歯の根と骨をつなぐ歯根膜の再生も確認された

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骨髄幹細胞から歯周病治療薬 イヌで組織再生成功

 (2012年11月30日) 【中日新聞】【朝刊】

2年以内にも治験開始

ヒトの骨髄から採取した幹細胞の培養液を使って、イヌの歯周組織を再生することに、名古屋大大学院医学系研究科の上田実教授や片桐渉助教の研究チームが成功した。

名古屋大病院は、関連病院とともに歯周病患者への臨床研究を始めている。

米生物科学誌に掲載する。

 チームは、細胞の増殖などを調節するタンパク質「サイトカイン」が幹細胞から分泌され、培養液に含まれることに注目。

既に歯茎の骨の歯槽骨の再生に成功しており、臨床研究を進めている。

 実験では、イヌの歯の周りの組織を取り除いて歯周病状態にし、培養液を染み込ませたコラーゲンのスポンジを詰めたところ、何もしていない場合と比べ、1カ月で歯の根のセメント質は1.5倍、歯槽骨は2倍の高さに再生し、歯の根と骨をつなぐ歯根膜の再生も確認された。

 歯周病は、歯石や細菌などが歯の周りの組織を破壊し、成人の8割が患者といわれる。

根本的な治療法や特効薬はない。

チームは再生に強く働く4つのサイトカインを特定し、国内の製薬会社と共同で製剤化を目指しており、早ければ2年以内に治験を開始する。

 培養液を用いた再生医療は、細胞移植でないため拒絶反応がなく、がん化などの危険性も避けられる。

上田教授は「細胞移植しなくても、培養液で組織全体の再生ができることが分かった。歯周組織は手や足の組織と似ており、最終的には靱帯(じんたい)損傷も薬で治せる可能性がある」と話した。

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