歯科医師臨床研修部会報告書

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医道審議会歯科医師分科会歯科医師臨床研修部会意見書 平成21年2月2日歯科医師臨床研修制度(以下、「臨床研修制度」という。)については、歯科医師法(昭和23年法律第202号)の規定に基づき、平成18年4月1日から必修化が開始され、3年が経過しようとしている。

臨床研修制度の必修化に伴い、総合的な診療能力を身に付ける機会が増え、歯科医師臨床研修の実施内容が充実したものとなり、研修歯科医の身分・処遇も見直され臨床研修に専念できる環境が整備されてきた。

一方で、必修化の開始以降、臨床研修制度の運用にあたり、研修歯科医のメンタルヘルス、研修管理委員会のあり方や臨床研修施設の指定基準等に関する問題が散見され、本部会での検討を要する事案も認められた。

臨床研修制度については、「歯科医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令(平成17年厚生労働省令第103号)」において、省令の施行後5年以内に所要の検討を加え、必要な措置を講ずることが規定されているところである。

そのため、平成19年1月から歯科医師臨床研修推進検討会において、臨床研修制度のさらなる円滑な推進と、歯科医師の一層の資質向上の観点から、臨床研修に係る諸課題について検討が重ねられ、平成20年12月に報告書が公表されたところである。これらを踏まえて、本部会において審議を行ったところ、今後の臨床研修制度の見直しに関して、下記のとおり意見を取りまとめるに至ったので、これを本部会の意見として具申する。

記 1臨床研修施設群方式の推進について 臨床研修施設群方式を推進するためには、別添『「歯科医師臨床研修推進検討会」報告書』に示す指定基準等に関する基本的な考え方及び新たな方策に加え、以下の点に留意して行うことが適当である。

(1)臨床研修施設の指定基準

○ 歯科医師や歯科衛生士等の員数に関する基準を見直すとともに、研修プログラム及び臨床研修施設に関する基準の見直しも必要である。

○ 一時的に指定基準を満たさなくなった臨床研修施設に対しては、臨床研修施設としての指定の辞退を認め、その後、指定基準を再び満たした場合には指定が継続できることが可能となるようにすべきである。

○ また、複数年にわたって研修歯科医の受け入れがない等、研修歯科医の受け入れ状況等に改善を要する臨床研修施設に対する指定の継続に関しても、新たな基準を設定すべきである。

(2)新たな臨床研修施設の研修指導体制

○ 新たな臨床研修施設の研修指導体制の構築にあたっては、現行では厚生労働大臣の指定を要さない研修協力施設が活用される可能性が高いことから、研修協力施設に関する新たな基準を設けることが必要である。

2 研修管理委員会の役割等について 研修管理委員会の役割等については、別添『「歯科医師臨床研修推進検討会」報告書』に示す基本的な考え方及び新たな提言に基づき、研修プログラムの作成、研修歯科医の管理等、当該臨床研修施設群における臨床研修の実施の統括管理の充実を図ることが必要である。また、充実を図る際には、以下の点も留意して行われることが必要である。

○ 研修管理委員会の運用 現行の研修管理委員会の下に少人数による実質的な検討を行える場を設けることが可能となるようにするとともに、研修管理委員会の構成、開催状況等に関して見直しが必要である。

3 歯科医師臨床研修に係る評価等について 歯科医師臨床研修に係る評価等については、歯科医師の資質向上の観点を重視し、別添『「歯科医師臨床研修推進検討会」報告書』に示す基本的な考え方及び新たな提言をもとに、適切な評価等を行える体制づくりを進めることが適当である。

4 その他の課題について臨床研修制度を取り巻く環境を考慮しつつ、別添『「歯科医師臨床研修推進検討会」報告書』に示す項目の内容に加え、以下の点に留意して見直されることが適当である。

○ 歯科医師臨床研修マッチングプログラムの見直し 募集定員が少数である歯科診療所や病院歯科等においては、マッチ結果の発表以降に生じた欠員若しくは空席を補充する手段に苦慮しているのが現状である。この課題に対応するため、歯科医師臨床研修マッチングプログラムの運用改善を図る等、本マッチングプログラムを効率的に実施するために早急な対応が必要である。 5 今後の進め方について今回の臨床研修制度の見直し後に実施される研修プログラムは、平成23年4月から運用が開始されることが予定される。本部会としては、その実施状況に基づき、所要の調査・審議を行うとともに、その結果に基づいて5年以内に必要な措置を講ずることが必要である。

医道審議会歯科医師分科会 歯科医師臨床研修部会 部会長 柬理 十三雄

 

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