中日新聞【朝刊】 2013年11月27日
静岡地裁浜松支部 注意義務違反を認定
浜松市天竜区の歯科診療所で受けたインプラント(人工歯根)治療に過誤があったとして、同市南区の主婦(54)が歯科診療所を開設していた男性歯科医師らに損害賠償を求めた訴訟で、静岡地裁浜松支部は26日、歯科医師に慰謝料など計約195万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判決によると、歯科医師は2010年1月、女性の4本の歯を抜いてインプラントを入れる手術をしたが、インプラントの4分の3ほどが骨の外に出た状態だった。
その後、女性は治療した部位に痛みや腫れを感じるようになり、転院して再治療を受けた。
古谷健二郎裁判官は医学上の知見などを踏まえて「歯科医師はインプラントを骨に収めるように入れる注意義務を負っていた」と指摘し、歯科医師の手術を「注意義務違反があった」と認定した。
訴訟で歯科医師は「インプラントを入れる位置に過誤はない。神経や血管を傷つけておらず、問題はない」などと主張したが、古谷裁判官は「自身の見解にすぎず、医学文献の記載にも合致しない」として退けた。
原告の女性は弁護士に頼らず、本人で訴訟を進めた。
「しっかり主張できたという満足感がある。同じような問題を抱えながら、泣き寝入りをしている人は多いと思う。ぜひ声を上げてほしい」と話していた。
歯科医師には、市が中山間地での運営を支えるためとして、毎月30万円を上限に補助金を出していた。
歯科医師は今年3月に診療所を辞め、現在は別の医師が診療している。
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