「初診12点増、再診3点増」に健保連が支払側から異論

カテゴリー
記事提供

© Dentwave.com

初再診料、決定は2月5日、公益裁定へ m3.com 2014年1月29日 中央社会保険医療協議会総会(会長:森田朗・学習院大学法学部教授)は1月29日の会議で、消費増税に伴う対応を議論。厚生労働省は、初診料は270点から12点増の282点、再診料は69点から3点増の72点、200床以上の病院の再診料に当たる外来診療料は70点から3点増の73点に、それぞれ引き上げる案を提示。 入院基本料は平均2%アップするほか、基本診療料が包括されている短期滞在手術基本料や外来リハビリテーション診療料なども引き上げる方針(資料は、厚生労働省のホームページに掲載)。 (橋本佳子:m3.com編集長) 診療側はこの案を支持したものの、公益側からは「全く容認できない」として、両者の議論は対立したまま、平行線をたどった。 公益裁定、つまり2月5日の次回の中医協総会で、公益側が意見を出し、決定することになった。公益裁定は議論の余地はなく、公益側が提示したものが決定案となる。 1月15日の会議では、初再診料の上げ幅を9点と2点にそれぞれ抑え、他の個別項目で対応する案も提示されていたが、個別項目への配分の難しさから、厚労省が提示したのは基本診療料で対応する今回の案だ(『「初再診料の引き上げ、3%以内に」、支払側強調』を参照)。 この提案に、「4つの理由から、全く受け入れることはできない」と異議を呈したのが、健康保険組合連合会専務理事の白川修二氏。 その主張は前回の議論と同様だ。 1点目は、中医協の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」の議論の取りまとめで「消費増税対応は、基本診療料と個別項目で行う」としていた点。2点目は、3%という消費税率引き上げを上回り、初再診料は医科は約4%、歯科は7%以上の引き上げになる点で、「国民と保険加入者には説明できない」(白川氏)。 3点目は、サービスを受けた人が負担するのが消費税であり、診療報酬での消費増税対応は消費税そのものとは異なるものの、基本診療料での対応では広く患者が負担することになり、患者側から見て負担の公平性に欠ける点。 4点目は、診療側が基本診療料での対応を求めている根拠の一つは、消費税率が10%になった段階で抜本的な見直しを行う際に、今回どこに上乗せされたのかが明確に分かるようにするためだが、「仮の話を前提に主張するのはおかしい」(白川氏)ということだ。 白川氏の主張に、日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、次のように反論。 「消費税対応を、診療報酬で行うことは根本的に困難であり、不公平感をなくすことができない。消費税率10%への引き上げは、まだ決まってはいないが予定は出ており、我々は準備をしなければいけない。 (2015年10月までに)1年半という短期間の対応なので、基本診療料を中心に対応するのが、一番公平だろう。 (過去の消費増税対応のように)改定を重ねるうちに、どこに対応分が行ったのかが分からないようにすべきではない」。鈴木氏はこう述べ、「初再診料が3%より上がると言うが、特定の項目を見るのではなく、全体を見て議論してもらいたい」と理解を求めた。 日医副会長の中川俊男氏も、「国民が納得しないというが、受診にかかるのは再診料だけではない。一般的な明細書を見ると、だいたい負担増は0.5%程度になる。薬剤費も入れるともっと少ない。これでなぜ納得が得られないかを聞きたい」と白川氏に問い質し、基本診療料で対応するのはベストではないが、ベターな対応であり、不公平が少なく、患者の理解も得られるとした。 白川氏の答えは、「消費税率が3%上がるのであれば、全て3%上げるのが税の考え方」というものであり、「受診1回当たり」の引き上げ率をどう考えるかについての言及はなかった。医療は消費税非課税のため、消費税対応の仕組みが複雑になることには理解を示しつつも、「医療機関側が一定程度、不公平な部分について我慢するのは分かる。では患者側はどうか。一定程度、(基本診療料を)上げるのは支持する。ただし、患者側の公平感も考えてもらわないと、我々は説明できない」と主張を繰り返した。 こうした応酬が続いた中、「折り合わないのであれば、公益裁定に委ねるしかない」と提案したのが、日本医師会社会保険診療報酬検討委員会委員長の安達秀樹氏。さらに、安達氏は、日医の試算では、医療機関の消費増税に伴う負担増は1.36%のため、基本診療料が上がっても、差し引きゼロ、場合によっては引き下げになる。この点も踏まえて、我々は厚労省案を支持している」と述べ、「厚労省案が満額回答だと思っていない。我々も相当我慢している上で、言っている」と理解を求めた。
記事提供

© Dentwave.com

この記事を見ている人がよく見ている記事

新着ピックアップ