第2回審査支払機関の在り方に関する検討会議事録

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日 時:平成22年4月22日

(木)15:11〜17:16

場 所:全国都市会館3階第1会議室

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/04/txt/s0422-10.txt

出席者:粟生田委員、足利委員、飯山委員、稲垣委員、岩田委員、遠藤委員、 齋藤委員、高田委員、高橋委員、長谷川委員、村岡委員、森田委員(座長)、山本委員、渡辺委員、高智オブザーバー  

〈事務局〉外口保険局長、唐澤審議官、神田総務課長、吉田保険課長、伊藤国民健康保険課長、佐藤医療課長、矢田保険システム高度化推進室長

議事内容  審査支払業務の状況でございます。

国保連合会におきましては、限られた職員で効果的・効率的な審査を行うよう努めておるところでございます。

レセプト審査件数に関しましては、平成10年度に5億 5,000万枚だったものが、平成20年度に8億 9,000万枚。3億 4,000万枚の増加、62%の増加となっております。

その中で高齢者のレセプトにつきましては、診療情報が多いために審査が難しくなっております。

診療情報が多いということは、レセプト1件当たりの費用額にしまして、国保の一般は2万 2,750円でありますが、後期高齢者は3万 7,050円ということで、診療情報が多くなっているところでございます。

こういう審査に当たっている職員でございますけれども、平成10年度には全国保連で 3,843人おったものが、平成20年度では 3,603人。

 240人、 6.2%の減をしております。

先ほど申し上げましたように、レセプトそのものは62%増加している中で、職員は 6.2%削減するというようなことで、非常に効率を高めているのではないかというように考えているところでございます。

ちなみに、審査件数 100万件に対する職員の率は、平成10年度は 8.3人かかっていたところが、19年度は5.97人ということで、単位当たりでは28.3%の効率化を図っているところでございます。

続きまして、9ページでございます。

審査支払手数料ですが、これは、単純に申し上げまして、手数料の単価はコストをレセプト審査件数で割って算出しております。

この金額につきましては、それぞれ国保連の理事会の中で予算を審議していただくわけでございますが、保険者代表が理事として入っております理事会で十分審議をして単価を決めることにしております。

10ページに書いてございますが、審査支払手数料の推移でございますけれども、御案内のとおり、国民健康保険というのは、高齢者や低所得者が多く加入されていることから、毎年、全体で 3,000億を超える赤字になっております。

そのため保険者からは審査支払手数料の引下げを強く要請されておりまして、各国保連合会では、こういう要望にお応えするということで、レセプトの審査件数が伸びている中でも、IT化の推進、職員の減員等の努力で経費節減を行って、毎年手数料を下げてきております。

次のページに全国平均でどのような推移をしているかということが書いてございます。

これは全国の平均でございますが、平成10年度では、国保と老人保険制度を合わせた手数料が平均で 84.82円だったものが、平成20年度、国保と若干残っております老人保険制度、それに後期高齢者医療制度の手数料単価を加えた平均をみましたものが68円05銭ということで、相当大幅な引下げを行っていると考えているところでございます。

ただ、審査支払手数料につきましては、国保連合会ごとに違いがございます。

次のページに表がございますけれども、これは先ほども申し上げましたように、理事会、総会等において保険者と協議して決めているところでございます。

なお、後期の広域連合は国保連合会の会員となっていませんので、どこでも市町村国保よりも手数料は高くなってございます。

13ページに全国保連合会の手数料単価が記載してございます。

20年度の場合でございますので、国保と後期につきまして、それから国保と後期を合わせたものが平均でどうなっているかという数字でございます。

ここにございますように、一番最後の欄でございます。

全国の合計で国保の審査支払手数料55円18銭、後期高齢者の方の手数料96円12銭、合わせて平均をとりますと68円05銭で審査支払いを行っているところでございます。

続きまして、14ページでございます。

国保連合会の審査支払業務の課題と対応ということでございます。

業務の精緻化と効率化について、これは日々努力しているところでございます。

丸が5つございますように、いろいろな課題がございます。

レセプト件数が大幅に増加している。

高齢化レセプトの情報量が多い。

それから、検査・治療内容が豊富なので入院レセプトは点検審査に時間がかかる。

算定ルールの数が年々多くなって、レセプトの数も増加している中で、誤った算定ルールを見つけ出して処理することはなかなか困難である。

それから、障害者自立支援業務や後期高齢者医療制度等の実施により、業務量が全体で増えている中で、審査業務に関わる職員を増やすことができない状態となっております。

これは、私どものオーナーといえばオーナーでございますが、自治体もバブル以降、ものすごい努力をして行革を進めておりまして、これにならって国保連合会としても内部努力をしているところでございます。

