歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持の推進に関する法律案

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口腔の健康の保持の推進へ

 

民主党歯科医療議員連盟の立法分科会と役員会で、以下の口腔の健康の保持の推進などを目的とする法案について協議し、今国会での成立を目指すこことなった。

なお、日本歯科医師会、日本歯科医師連盟との協議については、自民党案もあり、どのようにすり合わせをするのかが課題である。

また、理念法である場合、具体的な実効性の問題もある。

実施する責務を有するとしているが、予算(財政上の措置等)もともなう。

 

 

第一七一回

衆第五三号

  第一条 この法律は、口腔の健康が国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしているとともに、国民の日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組が口腔の健康の保持に極めて有効であることにかんがみ、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持(以下単に「口腔の健康の保持」という。)の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、口腔の健康の保持の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、口腔の健康の保持の推進に関する施策を総合的に推進し、もって国民保健の向上に寄与することを目的とする。

 (基本理念)

第二条 口腔の健康の保持の推進に関する施策は、次に掲げる事項を基本として行われなければならない。

 一 国民が、生涯にわたって日常生活において歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに、歯科疾患を早期に発見し、早期に治療を受けることを促進すること。

 二 乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期における口腔とその機能の状態及び歯科疾患の特性に応じて、適切かつ効果的に口腔の健康の保持を推進すること。

 三 保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育その他の関連施策との有機的な連携を図りつつ、その関係者の協力を得て、総合的に口腔の健康の保持を推進すること。

 (国及び地方公共団体の責務等)

第三条 国は、前条の基本理念(次項において「基本理念」という。)にのっとり、口腔の健康の保持の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 地方公共団体は、基本理念にのっとり、口腔の健康の保持の推進に関する施策に関し、国との連携を図りつつ、その地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

3 国及び地方公共団体は、口腔の健康の保持の推進に関し、他の法令に基づき国民の健康の保持増進のために必要な事業を行う者の協力を得るよう努めなければならない。

 (歯科医師等の責務)

第四条 歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士その他の歯科医療又は保健指導に係る業務(以下この条及び第十三条において「歯科医療等業務」という。)に従事する者は、口腔の健康の保持(歯の機能の回復によるものを含む。)に資するよう、医師その他歯科医療等業務に関連する業務に従事する者との緊密な連携を図りつつ、適切にその業務を行うとともに、国及び地方公共団体が口腔の健康の保持の推進に関して講ずる施策に協力するよう努めるものとする。

 (国民の責務)

第五条 国民は、口腔の健康の保持に関する正しい知識を持つとともに、生涯にわたって日常生活において自ら歯科疾患の予防に向けた取組を行うことにより、口腔の健康の保持に努めるものとする。

 (口腔の健康の保持に関する知識等の普及啓発等)

第六条 国及び地方公共団体は、国民が、口腔の健康の保持に関する正しい知識を持つとともに、生涯にわたって日常生活において歯科疾患の予防に向けた取組を行うことを促進するため、口腔の健康の保持に関する知識及び歯科疾患の予防に向けた取組に関する普及啓発、口腔の健康の保持に関する国民の意欲を高めるための運動の促進その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (定期的に歯科検診を受けること等の勧奨等)

第七条 国及び地方公共団体は、国民が、定期的に歯科に係る検診(健康診査及び健康診断を含む。)を受けること及び必要に応じて歯科保健指導を受けること(以下この条及び次条において「定期的に歯科検診を受けること等」という。)を促進するため、定期的に歯科検診を受けること等の勧奨その他の必要な施策を講ずるものとする。

 (障害者等が定期的に歯科検診を受けること等のための施策)

第八条 国及び地方公共団体は、障害者、介護を必要とする高齢者その他の者であって定期的に歯科検診を受けること等又は歯科医療を受けることが困難なものが、定期的に歯科検診を受けること等又は歯科医療を受けることができるようにするため、必要な施策を講ずるものとする。

 (歯科疾患の予防のための措置等)

第九条 前三条に規定するもののほか、国及び地方公共団体は、個別的に又は公衆衛生の見地から行う歯科疾患の効果的な予防のための措置その他の口腔の健康の保持のための措置に関する施策を講ずるものとする。

 (口腔の健康の保持に関する調査及び研究の推進等)

第十条 国及び地方公共団体は、口腔の健康に関する実態の定期的な調査、口腔の状態が人の健康に及ぼす影響に関する研究、歯科疾患に係るより効果的な予防及び医療に関する研究その他口腔の健康の保持に関する調査及び研究の推進並びにその成果の活用の促進のために必要な施策を講ずるものとする。

 (口腔の健康の保持の推進に関する基本的事項の策定及び公表)

第十一条 厚生労働大臣は、第六条から前条までの規定により講ぜられる施策につき、それらの総合的な実施のための方針、目標、計画その他の基本的事項(以下この条において「基本的事項」という。)を定めるものとする。

2 基本的事項は、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第七条第一項に規定する基本方針、地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第四条第一項に規定する基本指針その他の法律の規定による方針又は指針であって保健、医療又は福祉に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない。

3 厚生労働大臣は、基本的事項を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するものとする。

4 厚生労働大臣は、基本的事項を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

 (財政上の措置等)

第十二条 国及び地方公共団体は、口腔の健康の保持の推進に関する施策を実施するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

