東北の医師引き抜きを禁じるよう国に求める特別決議

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医学部新設で地域医療の崩壊懸念 既存学部「誰が責任取る」 東北への医学部新設を認めた文部科学省の基本方針に対し、全国医学部長病院長会議の顧問を務める岩手医科大の小川彰理事長は「全国80の医学部長・病院長の総意として新設に反対してきた。 非常に遺憾だ」と厳しく批判した。 小川氏は、文科省が挙げた医学部新設の留意点に触れ、「東北の病院から教員を引き抜かないことが可能なのか。1人でも引き抜かれれば、各県の医療が崩壊するのは明らかだ」と指摘。 さらに「東北の復興と医学部新設は結びつかない。 今でさえ不足している東北の病院医療を壊したら誰が責任を取るのか」と述べた。 小川氏は2012年4月、「医学部新設は医師不足を加速し、地域医療の崩壊を招く」として、東北大、福島県立医科大とともに政府に慎重な対応を要望している。 東北大の大内憲明大学院医学系研究科長は「全国医学部長病院長会議と共に今後の対応を検討する。 引き続き地域医療の復興に向けた努力を続ける」との談話を出した。 福島県立医科大の菊地臣一理事長は「全体像が見えていないため、現時点ではコメントできない」と話した。 ◎有識者会議設置、審査へ/「医師引き抜き」焦点 東北への医学部新設の認可に当たり、文部科学省は29日、有識者会議の設置などを盛り込んだ基本方針を示した。 設置構想の申請の際は、東北の地域医療の現場に影響を与えない具体策の提示を求めた。  文科省は今回、医学部新設を禁じる告示に特例を設け、公立大や私大の構想を来年5月まで受け付ける。 有識者会議による審査で同6月に1校に絞り、大学設置審議会に諮る予定。 有識者会議に関して、文科省医学教育課は「地域医療や医学部運営に詳しく、利害関係のないメンバーで審査したい」と説明する。受付期間は、大学側の準備状況次第で延長も検討するという。 審査ポイントとして、(1)教員や付属病院医師、看護師を周辺地域から引き抜かない(2)地域枠奨学金の設定など卒業生が東北に定着して地域医療を支える仕組みを講じる-など4条件を示した。 焦点は「医師の引き抜き」になる。 国の要件では医学部は専任教員だけでも最低147人が必要。 新設を働き掛けてきた東北市長会(会長・奥山恵美子仙台市長)は10月、東北の医師引き抜きを禁じるよう国に求める特別決議をした。 文科省は有識者会議による審査段階では、大学設置審の際に必要な教員名簿の提出までは求めない方針。 ただ、「公募だけでなく、どの大学から計画的な協力が得られるかなど一定のめどは示してもらう」(医学教育課)とし、人材確保策の提示を求める考えだ。
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