こういったことに対応いたしまして、算定ルールのチェックが可能な画面システムを開発したり、特に情報量の多い入院レセプトに対応するために、後ほど説明いたしますが、二画面による審査システムを開発しております。

この二画面システムを用いますと、複雑かつ診療内容の多い入院レセプトについて、審査項目ごとに情報を整理・一覧することができます。

更に、23年5月から電子請求が増えてきたところを狙いまして、縦覧・突合や再審査もこの二画面システムを用いて実施したいと考えているところでございます。

では、二画面システムとはどういうものかということで、15ページ、16ページでございますが、従来の一画面で入院レセプトを表示いたしますと、そこにありますように、何回も何回も画面をめくっていきませんと中身がわからないわけでございます。

そこで、二画面システムを開発いたしまして、レセプト情報を集約・整理して画面数を少なくしております。

16ページを御覧いただきますように、右と左に2つの画面を出しまして、例えば傷病名と症状詳記、傷病名と医薬品、症状詳記と医薬品、傷病名と処置等の診療項目などとの相互関係が容易に把握できるということで、職員の審査事務共助、審査委員の審査を効率的に行うことができるように努力しているところでございます。

次のページにまいりまして、従来の紙レセプトの場合と比較いたしましてどうかということでございますが、17ページの上段の方に、紙レセプトですと、医療機関から搬入されてまいりまして事務共助を行って、審査を行って、事後処理を行って、請求支払の処理を行って共同処理。

ここにございますように、いろいろな手作業を行わなければいけませんが、電子システムになってまいりますと、サーバ経由で画面システムに流れていきまして、自動的に処理ができるというようなことになってございます。

こういうふうな努力をしておりましても、国保連合会におきましても査定率の格差というのは確かにございます。

これは、18ページに書いてございますように、審査委員数、職員数などの審査体制の差もございますし、各審査委員の先生方の審査における判断の幅、これはやはり診療報酬が抽象的に記載されているところもございますので、どうしても審査委員の裁量に頼るところがございますので、そういう判断の幅等が要因となってございます。

ただ、これに対しまして、国保連合会といたしましても、全体的に、19ページにございますように、できるだけ審査の地域格差を解消しようということで、審査の実態を把握するために同じ事例について判定事例を収集しております。

今までに 344事例、17年度から21年度にかけて事例を収集しておりまして、これにつきましては、調査の結果を各国保連合会に周知いたしますとともに、 70%以上の国保連合会が同じ判定をしたものについては、全国国保連合会がこれに従うように促してきているところでございます。

こういった取組をもとにいたしまして、国保連としてできるだけ統一的な審査基準にまとめていきたいと考えておりまして、そういう努力を行っているところでございます。

今申し上げた地域格差解消のための調査というのは、20ページにございますように、5年ごとに再評価するつもりで調査を行っているところでございます。

続きまして、今後の取組でございます。

21ページからでございますが、まず、レセプトの縦覧点検・突合点検の実施を行っていきたいと考えているところでございます。

原則、電子請求を踏まえまして、1次審査におきまして、従前、保険者にレセプトが返らなければできませんでした縦覧点検、これは当月と前月以前のレセプトの比較、それから突合点検、医科と調剤、歯科と調剤等の点検を実施していきたいと思っております。

これによりまして、保険者自らが行う業務が大幅に軽減されると存じております。

私ども国保連合会の方では、先ほど申し上げましたように、二画面システムを導入するために縦覧・突合が行いやすくなっていると存じます。

22ページに、その一例といたしまして従来の事例でございますが、当月のレセプトと1ヶ月前のレセプト、2ヶ月前のレセプトを見比べまして、3ヶ月に1回しか請求できないルールを例にとりますと、3ヶ月間で2回請求されていれば、その請求されているレセプトを二画面システムの画面にそれぞれ表示して審査を行うということができるようになると存じております。

