製薬会社は副作用情報の製造物責任法上重大な責任

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イレッサ訴訟 最高裁判決について

2013年4月12日

全国保険医団体連合会

研究部長 斉藤 みち子

肺がん治療薬「イレッサ」の副作用で死亡した患者の遺族らが、国と輸入販売元のアストラゼネカ社に損害賠償を求めていた訴訟で、最高裁第三小法廷は、二審東京高裁に続いて国とアストラゼネカ社の責任を否定、原告側の全面敗訴が確定した。

最高裁は、国の責任については上告を受理せず、アストラゼネカ社の責任については受理した上で、本日、上告を棄却した。

一審東京地裁判決は2011 年3月、副作用情報の開示について添付文書の記載は不十分として、国とアストラゼネカ社の責任を認定して賠償を命じた。

しかし、二審東京高裁は2011 年11 月、副作用と死亡との因果関係は不明確として、国及びアストラゼネカ社の責任を否定し原告側敗訴の判決を言い渡していた。

東京高裁及び最高裁判決は、薬害裁判を通して確立されてきた、企業と国が予防原則に基づいて安全対策を確保することの必要性を根底から否定するもので、到底容認できるものではない。

医薬品の安全性確保のために、国には添付文書について必要な記載をするよう行政指導する責務があり、製薬会社は副作用情報の開示について製造物責任法上の重大な責任を有している。

副作用と死亡との因果関係が確定的にならない限り安全対策の義務は生じないということであれば、薬害を防止することは困難と言わざるを得ない。

イレッサの発売からこれまでに、既に860 人を超える患者が間質性肺炎などの副作用で死亡しており、被害者の救済は急務の課題である。

政府に対し、薬害被害者救済、がん医療体制の整備、抗がん剤による副作用を対象とする救済制度の創設など、薬害根絶に向けた対策に全力で取り組むよう要望する。

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