進む医療通訳に悩む費用の壁 県は継続雇用打診

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2013年12月18日 三重県内の病院や保健所で、外国人患者の受診をサポートする医療通訳の利用が増えている。県が本年度初めて病院などに配置したスペイン語三人、ポルトガル語二人の通訳は、五~十一月の七カ月間で千七十二件の実績を挙げた。 事業は来春で終わるため、県は病院側に継続的な雇用を働き掛けるが、経費などの壁が立ちふさがる。 インドネシア出身のフランシス・モニカさん(38)=四日市市=は、夫がブラジル人でポルトガル語が堪能。平日に日替わりで鈴鹿市の鈴鹿中央総合病院と塩川病院、市保健センターで通訳を務める。 保健センターでは主に、乳幼児健診に訪れる外国人親子を手助け。 歯科検診や保健指導では、子どもらに「痛いところはない?」などとポルトガル語で丁寧に問い掛ける。 自身も、慣れない日本で二児を育てた。 予防接種や保険制度の違いに戸惑う親の気持ちがよく分かる。「不安に思うお母さんたちに寄り添いたい」と優しいまなざしを向ける。 モニカさんら五人は、国の緊急雇用創出事業で来年三月まで、三重大病院(津市)などで働く。 当初は六施設だったが実績が認められ、十二月から桑名市と鈴鹿市の三施設が配置先に加わった。 県は従来も、医療用語の専門研修を受けた通訳ボランティアを病院の要請で派遣する事業をしてきたが、年間の利用は三十件前後にとどまる。 県の委託で両事業を担う県国際交流財団の宇藤美帆さんは「決まった時間、場所に必ず通訳がいる安心感が、外国人の受診につながっている。 予想以上の反応」と病院に配置する意義を強調する。 通訳業務は診療報酬がつかず、経営上の理由で、専従職員の雇用に踏み切れない病院が多い。 県内では、三重大病院だけが常勤のポルトガル語通訳一人を雇っている。 県の配置事業を利用する病院の担当者は「頼もしい存在だが、外国人が毎日受診するわけでもない。 今のような巡回体制で、複数の病院が人件費を負担しあえたらいいが」と明かす。 宇藤さんらは、週の数日でも雇用を続けるよう病院に働き掛けていく。 同事業でスペイン語通訳として働くペルー人の杉本パウロさん(21)=鈴鹿市=は幼少時、日本語を話せない両親のため、学校を休んで病院に付き添って通訳した。 子どもは、専門用語の誤訳や深刻な病気の告知という場面に遭遇する恐れも。 「子どもには心理的な負担が大きい。僕たちが頑張って、医師と患者双方から信頼を得たい」と話している。 (安藤孝憲)
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