訪問歯科 スウェーデンはあくまで患者本位

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現場を見ずに紙で判断する政府、行政

  

スウェーデンの訪問歯科企業Oral Care社は既報のとおり、5月6日、日本の訪問診療の情報を集めるために来日、千葉県千葉市美浜区中瀬(幕張テクノガーデン17階)のデンタルサポート(株)側と懇談した。

午後2時から午後4時まで。

その後、30分遅れで記者会見を開いた。

来日したのは、Oral Care社のMs.Marianne Forsell(歯科医師 CEO・会長)、Mr.Mikael Lnn(医師)、Mr.Bertil Herbst(歯科医師、オーナー)の3名。

デンタルサポートの寒竹郁夫社長らが同席した。

通訳はスウェーデン大使館の船越万須美さん。

寒竹郁夫社長挨拶

お待たせして大変申し訳なく思っている。

白熱して政治情勢の話ともなった。

30分ほどお待たせをした。

当社のスウェーデン版ということで、最大手の会社がスウェーデン大使館を通して当社を訪問したいと、表敬訪問を受けた。

今回は思いのほか内容の深い話となった。

非常に共通点もあった。

ただ、日本と根本的に違うのは、スウェーデンの国が、国を挙げて医療、福祉全般非常に手厚い保護をしている。

日本は医療、介護を含めて、そうとは言えない部分がある。

日本は非常に厳しい現状がある。

その違いがお話を聞いていて私は感じた。

まだ、日本の訪問診療、介護は改善する余地があり、(スウェーデンのように)政府の対応が期待されるが、現状では民間が自力でこの訪問診療、介護の分野を引っぱっていかなければないと思った次第だ。

スウェーデンは歯科の先進国だ。

日本の歯科医師が私費でスウェーデンに(セミナーなど)勉強に行ったり、歯科大学に留学をしている。

スウェーデンの大手の企業がわざわざ日本のお見えになったことは、私の記憶の中にはないと思う。

この逆はある。

それだけ、珍しいことだと思っている次第だ。

— 来日の目的と収穫は?

 Ms.Marianne Forsell

ヨーロッパには、訪問歯科診療で成功している企業の例がない。

訪問歯科診療は日本で非常に成功していることを知った。

そこでこの分野のリーディングカンパニーであるデンタルサポートを訪問して、成功例を聞きたいと思って来日した。

ミーティンの結果、同じ考えのもとで訪問歯科診療に取り組んでいることが分かった。

高齢社会では、高齢者に対する高品質の歯科診療、高品質のマネージメントが重要だ。

我々はリサーチ部門で取り組んでいるが、よりよい口腔ケアができるよう常に努めている。

今回、デンタルサポート社を訪問して情報を共有できた。

メディアは何を伝えるのか、重要な使命を持っていると思う。

入院療養中および介護施設入所の高齢者の口腔衛生と医療ケア関連肺炎に強い関連性がある。

高齢者の口腔衛生を改善することで、肺炎による死亡の10分の1を防ぐ効果がある。

肺炎の治療に巨額な(医療費)金額に政治家が気づくこと、口腔ケアの重要性を知ることが大事だ。

— 今回の訪問を受けて、2社間の業務提携はあるのか?

寒竹社長

今日は、とりあえず意見交換をした。

ただ一つありえるとしたら、ジルコニアという歯科の新素材であり、歯科技工を海外へ当社は展開したいとかねてより思っている。

接点があるとすれば、そのへんに可能性があるかだが、具体的な話ではない。

非常に興味をもっていただいたのではないか、という感触はある。

— スウェーデンの訪問歯科の制度について

Ms.Marianne Forsell

国でやっている制度というより、訪問歯科という形のビジネスであり、プライベートなものではスウェーデンは一番大きい企業として、介護施設に入所している高齢者に必要とされている日常の口腔ケア支援をしている。

また、歯科診療所へ行けない高齢者の訪問歯科をしている。

— 日本の訪問歯科との違いは?

寒竹社長 日本との決定的な違いは、保険システムが違うのは当然であるが、

日本の訪問歯科診療は、歯科診療所が中心にあって、半径10㌔の範囲しか行けない。

スウェーデンには、特に距離の規制はない。

100㌔、200㌔でも1泊をかけても行ける。

つまり、一つのクリニックで全国どこへも行ける。

1泊、2泊かけて何百㌔も歯科医師、歯科衛生士で行っている。

日本は16㌔の規制があるので、効率がものすごく悪い。

日本は医師、歯科医師の縄張りがあるが、スウェーデンはあくまで患者本位である。

スウェーデンは高負担、高福祉の国だ。

日本はそうではない。

日本は医療提供者側の論理で制度が決まっている部分が多い。

スウェーデンは、患者さん利用者側の立場で考える。

国の理念が日本と決定的に違う点だ。

日本は、政府や行政が現場を見ていない。

レセプトという紙で判断をしている。

口腔ケアの重要性に気づいてもらうことが重要だ。

現場が分からず、紙で判断をしている、それが最大の格差となっている。

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