続きまして、23ページ、突合でございますが、適応のない医薬品が処方されていないかどうかをみるために突合を行います。

調剤レセプトの医療機関番号、被保険者番号、生年月日、性別等を用いまして、医科レセプトと調剤レセプトを個人単位で突合いたします。

そして、突合された医科レセプトと調剤レセプトにつきまして、医科レセプトの傷病名と調剤レセプトに処方されている医薬品の適応傷病名をコンピュータ上で照合いたしまして、お互いの傷病名が合っているかどうかの確認を行います。

こういうことをして突合審査を行っていきたいと考えているところでございます。

続きまして、24ページ、被保険者資格点検の充実ということでございます。

現状でございますけれども、審査後に資格確認リスト、これはエラーリストになりますが、これを保険者へ送付いたします。

それで、保険者におかれまして資格確認を行って、誤りが確認できた場合には、国保連合会を通じて医療機関等にレセプトの返戻を行っています。

 この間、現状では約2〜3ヶ月を要しますが、これからは新しいシステムにおきまして、国保連合会で1次審査の中で被保険者資格のチェックができるようになりますので、医療機関へ当月、審査前に返戻できるようにいたします。

このことによりまして、被保険者資格の誤りによります保険者側の返戻及びこれを受けた医療機関等が行う再請求の流れが大幅に短縮できますので、医療機関等におけます未収金対策、あるいは保険者の事務の軽減、高額療養費等の確定の早期化、このような効果が期待できるところでございます。

続きまして、25ページでございます。冒頭に申し上げましたように、国保連合会におきましては、介護給付費の審査支払も行っている関係で、医療情報と介護情報の突合をすることができます。

国保連合会で診療報酬明細書等と介護報酬明細書を保有していることから、1次審査において突合を実施する予定でございます。

医療保険と介護保険で重複して算定できない給付についての査定が可能となります。例にございますように、要介護認定者に対し、在宅患者連携指導料は算定できませんし、介護老人保健施設入所中の患者に対し、在宅時医学総合管理料は算定できないということが明らかにできます。また逆に、在宅で介護を受けている方に対して、入院中に介護報酬が出ていればおかしいということを明らかにすることができます。

(2)  続きまして、26ページ、レセプトの保管・点検でございますが、国保保険者では毎年 50万件、一保険者当たりの平均でございますが、紙で積み上げますと約50mの高さでございます。

(3)  このレセプトの保管と点検に多大な費用がかかってございますが、連合会では、電子レセプトだけでなくて紙レセプトも画像化いたしまして、国保連合会のサーバに格納することによりまして、保険者は必要なときに端末からオンラインでレセプト点検が行えるように体制を構築しています。

したがいまして、保険者におかれて、紙レセプトを保管しなくても、いつでも利用できるという状態を実現しております。

そういったことによりまして、保険者におけるレセプト保管費用を大幅に削減し、レセプト点検が容易ということで、保険者のレセプト点検業務を軽減いたします。

続きまして、27ページです。

医療・特定健診・介護等のデータベースの構築でございます。

国保の被保険者は住所地管理が完全に行われておりますので、医療情報、特定健診情報、介護情報等のデータベースを構築いたしまして、市町村ごとに情報提供することが可能でございます。

いろいろな統計を分析いたしまして、地域地域のそこに実際に住んでいらっしゃる方々の疾病構造の特徴等を明らかにすることができますし、介護等と連携することによりまして、当該地域の医療・福祉・介護に関する情報を把握して、地域に適した包括ケアの展開が可能になるというふうに存じております。

最後になりますが、審査支払業務と保険者事務共同処理を国保連合会が行っております。

このメリットでございます。

審査支払決定の要素は、請求額・請求内容の確定と請求先保険者)の確定、支払先(医療機関)の確定、この3つの要素がございますが、請求額・請求内容は審査により決定いたしますが、請求先(保険者)は、保険者は国保連合会に提供される被保険者資格情報で確認いたします。

支払先はレセプトで確認いたします。

国保連合会は、この3つの要素を一括で処理することができますので、資格誤りによる請求決定の遅れは解消されます。

その結果、医療機関の未収金の軽減にもつながりますし、高額療養費確定の早期化にもつながりますし、保険者事務も軽減されるというふうに認識しております。

駆け足でございましたが、私どもの現状と課題につきまして、以上、御報告申し上げました。

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