歯科疾患実態調査:8020達成者38.3%であり、平成17年調査結果24.1%から増加

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このほど、第10回歯科疾患実態調査の結果が厚労省から概要として公表された。この調査は、わが国の歯科保健状況を把握し、今後の歯科保健医療対策の推進に必要な基礎資料を得ることを目的に、昭和32年より6年ごとに実施している。今回は、平成23年11月に実施したもの。この調査の結果から、8020達成者(80歳で20本以上の歯を有する者の割合)は38.3%であり、平成17年の調査結果24.1%から増加している。(8020達成者は、75歳以上80歳未満、80歳以上85歳未満の数値から推計)。なお、この調査は、全国を対象として、平成23年国民生活基礎調査により設定された単位区から無作為に抽出した300単位区内の世帯及び当該世帯の満1歳以上の世帯員を調査客体としており、今回の被調査者数は4,253人(男1,812人、女2,441人)であった。主な項目による結果は以下のとおり。

【う蝕とその処置状況 】1)乳歯 =5歳以上10歳未満においては、各年齢とも現在歯に対してう歯を持つ者の割合は40%を超えていた。7歳未満の各年齢において過去の調査と比較すると、現在歯に対してう歯を持つ者の割合(表3、図3)、1人平均df歯数(dft指数)、1人平均未処置歯数のいずれも減少傾向を示している。

2)乳歯+永久歯=5歳以上15歳未満の各年齢において、4割〜7割程度の者が乳歯または永久歯の現在歯にう歯を有する者であった。過去の調査と比較し、減少傾向を示している。

3)永久歯 [1]う蝕の状況 =5歳以上10歳未満の年齢階級では現在歯に対してう歯を持つ者の割合は10%であった。 20歳以上80歳未満の各年齢階級では8割以上にのぼった。過去の調査と比較すると、5歳以上25歳未満の各年齢階級では減少する傾向を示したが、45歳以上では、増加傾向を示す年齢階級があった。 5歳以上15歳未満の1人平均DMF歯数(DMFT指数)は、近年、減少傾向を示しており、今回調査における12歳児のDMFT指数は1.4であった。15歳以上においてDMFT指数を過去の調査と比較すると、若年者において減少する傾向がみられるとともに50歳以上の各年齢階級においても減少する傾向がみられたう蝕の処置状況は若年層では充填が多かったが、高齢者ではクラウン、とくに架工義歯(ブリッジ)の支台となるクラウンが多かった。

【歯肉の状況 】若年者においては歯肉に所見のある者、診査対象歯のない者が少なかったが、高齢になるにつれ歯肉に所見のある者および対象歯のない者が多かった。4mm 以上の歯周ポケットを持つ者の割合について前回調査(平成17 年)と比較すると、30〜60 歳代では概ね低値を示した。一方、75 歳以上の高齢者層では今回調査のほうが高値を示した。この原因として現在歯数の増加が考えられる。

【歯列・咬合の状況】12 歳以上20 歳未満で叢生のある者は約44%、歯列に空隙のある者は約12%であった。オーバージェットの状況は、オーバーバイトの状況については示した。

【フッ化物塗布の状況 】1 歳以上15 歳未満においてフッ化物塗布を受けたことのある者は64%であった。その内訳をみると、約15%が市町村保健センター等で、4 割弱がその他の医療機関で、そして約1 割が両方で受診したと回答した。フッ化物塗布を受けたことのある者の割合は、調査を重ねるごとに増加している。

【歯ブラシの使用状況 】1歳以上の者では、毎日歯をみがく者の割合は95%であった。また、毎日複数回歯みがく者の割合は近年増加している。

【顎関節の状況】口を大きく開け閉めした時、あごの音がするか、痛みがあるかという質問に「はい」と答えた者の割合は、どちらも全体的に女性において高い傾向を示した。

【インプラントの状況】15歳以上の者では、インプラントが入っていると回答した者は2.6%であり、55〜74歳で 高い割合を示した。

【かみあわせの状況】 15歳以上45歳未満の者では、両側で接触のある者が95%以上であるが、45歳以上では 年齢とともに接触のある者の割合が少なくなる傾向を示した。

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