河北新報 2014年1月8日水曜日
東北大大学院歯学研究科はNTTドコモと連携し、乳幼児期から中学校卒業までの子どもの歯科検診結果を蓄積し、保護者がスマートフォン(多機能携帯電話)で確認できるシステムの構築に取り組んでいる。
成人後の歯科診療なども視野に入れ、システムを足掛かりに生涯にわたる検診結果のデジタルデータベース化を進める。
歯科医師らが検診結果を直接タブレット端末に入力。
ネットワークを通じて情報を処理する「クラウドコンピューティング」で管理する。
保護者は健診後に渡される通知書のQRコードをスマホで読み取り、詳細情報を引き出す。
データを毎年蓄積することで歯の生え方、虫歯の治療歴など子どもの成長も確認できる。
仙台市青葉区の幼稚園1カ所で本年度、実証実験を行い、同意を得られた保護者にデータを公開した。NTTドコモがクラウドのシステムを構築し、来年度以降に実証実験の協力園を増やす予定。
子どもの歯の状態は、幼稚園・保育所と小中学校で年1回行われる歯科検診で記録される。
本人と保護者にはあごの状態や歯並び、虫歯の有無の通知書が渡されるが、歯1本1本の詳細記録は学校で保管し、通知しない。
宮城県は東日本大震災の発生前から子どもの虫歯が多い。2010年は3歳児で1人平均1.2本と全国39位、12歳児では2.1本と44位だ。東北大は検診結果の情報提供で、子どもの歯の健康に対する関心の高まりを期待する。
小関健由教授(予防歯科)は「高齢化で需要増が見込まれる在宅訪問診療や、大規模災害時の被災地での診療活動も視野にシステム構築を目指す」と話す。
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