石膏模型は歯科技工士にとっては命

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印象彩得の難しさは、色々な顎提があることだ。

フラビーの患者さんの顎提でも、経験をしていると模型で見ただけで分かるという。粘膜と模型の状態を歯科医師は確認できるが、歯科技工士にはそれができない。「歯科技工士が模型を見て、この範囲がフラビーであると認識してほしい」と腰原名誉教授は述べていた。義歯の安定も悪く、疼痛を訴える患者さんが多いは、フラビーが原因となっている。そこで精密印象が不可欠である。歯科技工士の戸田篤さんは、「石膏模型は歯科技工士にといっては命である」と述べていた。石膏の精度で精密印象は決まるので、印象処理が問題となる。「5分以内に石膏を流すこと」を戸田さんは求めていた。また、石膏模型の感染予防のため処理対策も話題となった。

すべての血液、体液、分泌物、などの湿性物質に感染性があるという考え方を基本に感染予防行われる。しかし、「歯科技工士は、感染予防に無防備だ」と戸田さんが指摘した。歯科技工指示書に、この石膏模型はB型肝炎の患者のものである、と書かれているわけではない。このために、「対処の仕方がない」と戸田さんが歯科技工士の声を代弁した。腰原名誉教授が、「感染予防対策は、その場で石膏模型厳選に処理をすることである。そのことで感染の拡散を予防できる。具体的には、唾液と血液の処理である。まず、水洗が必要である。次いで消毒、殺菌が原則だ。しかし、注意しなければいけないことは事実であるが、患者さんは家族と生活をしており、簡単に家族間で感染することはないのがウイルス性肝炎である」と述べた。

つまり、「必要以上の過剰反応はすべきでない」とした。

今回の講演では、総義歯製作における歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士の役割について、リレー式に講演をしたことと、事前に参加者からアンケートで意見や質問を求めて、それをディスカッションのシナリオとしたことである。河邊臨床のミーティング(例会)に参加して、その企画段階の舞台裏も知っていたので、どのような講演会になるのかを、興味を持って参加した。とてもよい内容となったと思う。総義歯製作の難しさは、スタディーグループの「寺子屋」の例会や患者実習を取材した過去の経験からある程度は知っていた。歯科医師が治療計画を技工指示書とする。基本的には咬合彩得によって、義歯がうまくいくかどうかが決まる。安静位を見つけ出すことの重要性。人工歯の配列、配列試適調整、チェックバイト、義歯装着、粘膜調整、口腔内咬合調整などを中心に話題が展開した。こめかみから下顎までを結ぶ側頭筋という筋肉があり、顎の動きに連動してこめかみが動く。 (「こめかみ」の語は、物を噛むとこの部分が動くことから「米噛み」に由来するものである)腰原名誉教授は、参加者たち、前歯で噛むときのこめかみの動きと、臼歯で噛むときのこめかみの動きを確認させた。片噛みなどの癖があれば、こめかみの動きはアンバランスである。これが安静位を見つけるヒントになる。また、噛み癖については、「旧義歯を使用して調整していくことだ」と述べた。なお、咬合彩得については、「患者が座る姿勢が問題になる」指摘した。それは、座って一番楽な、無理のない姿勢であった。つまり、頭の位置が問題となるので、「座って食事をしている姿勢に近い姿勢である」と腰原名誉教授強調した。同時に、患者自身がリラックスしていて、精神的にも安定していることが期待された。「歯科医師自身が緊張していれば、患者側にも緊張は伝わる」という。足は楽にし、手は握らずに開いた状態にする。肩を楽にし、呼吸も深く。以上のことを念頭に、総義歯製作をする。

(講演の後半は省略した)

河邊臨床教室 第88 回定例講演会(下)

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