既報のとおり歯科技工士の小林高志さん(埼玉歯科技工専門学校 非常勤講師 歯科技工所サヤカ社長)のプレゼンテーション「咬合治療」を聞いた。
JSC咬合療法は、呼吸を重視する。
治療の根幹にある呼吸位を理解する。
4番抜歯で矯正をしいる患者さんの症例であるが、7番の歯は1年前にインレーで補綴している。
それがダメになり、今度はクラウンになった。
では、ダメなインレーを作ったのか、と言えばそうではなく、これ以上精密にできないだとう思われるくらい精密に作った。
それが1年ほどでダメになった。
これは何かあるのではないか、ということで考えてみた。
片顎の印象で採られてきたので、実はこういう噛みあわせもあるので、もしかしたらとそれが疑われるので、歯牙崩壊の原因ではないか思われた。
そこで「全顎の印象で採ってください」と言ってみた。
そうすると7番の遠心の方がほとんど出ていないのでよく分かる。
右上の中切歯のところに磨耗がある。
左下7番にもの凄い窪みがある。
咬頭嵌合位で噛ませてもそこが当たらない。
でももの凄い窪みがある。
噛む
その対合の7番がダメになる。
そこでこれは睡眠時の呼吸位が影響しているのではないか、といろいろ確認してみた。
するとこの顎位の時に中切歯の先端が当たり、磨耗面見られる。
実際にこのファセットが合うか試してもらったが当たらない。
どうやってもあたらない。
ようするに覚醒時の筋肉の緊張状態と関節下下顎頭との関係では当たらない。
覚醒時にはあり得ない睡眠時の顎位が存在することが分かる。
では睡眠時の無意識下呼吸位とは何であるのか?
睡眠中の筋弛緩により舌根部(舌を後方へ押し下げる)や軟口蓋が下がり気道を閉塞する。
生命反射として下顎をぐっと前に出す反応であり、そうした下顎があるのではないかと考えられる。
下顎を前に出すと気道が開くことは今更論じることはない。
だが、下顎が前方偏位しづらくなる要因があると安定した呼吸が取れない。
覚醒時の噛みあわせが睡眠時にどのように変化をするは、分かりづらい。
しかし、実際には石膏模型では見られる。
覚醒時には確認できないファセットが、睡眠時の呼吸を模型上で再現すると見えてくる。
ここで重要なのは下顎前方位だけではないことだ。
側方を開いている。
これはいったい何をしているのか、下顎前方位も気道を開いていることは分かっているが、それはいったい何をしているのか?
そこに疑問をもっている。
気道を開くことは下顎前方位イコール後ろを広くして気道を開くことなのか?
そもそもその行為は何であるのか? そこに注目をした。
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