読売新聞 2013年11月29日
胎内市教育委員会は28日、古墳時代前期(4世紀前半)の「城(じょう)の山古墳」(同市大塚)で出土した白い破片がヒトの歯と判明したと発表した。
同古墳では昨年、銅鏡や勾玉(まがたま)などが出土。
日本書紀の記述より300年前に大和政権の影響が下越にまで及んでいたことが推測され、どんな人物が埋葬されたのか注目が集まっていた。
歯は埋葬された権力者のものとみられ、鑑定した日本歯科大新潟生命歯学部の石山巳喜夫准教授(口腔(こうくう)組織学)は「古墳にヒトが埋葬されていたことが証明された」としている。
今年2月、埋葬された遺体の頭部があったとみられる場所から破片が見つかり、ヒトの歯とみて今年5月から新潟医療福祉大の奈良貴史教授(人類進化学)が鑑定にあたったが、肉眼では断定できなかった。
破片はピンセットで触れるだけで粉々になるほどもろく、復元を試みたが難航した。
そこで、歯のエナメル質に詳しい石山准教授が電子顕微鏡で観察したところ、ヒトの歯に特有のエナメル質の柱状構造が確認され、決め手となった。
歯のもっとも表層にあるエナメル質が多くの破片に残っており、埋葬者は10~20歳代の人物だった可能性があるという。
石山准教授は「発見があと数十年遅れていたら破片がなくなり、ヒトが埋葬された証明は困難だっただろう」と話している。
刀や剣などの出土品は12月8日、胎内市産業文化会館で開催するシンポジウムで展示される。午前10時~午後4時。参加費500円。問い合わせは市教委(0254・47・3409)へ。
記事提供
© Dentwave.com