病院と診療所間の診療報酬の配分の在り方

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5月28日の日本歯科医師会臨時代議員会で、問題となったのが、財務大臣の諮問機関である、財政制度等審議会の平成21年度予算の編成等に関する建議。

代議員の「ブログのニュースによると、大学病院の勤務医に予算を配分する考えはあるが、開業には配分しないようだ」との懸念に対して、日本歯科医師会の大久保満男会長は、「財政制度等審議会は、昨日今日のことではなく、医療費に対して厳しい意見を持っている。しかし、自民党の多くの議員は、これ以上の医療費抑制では、医療機関は持ち堪えられない、との認識を示している」と応えた。

<参考>

財政制度等審議会の平成21年度予算の編成等に関する建議の抜粋

① 最近の我が国の医療を取り巻く課題昨今、特定の地域や診療科等におけるいわゆる「医師不足」問題に加え、救急医療における「患者のたらい回し」といった問題も発生している。医師数自体は全体で見れば毎年3,500人〜4,000人程度増加していることから、こうした問題の発生の背景には、むしろ大学病院の医師派遣機能の低下や病院勤務医の厳しい勤務環境及びそれを背景とした医師の病院離れ(開業医志向)などにより、医師を適正かつ効率的に配置できていないことが大きな要因の一つとして考えられる。したがって、こうした問題に対応するためには、病院と診療所間の診療報酬の配分の在り方や医師の配置等に関する規制の在り方の見直しなど、背景となっている実態一つ一つに焦点を当てた対応を的確に行っていく必要がある。

② 医療給付と負担の動向と課題

我が国の医療費は、高齢化の進展等に伴い、毎年度3〜4%程度(1兆円程度)増加しており、その結果、保険料・税負担といった国民負担も大幅に増大していくこととなる。こうした中、現役世代の負担を過度なものとせず、将来にわたり医療保険制度を持続可能なものとするためには、早急に更なる改革に取り組む必要がある。また、財政面から見ても、今後、高齢化の進展に伴い、税負担の割合の高い高齢者医療給付費が増大することにより、税負担の比重が高まることが見込まれており、医療保険制度における税負担の在り方の見直しについても検討していく必要がある。平成20年度(2008年度)においては、国民負担の軽減や公平化を図りながら歳出改革を推進する観点から、薬価等の改定や政管健保への税金による補助の見直しなどの制度・施策の見直しを行うこととされたが、引き続き、保険料・税負担の上昇をできる限り抑制するため、不断の改革努力を行っていく必要がある。

③ 医療給付と負担に関する改革の方向性

我が国の医療の実態を見ると、諸外国と比較して、病床数が多く、入院日数が長い、外来患者の受診回数が多い、薬の使用に無駄が多いなど、様々な課題が山積している。

また、こうした課題自体が、上述のように医師不足問題等を助長する結果にもなっていると考えられ、その解決に早急に取り組む必要がある。こうした中、「基本方針2008」において、「『医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム(平成19年(2007年)5月)』に沿って、供給コストを最大限低減する努力を行う」とされている。当審議会としては、これまでも、公的給付の重点化や患者負担の見直しなど、具体的な改革方策について様々な指摘を行ってきており、引き続き聖域なく検討していく必要がある。

その際には、

・ 国民負担の軽減の観点から、医療サービス提供コストの縮減・合理化を進めること、

・ 保険料・税で支える公的医療給付については、サービス産業としての総医療費と峻別し、介護給付等との役割分担も踏まえながら、真に必要なものに給付の範囲の重点化を図ること、

・ 世代間・世代内の公平を図る観点から、医療費について年齢を問わず負担能力に応じて負担する仕組みとすること、等の改革に取り組んでいく必要がある。

なお、医療費の適正化に向けては、国民自らが健康の保持に対する自覚を持ち、安易に医療サービスに頼らないといった意識付けも重要である。

 

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