義歯性口内炎予防の義歯清掃法と洗浄剤の選び方

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岐阜県歯科医師会

2011年11月22日(火曜日)

高齢者の中には入れ歯を使用している人が多く、入れ歯が影響する口内炎も最近の診療で多く見受けられるようになった。

この原因は大きく分けて①微生物因子による口内炎②機械的刺激による口内炎③アレルギーによる口内炎—に分けられる。

その中でもホームケアが重要な微生物因子による口内炎について説明する。

微生物が口内炎を引き起こすメカニズムは、入れ歯表面に付着した微生物が粘膜の破壊を起こし、微生物に対する遅延過敏反応などによって病的反応を引き起こしていると考えられる。

治療法としては入れ歯に付着した汚れの除去が重要。

機械的清掃にはブラシと超音波による清掃があるが、磨耗に対する配慮が必要だ。

一般に歯ブラシは、毛が太い物は磨耗を引き起こしやすい。

また毛が長く先が丸く径の小さいものは磨耗しにくい。

歯磨き剤、家庭用洗剤、研磨用せっけんは入れ歯を傷つけるだけでなく、入れ歯の適合性を変化させることから使用すべきではない。

また入れ歯をいろいろな方向にブラッシングする方がより効果的で、毎食後と就寝前に行うとよい。

ただしブラシだけでの清掃ではプラーク除去は不完全だ。

また超音波洗浄器としていくつか市販されているが、これのみでは十分ではないので化学的洗浄法を併用するようにする。

これは入れ歯洗浄剤を使用する方法で①アルカリ性過酸化物②次亜塩素酸塩③酸④酵素—の4種類の洗浄剤が主に市販されている。

アルカリ性過酸化物は最も一般的な浸漬型の洗浄剤で、使用が簡便で香りがよく入れ歯に有害な影響を与えない。

義歯を1日6〜8時間洗浄剤に浸しておくことは軽い汚れには効果的だ。主に新しい義歯を装着した人や毎日清掃する人に対して有効で、入れ歯の著しい汚れや付着した歯石の除去には効果がない。

次亜塩素酸塩は次亜塩素酸溶液が入れ歯に付着したプラークの除去に有効であることから、週に1回6〜8時間義歯を浸漬する方法を用いる。

大量の汚れや歯石の付着しやすい人に対して勧められる。

酸は着色性の汚れや歯石の除去に非常に効果があるが、金属を腐食させるという欠点がある。

酵素を用いた義歯洗浄剤は強固な付着物を除去するには効果があったと報告がある。酵素洗浄剤は、通常の使用では殺菌作用やカビを防ぐ作用があり、毒性がなく義歯材料に為害性(害を及ぼすこと)が小さい。

それぞれの利点、欠点を理解して使い分ける必要がある。

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