東京歯科保険医協会 理事会声明を出す

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 口腔ケアや口腔管理を評価する診療報酬体系を確立するよう改めて要求

 

【理事会声明】

今改定は2025年を見据えた医療・介護の同時改定であり、改定率は医科1.55%、歯科1.7%、調剤0.46%で、全体では0.004%となった。

前回に続きプラス改定となったが、東京の歯科医療機関は依然厳しい状況にあり、今後も継続的な引き上げが必要である。

改定内容は周術期の口腔管理の導入や在宅歯科医療の推進などのほか、改定財源の多くを歯科固有の技術料に充てたこと、告示や通知が整理され過剰なカルテ記載が削除されたこと、病院歯科の評価が進んだことなど現場の意見が反映された改定であった。

協会では今改定に向け、署名や集会などとともに「21世紀にふさわしい歯科改革提言」や「医療と介護における歯科に関する提言」を発行し、国会議員等に歯科医療改善の政策的な働きかけを行ってきた。わずかでも主張してきたことが改定に反映されたということは、協会の取り組みやその方向性が正しかったことを示しており、改めて評価をしたい。

以下に主な特徴を示す。

(1)基礎的技術料や医療技術提案からの新規導入・再評価が進み、処置や補綴など日常診療で行う項目の点数が広範囲に引き上げられたことは今改定の特徴である。

われわれの運動の成果であり評価したい。

しかし、引き上げられた点数でさえなお不充分な評価であり、今後も継続的な引き上げを求める。また、評価療養から保険導入に至る期間の短縮も検討課題である。

(2)歯科訪問診療料の見直しと在宅療養支援歯科診療所(歯援診)への誘導が行われた。

歯科訪問診療料は「常時寝たきりの状態」の表現が変更され、歯援診では歯科衛生士の診療補助が新たに評価されたが、東京の歯科医院は約半数が歯科衛生士を雇用できておらず、歯援診の届け出はできない。歯科衛生士が雇用できるだけの診療報酬の評価は急務である。

(3)がん患者等の周術期の口腔管理が新たに保険導入された。

周術期における口腔機能管理の重要性を診療報酬上に位置づけたことには意義がある。

しかし、医科医療機関からの文書での依頼が算定要件とされ、同様の仕組みが歯周病安定

期治療(SPT)にも盛り込まれた。

文書による情報提供を算定要件にすることが、医科歯科連携推進の足かせとなることが危惧される。

特にSPTでは柔軟な方法による連携を認めるべきである。

(4)歯科疾患管理料の算定要件が変更され、初診時の主訴への対応が可能となり、文書提供の間隔の緩和がはかられた。

また写真診断料の減算定の要件も変更となり、こういった一連の緩和策によりSPTは活用しやすくなった。

しかし、SPTに移行できる病態は限られているため、算定にあたっては検査結果に基づき慎重に行う必要がある。

今や「最小限の侵襲」は世界の常識である。しかし、日本の保険診療での評価は依然として切削や補綴が中心となっている。

これに対し協会では「歯を残し維持・機能させる技術や、歯や身体に侵襲の少ない技術を重視した診療報酬体系」の必要性を提言した。

また、高齢化の進展に伴い口腔機能の維持・回復・管理の必要性が高まってくる。

このようなことから、今後の診療報酬改定では歯を積極的に残す治療や口腔ケアや口腔管理を評価する診療報酬体系を確立するよう改めて要求するものである。

                   2012年3月23日

                   東京歯科保険医協会 第22回理事会

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