15年度開始へ、厚労省
共同通信社 2013年12月4日
厚生労働省は3日までに、がんなどの命に関わる病気で代わりの治療法がない患者に限り、臨床試験(治験)の最終段階にある未承認薬を使用することができる新制度を2015年度から始める方針を固めた。
薬の承認には通常、製薬企業が患者に投与して効果や安全性を確かめる治験を実施する必要がある。
治験には年齢や持病、ほかの薬の使用状況などの条件によっ ては参加できないことがあり、他に治療法のないがん患者などから、企業の治験に参加できない場合でも承認前の薬を使いたいとの強い要望が出ていた。
このため厚労省は製薬企業の治験とは別に、医師が別の治験を行う制度を導入することを決定。
企業が治験の最終段階に入り、一定の安全性が確認されている薬で、承認薬を使った代わりの治療法がない患者を対象とする。
実施に当たっては、医師は治療計画を国に提出し、治験のやり方を定めた省令のルールにのっとって行う。
当面、需要が高い抗がん剤で開始。既に国立がん研究センターで試験的にモデル事業をしており、今後、どのような薬に拡大するかや、薬を無料にするかどうかを決め、15年度から本格的に導入する。
海外で承認されているが国内では使えず、医療機関などを通じて薬を海外から輸入している患者もおり、国内で使用できるよう求める声が上がっている。
※ 治験:国内で新しい薬を売ったり、既存の薬をこれまでとは別の病気にも使ったりする場合に、国の承認を得るために実施する臨床試験。安全性や効果を確かめ る。第1~3相の3段階があり、通算3~7年かかる。第1相では副作用の出方を見ながら最適な投与量を決め、第2相では比較的小さな規模で患者への効果が 見込めるかを調べる。第3相は多くの患者を対象に行い、既存の治療法より優れていると示せれば、国に承認を申請する。承認は、医療費の負担が軽減される公 的保険適用の前提となる。
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