「今後も歯周治療は歯科医療の土台に」船越 栄次先生にインタビュー

「今後も歯周治療は歯科医療の土台に」 船越 栄次先生

このたびは、船越歯科医院(福岡県)の院長である船越 栄次先生に、主宰されている“船越歯周病学研修会”について、お話を伺いました。

Dentwave Interview 

―主宰されている船越歯周病学研修会とは、どのような研修会になりますか。

歯周病治療の目的は、健康(Health)で、よく機能し(Function)、快適に生活できる(Comfort)ような歯列と歯周組織を確立することにあります。 研修会では、この理念に基づいて補綴・修復処置や審美性をも考慮したトータルな歯周病治療を、臨床と直結した講義および豊富な実習・手術見学を通して修得していただいております。

―研修会を発足した経緯を教えてください。

私自身がかつてアメリカ留学の際に現地で学んだこと、経験したことを、日本の歯科医療に還元したいとの思いで開催しています。1980年11月からスタートしたので、来年で45周年目を迎えることになりますが、開始当時、日本では歯周治療が大学でもほとんど教えられていない時代でした。そのため歯周治療について学びたいという先生も多く、研修会を発足以降の延べ受講者数は5,000名を超え、今では研修会に参加いただいた先生方が全国各地で歯周病やインプラントの治療に取り組んでくださっています。

―実際に研修会で実施されている内容を教えていただけますでしょうか。

ベーシックコース・マスターコース・インプラントアドバンスコースの3つのコースを用意しています。歯周治療の基礎から応用までstep by stepで学んでいただくことができ、且つ全てのコースにおいてライブオペを実施するので、より実践的に知識・技術を習得いただけることが特徴です。研修期間が長いからこそ、研修で学んだことをクリニックに持ち帰って実践いただき、次回の研修時に実際の症例相談を行う等、期間中にPDCAサイクルを回していただきやすい点も特徴の一つです。
また、毎回の研修終了後は懇親会を開催し、福岡名物を堪能いただきながら、受講者同士の親睦も深めていただいております。研修同期として横のつながりができる点も受講者からは喜んでいただくことが多いです。

ベーシックコース

6ヶ月間(1回につき土日2日間、計12日間)で、歯周病治療の基本を学んでいただくコースです。学生時代に実習で学ぶような内容からスタートしており、講義や実習を通して、歯周組織の解剖と病理、歯周診査、初期治療、歯周外科処置といった一連の歯周治療の基本を習得していただきます。受講者は若手の勤務医の先生が多く、約半数の方々がそのままマスターコースに進んでいただいている状況です。また、エムドゲインの認定コースとなっており、毎回ライブオペが組み込まれている点も特徴の一つです。

マスターコース

ベーシックコースの修了者を対象に、6ヶ月間(計12日間)で、ベーシックコースの復習、高度な歯周外科手技、新たな再生のテクニックなどを習得していただき、より難症例へ対応できるプログラムとなっています。また、Straumannインプラント認定コースとなっており、マスターコースでも毎回ライブオペを実施しています。

インプラントアドバンスコース

3ヶ月(計6日間)で、近年適応症が拡大しているインプラント治療における歯槽骨の骨幅の不足や、上顎洞底までの距離が短いなどの難症例に対応可能なGBR、上顎洞底挙上術、ピエゾサージェリー、インプラント周囲炎の治療を中心に習得していただきます。また、オープンバリアメンブレンテクニックのブタ顎実習も開始しました。ベーシックコース、マスターコースを受講されていない先生でも受講いただくことが可能です。

―受講者にはどんな方が多いですか。

これまでに歯周治療について勉強する機会が少なかった先生や、歯を残すために治療の選択肢を増やしたいと考えられている先生等、北は北海道、南は沖縄まで全国各地から参加いただいています。
 既に歯周治療に取り組んでいる先生には学び直しの機会として活用いただきたいですし、インプラントの先生方にもインプラントを長持ちさせるために歯周治療は学んでほしいと思っています。

―最後に、歯科医療における歯周治療の位置づけ

今後も歯周治療は、歯科医療の中でも重要な位置づけであり続けると考えています。う蝕治療ももちろん大切ですが、30歳を境にう蝕リスクはコントロールしやすくなる一方で、年齢と共に歯周病で歯を失ってしまう確率は高まっていきます。現代の高齢化社会においては、歯周治療を歯科医療の中心に据えて、土台を作り上げることができる医院、先生が勝ち残っていくでしょう。歯周病はう蝕以上に再発しやすいため、リコールやメインテナンスで患者さんと長くお付き合いすることが可能になります。私の医院にも80歳、90歳になっても通い続けてくれている患者さんが多くいらっしゃいます。
また、歯周病は糖尿病やアルツハイマー等の全身疾患や早産等にも関連していることが明らかになっています。学生時代に習っているはずですが、大学卒業して何年も経過してしまうと学生時代に学んだことの中には忘れてしまっている内容もあるので、復習していただくのも良いと思います。
患者さんと長く付き合い、患者さんの全身の健康を実現するために、歯周治療は今後も非常に重要な役割を担っていくと考えています。

インタビュイープロフィール

船越歯科医院 院長
船越 栄次 先生
  • 九州歯科大学 卒業
  • TUFTS大学大学院 修了
  • INDIANA大学大学院修了、准教授 就任
  • 船越歯周病研究所 主宰
  • 米国歯周病 専門医
  • 米国インプラント学会 (AO) 正会員
  • 日本歯周病学会 指導医/名誉会員
  • 日本臨床歯周病学会 元理事長/創設者
  • AAP 名誉会員
  • ITI Fellow/元理事
記事提供

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