歯科技工士国家試験の実施に向けて

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9月1日から、歯科衛生士も歯科技工士も「国家試験」ということになりました。

これまでは法律上、「歯科衛生士試験」および「歯科技工士試験」であり、厚生労働大臣が行うこととされていました。

しかし、歯科衛生士の場合は、18回にわたり財団法人歯科医療研修振興財団が厚生労働大臣の指定試験・登録機関として実施に当たっています。

これに対して、歯科技工士の場合は、「歯科技工士法」の附則で「(前略)当分の間、(中略)歯科技工士学校又は歯科技工士養成所の所在地の都道府県知事が、毎年少なくとも一回これを行うものとする。」とされているところから、都道府県知事が試験をして、厚生労働大臣が免許を与えるという形になっています。

現在、厚生労働省所管の身分資格で、都道府県知事が関与しているのは、歯科技工士のほかは准看護師(試験免許ともに知事)のみであり、歯科衛生士をはじめ言語聴覚士、臨床工学技士、義肢装具士、救急救命士、あんま・はり・きゅう師ならびに柔道整復師は、それぞれの指定試験機関により全国統一試験が行われています。

都道府県で試験を行うことは「国家試験」としては異例のことであり、そのためいろいろな問題が指摘されています。

例えば、試験内容等に差があること、試験期日が統一されていないので、複数回受験することが可能であること、実地試験があることなど都道府県に負担が大きいことなどといったことです。

日本歯科技工士会はかねてから、全国統一試験の実施を要請してきましたが、法律を改正しない限り、国自らが行うことはできないのが現状です。

また、この行財政改革のさなかに、国の事業を増やす(都道府県の事業は減りますが)ことは、大変難しいことであり、歯科衛生士の場合と同じく、指定試験機関により実施することが現実的な方策ではないかと思われますが、それには、歯科技工士法の附則のみならず、指定試験機関に関する事項についても規定する必要があります。

また、実際にそれを受け持つ団体を設立し、新しい公益法人法に基づく認証を受ける必要があります。

政権交代が現実のものとなりましたが、与党となった民主党はこれまで、歯科技工士をはじめ歯科業界とは、あまり密接な関係はなかったように思われますし、「官から政へ」と政策立案過程を移行すると政権公約(マニフェスト)に謳っています。

そんな中で、歯科技工士国家試験をはじめとする諸問題の解決のためには、どのようにするのがよいのか?新しい観点や手法が問われることになります。

そして、何といっても関係者の合意と推進力とが必要であることはいうまでもありません。

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