「口腔ケア」で病気を減らす〈週刊朝日〉
dot. 2014年1月31日(金)7時12分
歯の治療やブラッシングといった「口腔ケア」にはさまざまな効果があるようだ。米山歯科クリニック(静岡県長泉町)院長の米山武義歯科医師と東北大学で、全国11の特別養護老人ホームで行った調査では、口腔ケアを行ったグループの発熱者は半減し、肺炎発症者も約4割減少した。
さらに口腔ケアにはさまざまな病気への効果があるという。
歯周病菌などの口の中の細菌は、気道を通じて感染を起こすだけではなく、歯肉の血管を通してからだのいたるところに流れていき、さまざまな悪さをする。
歯周病の人は2.8倍脳梗塞になりやすいといった調査結果もあり、命にかかわる病気に直結していることは明らかだ。
全国に予備軍を含めて2200万人以上の患者がいる糖尿病も、歯肉炎や歯周炎にかかる人が多いという疫学調査が複数報告され、「歯周病は糖尿病の合併症の一つ」と位置づけられるようになった。
さらに最近では、歯周病菌の死骸の持つ毒素が残って血糖値に悪影響を及ぼすことが明らかになり、「歯周病が悪化すると糖尿病も悪化する」といった関係も指摘されている。
「こうした病気は加齢とともにかかりやすくなる。高齢者の口腔ケアはますます重要になってきています」
こう話すのは、歯周病と全身の病気の関係などの研究に取り組んでいる札幌西円山病院歯科診療部長の藤本篤士歯科医師だ。
札幌西円山病院は、看護や介護が必要な65歳以上の高齢者が多く入院する病院で、リハビリ病棟もあり、老人ホームなども隣接している。
「人生の後半20年を過ごす施設です。ここで口の中を診ていると、中高年以降は、若いときとは違う口腔ケアが必要だと実感します」と藤本歯科医師は話す。
口腔ケアの目的の一つは、年をとってもしっかり噛んで食べられるような状態を保つこと。しっかり食べて栄養を取れれば、からだ全体の健康を維持することもできる。
※週刊朝日 2014年2月7日号
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