細胞を応用した骨の造成法近未来の骨造成
日本バイオインテグレーション学会発足記念シンポジウムが1月23日、東京医科歯科大学M&Dタワー2階大講堂で開かれ、全国から180名が参加した。
基調講演
歯科インプラント治療のための骨造成に使用する骨補填材:現状と未来
東京医科歯科大学
インプラント・口腔再生医学分野歯学部附属病院 インプラント外来
教授春日井昇平さん
インプラント埋入予定部位にインプラントを支える骨が存在しないことは多くある。
そこでインプラント埋入の前、あるいはインプラント埋入時に何らかの骨造成が必要なケースが多い。
自家骨移植は骨造成のゴールドスタンダードと言われている。
極めて有効な手段ではあるが、骨採取部位への浸襲が大きい。
また、骨採骨量に限界がある。
自家骨の代わりに我が国では、ハイドロキシアパタイトやβ−TCP(β- リン酸三カルシウム)等の人工材料が骨補填材として臨床で使用されている。
海外では生体ガラスや硫酸カルシウムも骨補填材として使用されている。
さらに、これらの骨補填材料以外、ウシの骨を焼成した材料や、海草やサンゴ由来の材料などの他種由来の材料が使用されている。
さらに人由来の骨(他家骨)も、海外では骨補填材として使用されている。
骨組織を含む全ての組織再生には、その組織に分化する「細胞」と細胞の増殖と分化を促進する「シグナル分子」と細胞が接着して増殖分化するための「足場」が重要であると言われている。
骨補填材は「足場」材料であるので、これに細胞の増殖や分化を促進する分子、あるいは骨に分化する細胞を組み合わせた骨造成の有効性が報告されている。
新しい骨補鎮剤、BMPタンパクや薬物の応用、遺伝子導入法の応用、さらに細胞を応用した骨の造成法近未来の骨造成法として注目されている。
(春日井教授は、インプラント臨床に関連した骨造成に使用する骨補填材を紹介し、由来と性質による骨補填材の分類を明確に示した。
そして、インプラント臨床に関連した骨造成に使用する骨補填材についての考えを提示した)
<注意点>
ハイドロアパタイトは骨植のために非常に有効であるが、逆にその針状構造は細菌感染の温室ともなるので植立に当たっては完全に粘膜下に無ければならない。
当然原則としては歯槽骨の中に埋め込まねばならない。
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