 (口腔保健支援センター)

第十三条 都道府県、保健所を設置する市及び特別区は、口腔保健支援センターを設けることができる。

2 口腔保健支援センターは、第六条から第十条までに規定する施策の実施のため、歯科医療等業務に従事する者等に対する情報の提供、研修の実施その他の支援を行う機関とする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。

 

     理 由

 口腔の健康が国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしているとともに、国民の日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組が口腔の健康の保持に極めて有効であることにかんがみ、国民保健の向上に寄与するため、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持の推進に関する施策を総合的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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<参考>

歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持の推進に関する法律案骨子1 目的この法律は、口腔の健康の保持が国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしているとともに、国民の日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組が口腔の健康の保持に極めて有効であることにかんがみ、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、口腔の健康の保持の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、口腔の健康の保持の推進に関する施策を総合的に講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的とすること。2 基本理念口腔の健康の保持の推進に関する施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならないものとすること。① 生涯にわたる国民の日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組並びに歯科疾患の早期発見及び早期治療を促進すること。② 乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期における口腔及びその機能の状態並びに歯科疾患の特性に応じて適切かつ効果的に口腔の健康の保持を推進すること。③ 保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育その他の関連施策との有機的な連携を図りつつ、その関係者の協力を得て、総合的に行うこと。3 責務(1) 国及び地方公共団体の責務等① 国は、基本理念にのっとり、口腔の健康の保持の推進に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有するものとすること。② 地方公共団体は、基本理念にのっとり、口腔の健康の保持の推進に関する施策に関し、国との連携を図りつつ、その地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有するものとすること。③ 国及び地方公共団体は、口腔の健康の保持の推進に関し、他の法令に基づき国民の健康の保持増進のために必要な事業を行う者の協力を得るよう努めなければならないものとすること。(2) 歯科医師等の責務歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士その他の歯科医療又は保健指導に係る業務(以下「歯科医療等業務」という。)に従事する者は、国民の口腔の健康の保持(歯の機能の回復を含む。)に資するよう、医師その他歯科医療等業務以外の業務で歯科医療等業務に関連するものに従事する者との緊密な連携を図りつつ、適切にその業務を行うとともに、国及び地方公共団体が口腔の健康の保持の推進に関して講ずる施策に協力するよう努めるものとすること。(3) 国民の責務国民は、口腔の健康の保持に関する正しい知識を持つとともに、日常生活において自ら歯科疾患の予防に向けた取組を行うことにより、口腔の健康の保持に努めるものとすること。4 基本的施策(1) 口腔の健康の保持に関する知識等の普及啓発国及び地方公共団体は、国民が、口腔の健康の保持に関する正しい知識を持つとともに、生涯にわたって日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組を行うことを促進するため、口腔の健康の保持に関する知識及び歯科疾患の予防に向けた取組に関する普及啓発、国民が行う普及啓発のための運動の促進その他の必要な施策を講ずるものとすること。(2) 歯科検診等を受けることの勧奨国及び地方公共団体は、国民が、定期的に歯科に係る検診(健康診査及び健康診断を含む。以下同じ。)を受けるとともに、必要に応じて歯科保健指導を受けることを促進するため、歯科に係る検診及び歯科保健指導(以下「歯科検診等」という。)を受けることの勧奨その他の必要な施策を講ずるものとすること。(3) 歯科疾患の予防対策等の推進国及び地方公共団体は、4(1)及び(2)によるほか、個別的に又は公衆衛生の見地から行う歯科疾患の効果的な予防対策の推進その他の生涯にわたる口腔の健康の保持に必要な施策を講ずるものとすること。(4) 障害者等の口腔の健康の保持のための施策の推進国及び地方公共団体は、障害者、介護を必要とする高齢者その他の者であって歯科検診等又は歯科医療を受けることが困難なものが必要に応じて歯科検診等又は歯科医療を受けることができるようにするため、必要な施策を講ずるものとすること。(5) 口腔の健康の保持に関する調査及び研究の推進国及び地方公共団体は、口腔の健康に関する実態の定期的な調査、口腔の状態が人の健康に及ぼす影響に関する研究、歯科疾患に係るより効果的な予防及び医療に関する研究その他口腔の健康の保持に関する調査及び研究の推進並びにその成果の活用の促進のために必要な施策を講ずるものとすること。5 口腔の健康の保持の推進に関する基本的事項の策定(1) 厚生労働大臣は、4の施策につき、その総合的な実施のための方針、目標、計画その他の基本的事項を定めるものとすること。(2) (1)の基本的事項は、健康増進法に規定する基本方針、地域保健法に規定する基本指針その他の法令の規定による方針又は指針であって保健、医療又は福祉に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならないものとすること。(3) 厚生労働大臣は、(1)の基本的事項を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するものとすること。(4) 厚生労働大臣は、(1)の基本的事項を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとすること。6 財政上の措置等国及び地方公共団体は、口腔の健康の保持の推進に関する施策を実施するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとすること。7 口腔保健支援センターの設置(1) 都道府県、保健所を設置する市及び特別区は、口腔保健支援センターを設けることができるものとすること。(2) 口腔保健支援センターは、4の施策を講ずるため、口腔の健康の保持に関する情報の提供、研修の実施その他の支援を実施することを目的とする機関とすること。

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