診療所の拡充が求められてくる。今後は外来と在宅への対応が求められてくるので、その点に留意した診療をしていくことが必要になると思う」との意見があった。さらに“アウトカムベース”については、「診療の成果主義が出てくるのかもしれない。費用と結果のバランスを考慮しての診療報酬が行われてくる可能性を示唆している政策だと見据えている」との指摘もあった。 最後に、東京歯科保険医協会としては看過できない今夏にある都議会議員選挙についても言及された。今後の動向を展望した活発な意見が繰り広げられ、中には出席者からの一部情報提供もあり、興味深い意見交換にもなった。小池百合子・東京都知事の新党の立ち上げ、旧都議会自民党への選挙戦略をどう見据えるのか。流動的要素が多い中で、都議会への歯科からの説明・政策の提案など行うにあたり、協会としても都議会の政治的構図を把握しておくことは必須。いずれにしても微妙な判断・対応が求められてくることは間違いなさそうだ。 いずれにしても、東京歯科保険医協会の特徴として、東京保険医協会との連携・定期的情報交換をすることができる状況にあること。これが患者本位の視点での“保険で良い医療”を提供できる基盤であるとされている。また、都道府県保険医協会とは別組織として歯科保険医協会が活動しているのが、東京以外に京都、大阪、福岡があるが、歯科業界記者、医療専門雑誌編集者、全国版雑誌記者、フリーライターなどからの忌憚のない意見・情報を交換するメディアとの懇談会を設置しているのは東京だけであり、懇談会を通じて常に新たな情報・視点からの業務活動ができることに重要な意味があり、同様に他の組織のイニシアチブを取ることにも期待が集まっている。
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