歯科医療費の削減を目的に個別指導、共同指導?!

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「歯科医療費の削減を目的に個別指導、共同指導が実施されていることは否めない」

会員の立場で問題を提起したものとして月20、21の両日の日程で開かれた日本歯科医師会の代議員会が注目された。

代議員会の質疑で個別指導、共同指導等に関する事前質問が過去にどれほどあったのか、確かな記憶はないが、 日本歯科医師会も本気で正面からこの問題にに言及し、前向きに取り組む姿勢を示したことで注目される。

<個別指導、共同指導等に関する根本的問題>

歯科では指導本来のあり方を超えて、枝葉末節の部分を調べ指摘するような指導の傾向に陥っているのではないか。

指導の結果、例えば「著しい不当、不正が認められた」ということは、あくまで「結果」であり、それを理由に指導自体のあり方を不必要に厳しくすることはあってはならないと考える。

1)指導において、対象となるカルテの一部を前日に指定することは、指導のあり方に照らせば適切ではないと考える。

準備の時間的余裕がないことから持参資料に不備が生じ、適切な指導に支障を来していることは明らかである。

2)指導に際して持参を求められる資料についても、近年量的にも質的にも指導で求められる範囲を超える内容になっている。

そのような状況を理由に、保険医、保険医療機関から行政指導のあり方に対する不信感や拒否反応が蔓延していると思われる。

3)特に共同指導においては、対象となる保険医にとって「極めて威圧的な雰囲気」であることは否めない。

4)臨床の多様性を理解できない技官が、机上の考え方に拘泥する余り、対象である保険医の説明が理解できなかったり、それを否定する傾向をしばしば目にする。

5)選定委員会のあり方を含めて、指導対象の選定の透明化を求めてきたところであるが、指導全体が「蜜室での決め事」として医療機関から信頼されない理由となっている。

また指導後の評価である「概ね妥当」「経過観察」「再指導」「要監査」の判断基準は更に不明確であり、行政指導への信頼を得るためには、その明確化を公表は不可欠と認識する。

6)年間8000件の指導を目指すという2007年の閣議決定の数字は極めて根拠に乏しい。

指導医療官の質の確保も難しい中で、更に保険指導医を増やす等により、「指導の質の低下」が生じていると認識する。

また無理に指導件数を増やそうとする結果、指導の後の処理が遅滞し、例えば厚生労働省の共同指導の結果通知が6か月も遅れることが常態化していることは極めて異常な状況。

7)高点数であることを理由とした指導の実施と運用については、例えば3年後に高点数を理由とした指導対象になるこては不合理である。

指導結果が「概ね妥当」とされた医療機関については5年間程度は指導対象から除外する運用を検討されたい。

8)在宅医療に関する医科の通知が17本であるのに対して在宅歯科医療に関する通知が倍以上の36本である。

歯科の指導現場では、それらの通知の細部に照らし医療行為、カルテ記載、請求内容を過度に厳密に論じる傾向であり、臨床医療の多様性を許容できないでいる状態が散見される。

9)歯冠修復や欠損補綴について、歯周病を有する患者の場合は、一定の歯周治療が済むまで、あるいは歯周治療後の検査が済むまで、実施してはならないという考え方は改めていただきたい。

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