虫歯から育児放棄発見:学校検診で岡山県教委・同県歯科医師会

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山陽新聞(7月28日)によれば、学校検診で岡山県教委と県歯科医師会は、虫歯の数などでネグレクト(育児放棄)があるかどうか判断して、児童虐待の未然防止を図る取り組みを進めているとした。同紙は、ネグレクトを受けている子どもの多くは虫歯の治療を受けていないため、としている。小中高校で毎年行う歯科検診の結果などを踏まえ、総合的に「虐待の可能性あり」と判断した場合、学校は児童相談所などに通告する。東京都が2003年にまとめた調査結果によると、虐待を受けている児童1人平均の虫歯の数は、11歳児で4.2本(一般児童1.6本)、12歳児は6.9本(同2.2本)で、その数の多さが顕著となっている。

県歯科医師会は「口腔内環境は子どもの生活習慣や保護者の育児姿勢を表す指標。ネグレクトを疑う重要な手掛かりにもなる」と指摘する。岡山県では、2007年度から「歯・口の健康診断の手引き」で虐待への対応を規定して実施。4〜6月に行っている歯科検診で、口腔への外傷や10本以上の虫歯、前年度から治療されていない重度の虫歯がある児童生徒は、診断票の所見欄に印を付けて養護教諭や担任に伝えている。

県内のある小学校歯科医は「教諭への報告対象となる児童は1クラスで1人の割合でいる。対象児童が仮に学校全体で10人いたとすれば、そのうち半数はほぼ全ての歯が虫歯で、特に注意が必要」と話す。

学校はこうした結果を踏まえ、生活リズムや服装の乱れ、家庭訪問時の状況なども加味して「保護や支援が必要」と判断すれば児童相談所、市町村に通告する。県教委保健体育課は歯科検診について、「暴力による虐待と違って傷が残らず、静かに進むネグレクトを知ることができる重要な機会」とする。県歯科医師会の平岩弘常務理事は「注意深く検診に当たり、学校との連携を強化して早期発見を図りたい」と話している。

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