水銀 歯科用合金が貿易規制の『抜け穴』になっている

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<水銀>規制条約案、「抜け穴」に懸念 金採掘に使用、健康被害招く

毎日新聞 1月7日(月)10時36分配信

 

 地球規模の水銀汚染防止を目指し、水銀が含まれた製品の製造や輸出入を規制する新たな条約を策定する国連の政府間交渉が13日、ジュネーブで始まる。

排出を大幅に抑制する実効性の高い条約になることが期待されているが、現在議論されている条文案に対しては、環境NGO(非政府組織)から「抜け穴が多い」との厳しい指摘が出ている。日本政府が提案する「水俣条約」の命名に対しても、地元から賛否の声が上がる。交渉の課題をまとめた。【比嘉洋、西貴晴】

 

 「水俣病が将来再び世界のどこかで発生するのを防ぐために、十分ではない」

 

 100カ国以上の環境NGOで構成する「国際残留性有機汚染物質廃絶ネットワーク(IPEN)」は、政府間交渉で議論される条文案を批判している。

 

 条文案は水銀の輸出入を原則禁止しているが、「許容される用途に使用される」場合は例外的に認めている。

例えば、虫歯治療で歯に詰める水銀合金への使用は「制限する」としているが、禁止はされていない。

IPENは「歯科用合金が貿易規制の『抜け穴』になっている。制限ではなく禁止にしないと効果がない」と指摘する。

 

 IPENメンバーの「化学物質問題市民研究会」(東京都)の安間武氏は「途上国では歯科用合金から取り出された水銀が違法な人力小規模金採掘に使われ、貧しい現場の労働者の健康被害を招いている」と訴える。

 

 人力小規模金採掘は、金を含む鉱石を砕き、水銀と混ぜ合わせて合金を作り、加熱して水銀を蒸発させることで金のみを取り出す方法。安価で容易なため途上国各地で行われているが、労働者は高濃度の水銀蒸気にさらされ、頭痛やめまい、呼吸困難などの健康被害が出る危険性が高い。

 

 国連環境計画(UNEP)によると、05年に世界全体で水銀の需要は3798トンあり、うち21%分が人力小規模金採掘用で、最も多かった。この他、欧州を中心に、20%分は建築材料などに使用される塩化ビニール樹脂の製造、13%分は塩素や水酸化ナトリウムなどの工業薬品の製造に用いられた。

 

 条文案は人力小規模金採掘現場での水銀使用について「実行可能なら」廃絶するための措置を取るよう求めている。つまり、締約国の努力義務となっている。安間氏は「金採掘は貧しい地域の収入源となっており、貧困問題を解決しなければ、水銀問題も解決しない」と強調する。

 

 水銀を使わない代替法はコストがかかるため、途上国は規制強化に反発。これまでの交渉で「水銀の使用削減は先進国からの資金や技術支援が条件だ」と主張している。

 

 NGOは、交渉を重ねるごとに規制が弱まっていると指摘。これに対して、環境省は「できる限り多くの国が参加可能な枠組み作りを目指すためには仕方ない」と説明している。

 

 ◇「水俣条約」の命名、地元に賛否

 

 「水俣病の経験国として水銀汚染防止への取り組みを世界に誓う」として政府は交渉の場で、13年10月に開かれる外交会議を熊本県内で開催し、「水俣条約」と名付けることを正式に提案する方針だ。しかし、水俣病が発生した同県水俣市では賛否両論がある。

 

 水俣病患者連合(松村守芳(もりよし)会長)など3団体は昨年12月、環境省に「『水俣条約』の名を冠することにより、人類が悲劇を忘れないようにしてほしい」と訴え、政府の方針に賛同した。

 

 一方、水俣市議会は同月「命名によって水俣病による市民への風評被害が永遠に続く」として、命名に反対する意見書を賛成多数で可決した。議員の一人は「水俣イコール公害の町というイメージが定着する」と訴えた。さらに、水俣病被害者互助会など別の患者や市民団体5団体は、現在検討されている条約案の内容では「水銀で汚染された場所の修復や被害者補償を汚染者に義務づけていない」などとして、命名反対の声明を市や国に提出した。

 

 地元の反対について、石原伸晃環境相は毎日新聞などのインタビューに「二度と人類が起こしてはいけないと警鐘を鳴らす上で水俣条約としたいと思っている方は大勢いる。多くの方々の理解を得る形で決めていく」と語った。

 

 ◇水銀規制の新条約

 

 水銀による地球規模の汚染や健康被害を防ぐことを目的に、約120カ国が10年6月から条文策定の交渉を重ねている。水銀排出量は近年、先進国で大きく減少しているが、世界全体で見ると減っていないとみられる。中国やインドなどの新興国や途上国では、経済成長に伴い火力発電での石炭消費量が増加しているため、石炭に含まれる水銀が燃焼で蒸発し、大気に排出される量が増加しているためだ。国連環境計画(UNEP)によると、大気に排出された水銀の量(05年)は世界全体で約1920トン。このうち46%は石炭燃焼で、24%は金採掘が排出源となっている。交渉では、金採掘に使われる水銀の輸出入規制や、火力発電に水銀排出を抑える最新技術の導入を義務づけることを条文に盛り込むことなどが話し合われる。

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<参考:肯定派>

アマルガムとは「歯科用水銀アマルガム」の略で、主に虫歯治療で歯に詰める歯科治療用材料です。

硬化したアマルガムには水銀は3%以下しか含まれておらず、しかもそれらは体に有害なメチル水銀(有機水銀)ではなく

体に無害な無機水銀であるからアマルガムは人体に無害である!と歯科医師は歯科大学・歯学部で習ったハズです。

またJIS規格(日本工業規格)でもアマルガムの組成では、水銀は3%以下と定められています。

ちなみに、銀65%以上、スズ25%以上、銅6%以下、亜鉛2%以下、水銀3%以下がアマルガムを形成している全てです。

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 <参考:反対派>

現在使われているもので、銀とスズの合金に銅や亜鉛を添加した粉末を、水銀で練ったものである。

歯質との接着性はないが、硬化時に膨張するためぴったり患部をふさげることや、なにより手軽で安価なことが長所であるが、見た目が金属色(銀灰色)で目立つこと、そして水銀が溶け出すおそれがあることが短所である。

 

アメリカでは、アマルガムを撤廃する方向に進んでいます。

イギリス厚生省は1998年、妊婦のアマルガムの水銀が体内に吸収され、胎児まで届き、また母乳まで移行する危険性があると発表している。

スウェーデン政府健康福祉局も妊婦は胎児の安全のために妊娠期間中にアマルガムの治療を受けてはいけないと発表した。このことは、最近の研究により確認されている。(46名の母親の母乳を検査すると、アマルガムの詰め物が多いほど母乳中の水銀濃度が高いという研究。)

アマルガムは、銀・スズ・銅・亜鉛、水銀などが含まれる合金です。

水銀が高濃度に含まれています。

アマルガムはお口の中で劣化し、腐食しやすい傾向があるため、人体に影響を及ぼすおそれがあります。

アマルガムが腐食するのは、唾液が電解液として作用するからで、その他には、果物・野菜・コーヒー・お茶などの酸も、化学反応を引き起こす要因となります。また、アマルガムは物を噛む際など摩擦が生じた時に、その熱で水銀を含んだ蒸気を発生するともいわれます。

その結果として、水銀の粒子や水銀の蒸気が体内に流出し、自覚のないままに吸収され、腎臓、肝臓、脳などに蓄積される可能性があります。

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